はじめに
長年生活していると、家の中は物であふれてくるようになる。私のように引っ越しの際に、一次保管のつもりで不要な物を自宅の使わない部屋や物置に残してしまっている場合もあるだろう。
私の経験では、必要になるだろうと思って残した物がその後、全く使用することなく場所だけを占有していたり、不要だと思って捨てた途端に必要になった物もある。しかし、実際に使用する物は限られている。
サラリーマン生活をリタイアした今なら、老後の生活に必要な物とそうでない物を判断していくことができるように思う。本当に必要な物がどんな物であるかを合理的かつ経験的に判断できるようになっていると思えるようになったからでもある。その証拠に若い頃と異なり、不用な物は一切買わなくなっている。
不要な物を一掃すれば、部屋が綺麗になるし、掃除が楽になったりする。何より部屋を有効活用できるのが嬉しい。必要に応じて趣味のための部屋に改造することも可能である。家の売却を考えている場合には、なおさら不要な物は一掃しておくべきである。
また、管理すべき物の数を減らすと、本当に大切な物が管理しやすくなるはずである。 高齢化に伴い、物忘れが増えるようになるが、そんな物忘れ対策にもなるはずである。
私たちシニア世代の多くは、サラリーマン生活をリタイアすれば多くの時間ができる。それを好機と捉え、終活について考え、終活の一つの活動である断捨離についても取り組みたいと思う。
終活における断捨離には、多大な時間がかかるようだ。しかし、断捨離は私の死後における遺品整理などで家族に多大な負担をかけないようにするための配慮であり、きっと家族にも喜ばれるはずである。残された家族の負担を軽減することに役立つ活動は、終活の本質であろうと私は思う。
断捨離とは
断捨離とはヨーガの行法が元になっており、不要な物を断ち(購入せず)、家の中にある不要な物を捨て(廃棄し)、物への執着心から離れる(執着心からの解放)ことにより、身軽で快適な生活と人生を手に入れようとする思想である。したがって、断捨離は単なる整理整頓とは異なる特別な片付けと捉えられている(引用:ウキペディア)。
そのため、終活としての断捨離には次のような利点がある。
- 生活スペースが広くなり、老後の生活が快適になる
- 本人の死後、家族による遺品整理が楽になる
- 掃除がしやすくなるので部屋が綺麗になる
- 断捨離を実行すること自体が気分転換になる
断捨離の手順
断捨離は、基本的には次の3つの作業から成る。
- 家の中にある物の仕分け
- 使わない物の処分
- エンディングノートへ譲りたい物を記載
これらの3つの流れを定期的に繰り返していくと、遺品整理がスムーズに進み、家族へ負担をかけずに済みはずである。
家の中にある物を仕分ける
まずは、家の中にある物を次の5種類に仕分ける。
- 今の生活で使っている物
- 使っていないが、手元に置いておきたい物
- 資産的な価値がある物
- 要不要の判断がしにくい物
- 使っていない物や不要な物
1~3は、残しておくべき物である。4は、要不要の判断を一旦保留とし、次回に断捨離をするときに判断することにする。
使わない物や不要な物を処分する
5種類に分けた物の中から、5の使っていない物あるいは不要と判断した物を処分する。処分方法としては、主に次の4つがあるので、適宜選択すれば良い。
- 家族や知人に譲る
- フリマアプリやリサイクルショップを活用して売る
- 自治体のルールに従って廃棄する
- 不要品を回収する業者へ依頼する
譲る方法は、家族や知人だけでなく、物を譲るためのマッチングサイトや、地域のコミュニティなどが活用できる。
不用品を回収する業者は、回収料金が必要な場合があるものの、一度に多くの不要品を処分できる点が大きな利点である。
死後に誰かに譲りたい場合はエンディングノートへ
処分が終わり、捨てずに残っている物の中から、死後に譲りたい物をエンディングノートにまとめておく。エンディングノートには、物の名前と誰に譲りたいのかを明記しておくことが大切である。
断捨離における要不要の判断
物の要不要は、常に変化するものである。定期的に見直し、断捨離を繰り返していくことが大切である。特に想い出の残る物を捨てるのはセンチメンタリズムの観点からも容易ではない。
捨てるべき物・捨てない方が良い物
終活における断捨離は、自分の死後を想定して行う視点が必要である。 死後を踏まえて、捨てるべき物と捨てない方が良いも物を判断しなけれえばならない。
捨てるべき物
シニア世代の終活における断捨離における捨てるべき物の判断基準は、残された家族のことを考えた基準に照らして判断すべきであろう。
私本人が不要で、死後に遺品整理をする家族が負担になる物は、生前に捨てておくべきであろう。具体的には、下表のような物であるかも知れない。
物品 | 廃棄理由 |
---|---|
手紙 | 手紙は故人の想い出が詰まっているため、家族にとって廃棄しにくいものである。手紙を処分するときは、住所録を作っておくと亡くなった知らせの送付に利用できる。 |
アルバム | 故人の想い出が詰まったアルバムは、残された家族が廃棄しにくいため、捨てておくべきであろう。終活の断捨離で写真を整理するときは、必要な写真だけを箱や封筒にまとめておく。死後は、その封筒を廃棄するよう、エンディングノートに記しておくと、遺品整理がスムーズに進むだろう。 |
書籍 | 処分に負担がかかるため、必要なものだけを残して処分すべきであろう。死後に譲りたい書籍はエンディングノートへ記載する。 |
衣類 | 衣類は、必要なものだけを残して処分する。一年に一度も袖を通さなかった洋服は捨てるかリサイクルへという話をよく聞く。 |
家具 | 家を売却する場合には家具は邪魔になる。大きな家具は、リサイクルショップや不要品を回収する業者へ依頼すると自宅まで来てもらえるので便利である。 |
車 | 車の処分は、持ち主しか行えない。死後に家族が処分しようとすると、車の名義変更が必要となる。名義変更のためには、必要書類が多く、手間がかかる。そのため、車は乗らなくなったら早めに処分しておくべきである。 |
捨てない方が良い物
終活の断捨離において、捨てない方が良い物は、次のような2つの基準で判断すると良い。
- 遺しておくと家族が喜んでくれるもの
- 遺品整理がスムーズになるもの
遺しておくことで家族が喜ぶものとは、資産的な価値がある物である。死後、家族が売ってお金に変えることができたり、形見として残してくれるかも知れない。尤も資産価値が高いうちに処分し、現金化しておく方が良い場合もある。
遺品整理がスムーズになるものとは、資産リストや住所録、遺影にする写真などが該当する。故人の資産リストを捨ててしまうと、残された家族は資産状況の把握から始めなければならない。家族のことを考え、これらは捨てない方が良いだろう。
手放せない場合はどうするか
子どもの作品や表彰状など、個人的に思い入れがあるものはどうしても手放せないものである。そのような困った場合には、スリム化するという方法もある。
例えな、子どもの作品は写真に撮り、作品の一部のみを一緒に保管することができる。表彰状は保存する量を決めて、オーバーした分は処分するようにしても良い。
保存する量を決めたり、保管の仕方を工夫することですっきりするはずである。
あとがき
終活における断捨離は、死後の遺品整理がスムーズにできる上に、老後の生活を見直すきっかけにもなる。
生活をしていると、自分にとって必要な物は常に変わる。断捨離で仕分けた物には、要不要の判断がしにくい物もある。必要と思っても1年以上は使用していない物は捨てるなど一定の基準を設けて定期的に断捨離する方が実用的であるかも知れない。
断捨離は、身の回りの物の要不要を判断し、不要な物を処分するものである。不要品の処分方法には、廃棄以外に譲る・売る・回収があるので適宜選択したい。
ところで、断捨離が進むと気分が高揚してどんどん物を捨ててしまうことがある。よく確認せず勢いで重要な書類を捨ててしまうかも知れない。重要な書類を捨てると、後に大きなトラブルになる恐れがあるので、終活における断捨離には注意が必要である。
重要な書類を捨ててしまうと、遺品整理の際に家族が困るだけでなく、生前から困る恐れがある。重要な書類の中には次のような物品が含まれる。
- 金銭や権利に関わる書類
- 家の権利証
- 生命保険証書
- 証券会社の取引口座に関わる書類など
- クレジットカード
断捨離をしたらなるべくその状態をキープするのが理想的である。新しい物を購入したい場合は、捨てる物を決めてから買うようにした方が良い。死後に家族が行うであろう遺品整理を思い、定期的な断捨離に加えて新しい物を増やさないよう努めたい。
終活における断捨離には時間がかかることもあり、大がかりで体力のいる作業になるかも知れない。ときには家族の助けを借りながら、無理なく進めていきたいと思う。