感情系脳を鍛える

感情系脳とは、喜怒哀楽を感じ、表現する。生涯にわたり成長を続け、老化が遅いのが特徴である。脳の複数の部位に位置する中枢である[1]。感情系脳は、喜怒哀楽を感じ、人の感情を理解する。死ぬまで成長し、衰えにくいのが特徴である[2]。

感情系脳は、生きている間はずっと成長し続け、老化が遅い中枢とされる。私たちの脳の奥深くに存在し、記憶系脳思考系脳と連携して働くという[2]。例えば、感情系脳で「怒り」が発生しても思考系脳がその「怒り」を熟考し、抑える働きをするという[2]。歳をとって怒りっぽくなる人をみかけるが、その人は思考系脳が退化しているのかも知れない。

また喜怒哀楽の記憶はいつまでも残っているのは、感情系脳が記憶系脳の働きを助けているからである[2]。記憶系脳は感情系脳と連携して働くことで、その働きが強められるという[2]。そうであるならば、この仕組みを苦手な科目の学習法に取り組むことができれば私たちシニアにとっても効果的な学習法となるかも知れない。

しかしながら、感情系脳もほっておくと老化に伴い退化するようだ。歳をとって喜怒哀楽が少なくなったと感じる人は感情系脳の退化を疑う必要がありそうだ。

歳をとって感情系脳が衰えてくると、自分の気持ちや感情が分からなくるという。そして、自分の気持ちが分からないと、他人に同調しやすくなり、「人に流されやすい」状態になる[2]。

また感情系脳には自分だけでなく、「相手の気持ちを受け取る」という働きもある。だからこの働きが鈍ってくると、相手の気持ちを理解したり、他人に共感したりすることが困難になるという。自分や他人の気持ちが理解できなくなれば、その結果として、喜怒哀楽や表情が乏しい状態になるのだという[2]。

歳をとるとドラマなどと見ていて涙もろくなったと感じることはないですか? 私は妻と一緒にドラマをみていて知らず知らずのうちに涙が出ていることがあり、妻にその涙を見られたくないのでつい席を立ったり、不自然な仕草で涙をぬぐったりしていたが、これからは堂々と涙をみせようと思う。それは私にはまだ感情系脳が働いている証左であるからだ。むしろ歳をとって感情系脳が成長しているから優れた俳優の演技に共感できるようになった証左と言えるのではないかと思う。

しかしながら、シニアになって喜怒哀楽が少なくなった人もいるのは確かな事実である。そこで、感情系脳を鍛えるには、感情を動かさずに習慣的に行っていた行為を一度やめて、自分の感情を揺さぶってみると良いという[2]。つまりこれまで自分が習慣的に行っていた行為を一度やめて、その行為が「本当に好きで行っていたのかどうか」を自問することがトレーニングになるという[2]。私の場合は、三日坊主が多くて習慣化されたものがほとんどないので困っているが、朝のコーヒーが習慣の人はその習慣を10日間やめてみることで、「美味しい」という感情を持たずに「惰性」で行動していたのか、「本当に美味しい」と感じて飲み続けていたのがはっきりと分かるという[2]。

感情系脳を鍛えるためには、本当に感動する場所に訪れる機会を増やすことも効果的ではないかと私は思っている。

【参考資料】
1加藤俊徳著、「一生頭がよくなり続ける・すごい脳の使い方」(2022年11月10日発行)サンマーク出版
2加藤俊徳著、「努力なし!70歳から脳が成長するすごいライフスタイル」(2023年4月6日発行)かや書房

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