はじめに
私がバードウォッチングを始めてからまだ3年も過ぎていないが、自然とのつながりを感じることができると共に運動不足の解消にもなる素晴らしい趣味だと思えるようになってきている。
大自然の中で野鳥の美しい姿や鳴き声を楽しむことができるバードウォッチングは、今では健康維持のために必要な散歩の動機づけにもなっている。
自宅の近くにある桔梗の森公園(桔梗が丘10号公園)は、私が通っている探鳥地であるが、たまに珍しい野鳥に出会えることがある。カツオドリ目ウ科に分類されるカワウもその一つである。
カワウとはどんな鳥?
カワウ(河鵜)は、カツオドリ目ウ科に分類される鳥類である。名前の由来は文字通り「河」に生息する「鵜」である。ただし、河川のみならず、湖沼、河口付近や浅海域でも普通に見ることができる。
日本に生息するカワウは、北海道でも生息が確認されているが、主に本州以南に生息している。
カワウの成長の体長は、約80~85cm、翼長は31~34cm、体重は約1.5~2.5kgである。オスはメスよりもやや大きいが、野外での区別が難しい。

カワウの生態は?
カワウは、非常に興味深い生態を持つ鳥であるという。カワウは魚食性で、沿岸部の海水域から汽水域、内陸部の淡水域まで幅広い水域で潜水して魚類を採食する。
潜水する深さは水面から1m~9.5mで、長いときは約70秒間も潜ることがあるという。気温が24℃前後の場合、体重1kgあたり262gの魚を食べると推定されている。
カワウは群れで行動することが多く、特に夜間は群れで休息・睡眠し、繁殖も多数の個体が集まって行うという。コロニー(集団営巣地)やねぐらは水辺に接する場所に作られ、森林以外にも岸壁や人が作った建造物などを利用する。繁殖期には、頭部と腰部に白い繁殖羽が生じ、目の下の露出部が赤くなる。
繁殖の期間は地域によって異なり、例えば下北半島では3月中旬から9月、愛知県や大分県では1月から7月となっている。巣は木の細い枝や枯れ草、青葉などを使って直径40cm~60cmの皿型に組み合わせて作る。1腹卵数は1~7個で、抱卵日数は24日~32日、孵化後31日~59日で巣立ちすると言われている。
カワウは、昼間に採食や移動を行い、夜間はねぐらで休息する。早朝や夕方にねぐらから出入りする姿を見ることができる。また、水面に潜って魚を捕まえたり、水際で翼を広げて乾かしたりする姿も見られる。カワウは群れで行動することが多く、他のサギ類と一緒にいることもある。
カワウは魚類の生態系に影響を与えることが懸念されており、狩猟対象になっているが、カワウは自然の中で生きる素晴らしい鳥類である。カワウの観察には、マナーや倫理を守り、鳥の生活を邪魔しないようにしたいものである。
このように、カワウはその生態や行動が独特で、日本の自然環境の中で重要な役割を果たしている。バードウォッチングを通じて、これらの特徴を観察するのは非常に魅力的であると言えるかも知れない。
名張市に生息するカワウ
三重県名張市の北部を流れる志登茂川の下流部では、かつて存在した広い養鰻池がカワウのねぐらとして利用されていたらしい。しかし、近年その多くがメガソーラー施設に転用されたことで、カワウたちは住宅地に隣接する養鰻池の土手にねぐらを移してしまった。その結果、鳴き声や糞による悪臭などの生活環境被害が発生し、住民からの苦情が増加しているという。
この問題に対して、市は地域懇談会などを通じて住民の声を聞き、対策を進めているらしいが、ねぐらが私有地にあるため、市が直接的な対処を行うには制約があるという課題もあるようだ。
カワウのねぐらは、水辺に接する木の林に作られることが多く、人の近づかない安全な場所を好む。また、採食場所から片道10~15km以内の場所にねぐらを作る傾向があるという。
名張市でカワウを観察する場合は、志登茂川や安濃川の中下流部、伊勢湾の沿岸部、周辺の溜池やダム湖などの水域に注意して探せば良いと言われている。
桔梗の森公園で観れるカワウ
私がカワウに最初に出会ったのは桔梗の森公園(桔梗が丘10号公園)の丈六谷池である。そこで、カワウらしき鳥一羽を見つけたが、警戒心が強く近寄ることは全くできなかった。人間の気配を感じるとすぐに飛び去ってしまったからである。

その後、何度か桔梗の森公園にバードウオッチングで通っていたところカワウを何度となく観察することができた。警戒心が強いの近寄ることはできないが、それでも木の枝に停まっているカワウを目撃する頻度が増えている。但し、私が観察するカワウは常に一羽だけであり、決して群れをなしていない。最近、ツガイらしき二羽のカワウを観察できたばかりである。
カワウの観察技術
カワウは、全体的に黒色で、クチバシの付け根が黄色く丸みを帯びている。
カワウの観察にはいくつかのポイントがある。水中でスムーズに泳ぐ様子を観察するためには、高い位置から川面を見下ろせる場所が適している。
カワウは羽の油分が少ないため、水に潜るのに適しているが、その分水を含んで重くなりやすいので、しばしば羽を広げて乾かす姿を見ることができる。この行動は、木の上でよく見られる。
カワウを観察するバードウォッチング技術と言っても特別なものはないが、カワウは警戒心の強い鳥であるのでなかなか近づくことはできない。そのため、双眼鏡や望遠レンズを使用して、遠くのカワウもしっかりと観察できるようにする必要がある。
カワウの観察には、一般的なバードウォッチングの技術も役立つので、以下にいくつかのポイントを述べる。
- 適切な場所と時間を選ぶ
- カワウは河川や湖沼、内湾の海などに多く生息している
- 活動時間は主に昼間である
- 鳴き声に耳を傾ける
- カワウの「グワー」「グルルル」という独特の鳴き声を聞くことができたなら、すぐに探さなければ見失う
- 他の鳥が警戒の鳴き声を出しているときは、カワウが近くにいる可能性がある
- 水辺を観察する
- カワウは水際の枝や護岸、杭などに止まって小魚やエビなどの獲物を探すことが多い
- 水面近くを直線的に飛び、ホバリングしながら獲物を狙うこともある
- 双眼鏡を使用する
- カワウは比較的大きな鳥類で、遠くからでも観察しやすいが、双眼鏡を使用すると、より詳しく観察できる
- 静かに観察する
- カワウは人間に警戒心を持つので、静かに観察する
これらのポイントを押さえつつ、自然に溶け込むように静かに観察することが大切である。カワウは警戒心が強く、人がいるとなかなか動かない。そのため、カワウの生態や行動をじっくりと観察するには根気も必要である。
あとがき
カワウ(川鵜)は、全身が黒く、長い首と鋭いくちばしを持つ水鳥。カワウの最大の特徴は、驚異的な潜水能力! 水中で数十秒も潜りながら、俊敏に泳いで魚を捕まえる姿はまさにハンター。水面に浮かんでいるときはのんびり見えるが、ひとたび潜ればその動きはまるで魚のように俊敏な動きをするという。
カワウはただの“黒い鳥”に見えるが、その生き方や行動をじっくり観察すると、水辺の生態系や人との関わりが見えてくる。双眼鏡を持って彼らをじっくり観察し続けてみると、カワウが新しい自然の扉を開いてくれるかも知れない。