はじめに
淡路島は、瀬戸内海に浮かぶ島々の中で最大の島であり、北から、淡路市、洲本市、南あわじ市の3市で区分されている。アクセスも便利である。神戸と淡路島を結ぶ世界最長の吊り橋、明石海峡大橋を渡れば、すぐに行ける。
青い海に囲まれ、自然に恵まれた淡路島は、美味しいものであふれている。 明石名物のタコだけではない。
古事記や日本書紀によると、 淡路島は日本列島の中で最初に生まれた島という伝説がある。 古代の伝説が残る、神秘的な島でもある。
淡路島は、瀬戸内海の温暖な気候のため四季を通じて多種多様な植物が育っている。特に国営明石海峡公園やあわじ花さじき(兵庫県淡路市)では四季を通じて多くの花を観ることができる。
本稿では、そんな淡路島のお花畑や花壇の魅力を伝えたい。
<目次> はじめに 灘黒岩水仙郷 あわじ花さじき 国営明石海峡公園 あとがき |
灘黒岩水仙郷
灘黒岩水仙郷(兵庫県南あわじ市灘黒岩)は、淡路島の南にある諭鶴羽山系の丘陵地にある。
そこの急傾斜地には野生の水仙が春に先駆けて咲き誇っている(開花期1月~2月下旬)。約500万本もの水仙が瀬戸内海からの潮風にそよぎながら咲き誇る様は壮観である。
水仙(スイセン)は、ヒガンバナ科スイセン属の植物のことで、色や形の異なる品種が多く存在する。
「水仙」という名は、中国の古典に由来して名付けられたようである。「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という古典あり、水辺に育ち、仙人のように寿命が長く、清らかなという意味から名付けられたとされる(引用:ウィキペディア)。例えが仙人とは面白い。
スイセンは、イベリア半島を中心に、イギリス、ヨーロッパ中部、北アフリカを含む地中海沿岸地域に25~30種が自生する植物で、房咲きスイセンをはじめとした一部の品種はギリシャから中国にまで分布し、日本にも野生状態で生育している。
代表的な種類に、ラッパズイセン、八重咲きスイセン、房咲きスイセン、口紅スイセンなどがある。
系統によって開花時期が異なり、早いものでは11月中・下旬から開花するが、秋から初夏にかけて生育し、夏には枯れて休眠する。花は、花弁と萼片の6枚と、その基部につくラッパ状の副冠からなっている。
副冠は形がさまざまに変化してユニークで、色も白や黄色、オレンジ色、ピンクなど多彩である。
ニホンズイセンは、古くから日本で親しまれてきた房咲きスイセンであり、地域によって12月から2月に開花する。
芳香があり、シンプルな美しさが魅力的な水仙である。
灘黒岩水仙郷では、山側東斜面と海側南斜面では見頃時期が少し違うように思う。
私の予想とは異なり海側南斜面の方が遅かったようだ。おかげで見頃の水仙の群落を見ることができ、大満足である。
当たり前のことだが、開花時期や見頃時期は気候によって影響を受けるので、年によって見頃時期が異なるのは常である。だから日帰りできる場所でないと最良のタイミングでは見に行けない。
行ってみたい水仙の名所
全国各地にも水仙の名所が多くあると聞く。しかし、遠方であれば宿泊プランにならざるを得ないので融通が利かない。それが難点である。
そこで日帰り可能な私が住む関西圏での水仙の名所を調べてみたところ、十分過ぎる数の名所があることが分かった。そしてその中から私が是非行ってみたいところをピックアップしてみた。
私が行ってみたい水仙の名所リスト
水仙の名所 | 所在地 | 特記事項 |
---|---|---|
なばなの里 | 三重県桑名市長島町 | 9品種の水仙、約2万本 |
蜻蛉池公園 | 大阪府岸和田市 | 日本水仙、約6万本 |
スイセンの丘 | 大阪府千早赤阪村 | 日本水仙、約5万本 |
淡路立川水仙郷 | 兵庫県洲本市由良町 | 日本水仙、約400万本 |
灘黒岩水仙郷 | 兵庫県南あわじ市 | 日本水仙、約500万本 |
大角海浜公園 | 愛媛県今治市波方町 | 河津桜の開花に重なる |
(このリストでは灘黒岩水仙郷しか行ったことがない)
異なる品種の水仙が観たい場合は、なばなの里(三重県桑名市)がよいかも知れない。
コロナ感染を避けたいので人出の多いのは困るし、初めて訪れようとする場所は情報が他力本願になってしまう。
風にそよぐ水仙は格別なので灘黒岩水仙郷のような海辺にある水仙郷には何度でも訪ねてみたい。
開花のタイミングが合えば河津桜とのコラボが楽しめるという大角海浜公園も非常に興味深い「水仙の名所」と私は思う。
あわじ花さじき
あわじ花さじき(兵庫県淡路市洲本)では、春には菜の花畑、夏にはひまわり畑、そして秋にはコスモス畑でそれぞれの季節の風物詩を楽しむことができる。
国営明石海峡公園
四季を感じるため私がよく利用しているのは明石海峡公園である。国営明石海峡公園(兵庫県淡路市夢舞台8-10)は、海辺の園遊空間をコンセプトとした海を臨む、緑溢れる公園である。
淡路島の温暖な気候のため、四季折々の草花を観て楽しむことができる。この国営公園は、関西国際空港の建設に使用された広大な土取り跡地に自然を回復する目的で、2002年にオープンして以降、年々園内が充実してきている。一度は訪れる価値のあるお勧めの公園である。
総面積330haという広大な敷地を有する明石海峡公園は、園内のレイアウトも実に多彩である。
陽気のいい日に園内をゆっくりと散歩するは本当に楽しいものだ。気分転換にはもってこいである。
ダリアは秋の花である。園内にはダリアの花壇もあり、多くの品種を観ることができる。
そんなダリアの花壇では季節はずれの蝶が至る所で蜜を吸っていた。淡路島は温暖なので秋になっても蝶がまだ生息しているのだろう。
同じ場所でも植栽によって雰囲気はがらっと変わるものである。春と秋で表情を変える場所が園内には多くある。そんな違いを発見するのも異なる季節に訪れる楽しみの一つだ。
春を感じさせてくれるのは桜だけではない。そう、チューリップも春の訪れを告げる花といえよう。
チューリップの栽培はオランダが盛んである。そのオランダは風車でも有名である。それをモチーフにチューリップ畑に風車を配置している場所が園内にある。
チューリップが咲いていると春を感じるのは菜の花と同様である。菜の花と違い、その色や形から品種が違っているのがすぐに分かるので楽しい。そんなチューリップが園内いっぱいに広がっている。
雲南黄梅(ウンナンオウバイ)は、中国雲南の原産で、高さ3mくらいになる常緑の低木。「黄梅」というから「梅」かと思っていたがそうではないらしい。
「黄梅擬(おうばいもどき)」とも呼ばれ、ジャスミンの仲間だそうである。黄色の花はこの季節にはとても華やかに思えた。
あとがき
思い返してみると、冬場は別として、私は真夏に明石海峡公園に行ったことがない。元々、出不精な私が夏はエアコンの部屋から出たくないだけだ。他意はない。
だから明石海峡公園の夏の装いがどんなものか見たことがないし、想像がつかない。一度くらいは真夏に出かけてみるのも悪くはないだろう。
【参考資料】
灘黒岩水仙郷 – 南あわじ市HP【公式サイト】 |
スイセンとは – 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版 |
なばなの里 -ナガシマリゾート【公式サイト】 |
蜻蛉池公園(とんぼいけこうえん)【公式サイト】 |
スイセンの丘 | 千早赤阪村観光協会【公式サイト】 |
立川水仙郷 | 淡路島、観光農園【公式サイト】 |
大角海浜公園 | 観光スポット | 観光情報 | 今治市【公式サイト】 |
淡路島 国営明石海峡公園 【公式サイト】 |
あわじ花さじき【公式サイト】 |