はじめに
朝の目覚めに、午後のひと息に、夜のリラックスタイムに。 私たちの暮らしに寄り添う珈琲(コーヒー)は、淹れ方ひとつで驚くほど味わいが変わるって知っていましたか?
美味しい珈琲を淹れるには、単に珈琲豆とお湯があれば良いというわけではない。いくつもの小さな工夫の組み合わせが大切である。そうゆうわけで、本稿では、日本茶や紅茶の淹れ方に引き続き、ちょっとしたウンチクを交えながら、いつもの一杯が“特別な一杯”に変わる、香りとコクを引き出す珈琲の淹れ方の秘密について紹介したいと思う。
珈琲豆の選び方
1. 焙煎度(ロースト)をチェック!
焙煎の深さで味が大きく変わる。
- 浅煎り(ライトロースト)
- 酸味が強く、フルーティーな味わい
- 中煎り(ミディアム〜シティロースト)
- バランスが良く、香り豊か
- 深煎り(フルシティ〜フレンチロースト)
- 苦味とコクが強く、カフェオレにもぴったり
自分が「酸味派」か「苦味派」かで選ぶと良い!
2. 産地で風味を楽しむ
コーヒー豆は、育った土地の気候や土壌で味が変わる。
- エチオピア
- 華やかでフローラル、紅茶のような香り
- コロンビア
- バランスが良く、ナッツやチョコのような風味
- ブラジル
- まろやかで甘みがあり、飲みやすい
- インドネシア(マンデリンなど)
- 重厚でスパイシー、深いコク
いろいろ試して、自分の“推し産地”を見つけてみてください。
3. 豆の種類(品種)を知ろう
- アラビカ種(Coffea arabica)
- 世界のコーヒー生産量の約60〜70%を占める、最も広く栽培されている品種
- 標高600〜2,000mの高地で育てられ、寒暖差が風味を豊かにする
- 味わいは繊細で複雑。フローラルやフルーティーな香り、明るい酸味、まろやかなコクが魅力。香り高く、酸味や甘みのバランスが良い。高品質な豆が多い
- カフェイン含有量は1.2〜1.8%と、ロブスタ種より少なめで、苦味も控えめ
- 代表的な品種:ティピカ(Typica)、ブルボン(Bourbon)、ゲイシャ(Geisha)
- ロブスタ種(正式にはカネフォラ種ロブスタ;robust)
- 苦味と渋みが強く、酸味はほとんどなし。麦茶のような香ばしさがあるとも言われている
- カフェイン含有量はアラビカ種の約2倍!だからパンチのある味わいになる
- 病害虫に強く、低地でも育つ。高温多湿な環境に適していて、栽培がしやすいから大量生産向き
- 主な産地はベトナム、インドネシア、ウガンダ、インドなど。特にベトナムはロブスタの一大生産国
- エスプレッソやインスタントに使われることが多い
初心者には、アラビカ種がおすすめ。
4. 焙煎日と鮮度を確認!
コーヒー豆は生鮮食品。焙煎から2週間〜1ヶ月以内が飲み頃とされている。 購入時は「焙煎日」が明記されているかチェックしよう。
5. 信頼できるロースターで購入!
通販や専門店で買うときは、以下の点をチェック!
- 焙煎日が明記されているか
- 産地や精製方法などの情報が詳しいか
- 試飲やテイスティングの機会があるか
自分の好みを伝えると、ぴったりの豆を提案してくれるお店もある。
珈琲豆は鮮度が命
珈琲豆は、焙煎後、空気に触れることで酸化が進み、風味が劣化する。そのため、挽いた状態ではなく豆のまま購入し、飲む直前に挽くのが理想的である。
ちなみに、焙煎後3日~2週間程度が一番風味豊かと言われている。この期間の豆を「ピークの豆」と呼ぶ人もいるくらいである。
豆の挽き方が香りを決める
まずは豆の挽き方。これ、実は珈琲の香りとコクにとって、とても重要である!
- 粗挽き
- フレンチプレス向き。すっきりとした味わいに
- 中挽き
- ペーパードリップに最適。バランスの良い香りとコク
- 細挽き
- エスプレッソ向き。濃厚で力強い味わいに
挽きたての豆は香りが格別!できれば飲む直前にミルで挽くのがおすすめ!
グラインダーにもこだわるべし!
豆を挽くときには、均一に挽ける「コニカルグラインダー」や「フラットグラインダー」を使うと良い。
均一な粒度は、抽出時の味わいを左右する。安価な刃式グラインダーで挽くと、細かすぎる粉と大きな粒が混ざり、抽出が不均一になることがある。
抽出温度で味が決まる
お湯の温度は92~96℃が理想的とされている。温度が低すぎると酸味が強くなり、高すぎると苦味が強くなることがある。家庭では、沸騰直後のお湯を少し冷まして使うだけでも味わいが変わるので試してみると良い。
お湯の温度でコクが変わる!
お湯の温度も、味の決め手となる:
- 92〜96℃
- 香りとコクをしっかり引き出すベストゾーン
- 低すぎると
- 酸味が強く、薄い印象に
- 高すぎると
- 苦味が出すぎてしまうことも
沸騰したお湯を少し冷ましてから注ぐのがコツである。
湯量と比率の黄金バランス
珈琲豆とお湯の比率は重要で、基本的には1:15~1:18が目安である(例: 1gの豆に対して15~18mlのお湯)。これを「ゴールデンレシオ」と呼ぶこともある。
自分好みのバランスを見つけるのも楽しみの一つであろう。
水の質が隠れた主役!
珈琲の約98%は水である。そのため、水道水のカルキ臭を避け、軟水やフィルターを通した水を使うと、よりクリアな味わいが得られる。
お湯の注ぎ方も味に影響
ハンドドリップでは、最初に少量のお湯を注ぎ、30秒程度蒸らす「ブルーム」作業を忘れずに行うべきである。これにより珈琲のガスが抜け、豆の本来の味わいが引き出される。お湯を注ぐときは円を描くようにゆっくり注ぐのがポイントである。
注ぎ方で味のバランスが決まる!
お湯を注ぐスピードや円の描き方でも、味が変わる。
- ゆっくり細く注ぐ
- しっかりとしたコクが出る
- 早く注ぐ
- 軽やかでスッキリした味わいに
中心から「の」の字を描くように注ぐと、全体に均等にお湯が行き渡って、バランスの良い抽出ができる。
器を温める細やかな気遣い
抽出前にカップをお湯で温めておくと、抽出した珈琲の温度が急激に下がらず、風味が安定すると言われている。プロのバリスタも行うちょっとしたテクニックである。
器で変わる、香りの感じ方
最後に、意外と見落としがちな“カップ選び”。
- 口が広いカップ
- 香りがふわっと広がる
- 厚みのあるマグ
- 保温性が高く、ゆっくり楽しめる
お気に入りのカップで飲むと、気分まで豊かになるものである。
あとがき
本稿で紹介したポイントを押さえることで、日常の一杯がぐんと贅沢なひとときに変わるはずである。珈琲の淹れ方一つでその日の気分や過ごし方が変わるかもしれない。
一杯の珈琲が、心を整える
珈琲は、ただの飲み物ではない。 それは、香りで目覚め、味で癒やされる、五感のご褒美であると考えたい。
ちょっとした淹れ方の工夫で、日常の一杯が“特別なひととき”に変わる。自分の好みの珈琲スタイルやこだわりで、自分だけの最高の一杯を見つけましょう!