はじめに
阿蘇山の中岳第一火口で、 2021年10月20日午前11時43分、 噴火が発生したと報じられた(引用:NHKニュース)。
噴煙が火口から3500mまで上がり、火砕流が最大で1.6㎞まで流れ下ったほか、周辺の広い範囲に火山灰が降った。
気象庁は阿蘇山に火口周辺警報を発表して噴火警戒レベルを「3」(「入山規制」)に引き上げ、火口から約2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒し、危険地域への立入禁止を呼びかけた。
火砕流が火口の西側へ1㎞流れ下り、大きな噴石が火口の南900mまで飛んだのが確認された。
火砕流が発生したのは2016年10月の噴火以来である。噴火は午後1時前にも発生し、噴煙が火口から1600mの高さに達した。
噴火は、その後観測されていないが、火山性微動は変動を繰り返しながら振幅の大きな状態が続いているという。
専門家によると、現時点では地下から大量のマグマが上がってきていることを示すような兆候は確認されていないようだ。
<目次> はじめに 阿蘇山・中岳からの噴火 過去の阿蘇山の噴火状況 火山灰による健康被害 |
阿蘇山・中岳からの噴火
阿蘇山(熊本県)は複数の山からなる活火山で、記録が残る噴火の大部分が中岳で発生している。
過去の阿蘇山の噴火では、噴石によって死者も出ている。2021年10月13日には、地下の熱水やマグマの動きを示すとされる火山性微動の振幅が大きくなり、気象庁は噴火警戒レベルを「2」に引き上げていた。
専門家によると、今回の噴火による火砕流の規模は、活動が活発だった2015年9月の噴火の時よりは小さかったようだ。(京都大学火山研究センターの大倉敬宏教授の談話より)
過去の阿蘇山の噴火状況
噴火年 | 過去の阿蘇山の噴火状況 |
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1953年 | 大きな噴石が数百メートルの範囲に飛んで火口近くにいた観光客6人が死亡、90人余りがけがをした。 |
1958年 | 噴石が火口から1㎞余り飛んで、12人が死亡した。 |
1979年 | 爆発的な噴火が発生して火口の北東側に多量の噴石が飛び、3人が死亡した。 |
1988年 | 多量の火山灰や噴石を伴う活発な噴火活動が1年余りにわたって続いたが、死傷者はゼロ。 |
2014年 | 中岳第一火口で一定の時間で溶岩を噴き上げる噴火を繰り返す「ストロンボリ式」と呼ばれるタイプの噴火が確認された。 |
2015年 | 噴煙が火口から2000mまで上がり、小規模な火砕流や火口周辺で大きな噴石が飛んだのが確認された。 |
2016年 | 噴煙の高さが衛星による観測で海抜1万1000mに達し、噴火警戒レベルが「3」に引き上げられた。 |
2017年~20年 | 火山活動はときおり高まったが、噴火警戒レベルは「1~2」であった。 |
2021年 | 火砕流が火口の西側へ1㎞流れ下り、大きな噴石が火口の南900mまで飛んだのが確認された。噴火警戒レベル「3」。 |
過去の阿蘇山の噴火状況をみると、阿蘇山が「活火山」であることを再認識させられる。
火山灰による健康被害
積灰量(厚み)が0.1mm以上1mm未満の場合 |
喘息など呼吸器に疾患のある人は症状が悪化するリスクが高い |
積灰量(厚み)が1mm以上の場合 |
健康な人でも目や鼻・喉の呼吸器に異常を訴える人が出始める |