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棚田、水車や茅葺家屋の田園風景は後世に残したい!

はじめに

日本的な田園風景というと棚田の風景を思い浮かべてしまう。何故なんだろうか。

昔は日本の至るところに田園風景が広がっていたように思うが、開発されて都市化するか、あるいは過疎化のために日本の原風景ともいうべき里山や耕作地が少なくなっているように思う。

そんな中で、維持も大変だろうと思うが、美しい棚田が残されているのは率直に嬉しい。

棚田に限らず昔の日本では当たり前の風景が気付かないままにその姿を消そうとしている。私の好きな水車茅葺屋根の家の数は激減している。

旅先で水車や茅葺屋根の家を見ると思わずシャッターを押しているが、残すべきは写真ではなく実物の方である。日本的な風景が後世にまで残ってほしいという思いがある。

目次
はじめに
棚田の風景
棚田
日本の棚田百選
日本の棚田の現状
新「棚田百選(仮)」の予想一覧
水車がある風景
水車小屋・水車
水車が似合う風景
特徴的な集落
集落
白川郷【岐阜県】
五箇山菅沼集落【富山県】
五箇山相倉集落【富山県】
伊根町舟屋【京都府】
吹矢集落【岡山県】
あとがき

棚田の風景

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国指定の名勝地・石川県輪島市の白米(しろよね)の千枚田

棚田

棚田とは、山の斜面や谷間の傾斜地に階段状に作られた水田のことで、 「千枚田」とも呼ばれる。

棚田は、伝統・文化、美しい景観、教育、国土保全といった多面的機能を有しており、農業生産活動を主体としつつ、地域住民等の共同活動によって守られている国民共通の財産であるとされる[1]。

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山口県長門市油谷・東後畑の棚田

棚田は、平地に比べて維持・管理が大変であるが、昼夜の温度差が大きいので稲がゆっくり熟すことや、水源に近くて良い水で育つことなどから、上質米ができるとされる。

また、山からの水を蓄えて洪水や土砂崩れを防ぐ役割も果たす。


日本の棚田百選

こうした多面的機能を持つ棚田を見直し、保全・整備を進めようと、 1999年7月26日に農林水産省は 134地区(117市町村)の棚田を「日本の棚田百選」として認定した。[2]

選考基準は、下記の3点であった [2]。

  • 営農の取り組みが健全であること
  • 棚田の維持管理が適切に行われていること
  • オーナー制度や特別栽培米の導入など地域活性化に熱心に取り組んでいること

しかしながら、棚田の保全には、その地形的な条件の不利性から多大なコストを要する。

景観保全や農耕文化の継承といった目的から長期の維持・保全が求められたものの、大型農耕機が使えない棚田は管理に手間がかかる。


日本の棚田の現状

1970年に始まった減反政策の影響で棚田の転作放棄が目立ち始めたという。

さらに、過疎化や高齢化で農業の担い手の減少もあいまって、棚田の荒廃に拍車がかかり、棚田が荒廃の危機に直面している。

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別宮の棚田(兵庫県養父市別宮)

農林水産省は来春、山間部などに残る棚田の景観維持を目的につくった「日本の棚田百選」を全面的に見直し、対象を選び直すという。

選定から22年が経過し、荒廃が進む棚田があるためだという。

新しく選ぶ「百選」では、保全が持続するよう、農家のほか自治体やJA、商工観光業者などが関わることを新たな要件とするようだ。

ブランド米の生産や棚田を核とした地域振興も選定の際の評価基準に加え、年度末までに棚田を選び直し、「棚田百選」の名称も変える予定だという。

棚田については、国の財政・人的支援が受けられる「棚田地域振興法」が2019年に成立しており、これまでに39道府県676地域が指定を受けており、新百選も、こうした棚田が候補地となる見通しだという。
(引用:「棚田百選」選定から22年、荒廃進み全面的に見直し; 読売新聞オンライン; 2021/10/21 05:00)


新「棚田百選(仮)」

現「日本の棚田百選」 をベースに将来の新「棚田百選(仮)」 を予想してみようと思う。

地 名所在地
山吹の棚田岩手県一関市大原山吹
沢尻の棚田宮城県丸森町
椹平の棚田山形県朝日町
大蕨の棚田山形県山辺町中村
四ヶ村の棚田山形県大蔵村
石畑の棚田栃木県茂木町石畑
大山千枚田千葉県鴨川市大山
稲倉の棚田長野県上田市殿城
よこね田んぼ長野県飯田市千代
青鬼集落の棚田長野県白馬村
慶師沖の棚田長野県長野市
根越沖の棚田長野県長野市根越沖
姨捨の棚田(おばすての棚田)長野県千曲市姨捨
塩本の棚田長野県長野市塩本
栃倉の棚田長野県長野市栃倉
大西の棚田長野県長野市大西
田沢沖の棚田長野県長野市田沢沖
福島新田の棚田長野県飯山市瑞穂
上船倉の棚田新潟県上越市安塚区上船倉
狐塚の棚田新潟県土日町市松之山天水越
花坂の棚田新潟県柏崎市 高柳町石黒
梨ノ木田の棚田新潟県柏崎市高柳町高尾
北五百川の棚田新潟県三条市森町
三乗集落の棚田富山県富山市八尾町高峯
奥山田の棚田石川県津幡町
大笹波水田石川県志賀町
白米(しろとね)の千枚田石川県輪島市
梨子ヶ平地区千枚田福井県越前町
久留女木の棚田静岡県浜松市
大栗安の棚田静岡県浜松市
荒原の棚田静岡県伊豆市
下ノ段の棚田静岡県伊豆市
北山の棚田静岡県沼津市新田
上代田の棚田岐阜県八百津町北山
坂折の棚田岐阜県恵那市中野方町
四谷の千枚田愛知県新城市四谷
丸山千枚田三重県熊野市
畑(はた)の棚田滋賀県高島市
毛原の棚田京都府福知山市
袖志の棚田京都府京丹後市
下赤阪の棚田大阪府千早赤阪村
長谷の棚田大阪府能勢町長谷
別宮の棚田兵庫県養父市別宮
乙大木谷の棚田兵庫県佐用町大木谷
うへ山の棚田兵庫県香美町小代区貫田
西ヶ岡の棚田兵庫県香美町村岡区和佐父
神奈備の郷の棚田奈良県明日香村稲渕
あらぎ島の棚田和歌山県有田川町清水
中垣内の棚田島根県益田市中垣内
山王寺の棚田島根県雲南市大東町山王寺
大原新田の棚田島根県奥出雲町大馬木
神谷(かんだに)の棚田島根県巴南町上口羽神谷
都川の棚田島根県浜田市旭町都川
室谷の棚田島根県浜田市三隅町室谷
大井谷の棚田島根県吉賀町柿木村白谷
大垪和西棚田岡山県三咲町大大垪和西
井仁(いに)の棚田広島県安芸太田町筒賀
東後畑の棚田山口県長門市油谷
下影の棚田徳島県三好市井川町井内西
中山千枚田香川県小豆島町中山
泉谷の棚田愛媛県内子町北表
奥内の棚田愛媛県松野町蕨生
広内・上原地区棚田福岡県星野村
葛篭(つづら)棚田福岡県うきは市浮羽町新川
竹の棚田福岡県東峰村宝珠山
蕨野の棚田佐賀県唐津市相知町平山上蕨野
大浦の棚田佐賀県唐津市肥前町大浦
浜野浦の棚田佐賀県玄海町
江里山の棚田佐賀県小城市江里山
西の谷の棚田佐賀県佐賀市富士
鬼木棚田長崎県波佐見町
土谷棚田長崎県松浦市福島
日向の棚田長崎県川棚町
大中尾棚田長崎県長崎市外海
谷水の棚田長崎県南島原市南有馬
清水棚田長崎県雲仙市千々石
扇棚田熊本県産山村
日光の棚田熊本県八代市坂本町鮎帰
大作山の千枚田熊本県上天草市龍ヶ崎岳
静趣活創棚田・番所熊本県山鹿市菊鹿
鬼の口棚田熊本県球磨村一勝地中屋
松谷棚田熊本県球磨村三ヶ浦松谷
寒川地区棚田熊本県水俣市久木野寒川
峰棚田熊本県山都町島木
菅迫田の棚田熊本県山都町菅  
由布川奥詰の棚田大分県由布市挾間
内成(うちなり)棚田大分県別府市
軸丸北の棚田大分県豊後大野市緒方
山浦早水の棚田大分県玖珠町山浦早水
両合(りょうあい)棚田大分県宇佐市院内
尾戸の口の棚田(神々の里)宮崎県高千穂町岩戸
栃又の棚田宮崎県高千穂町三田井
徳別当の棚田宮崎県高千穂町押方
石垣の村の棚田宮崎県日之影町戸川
鳥の巣の棚田宮崎県五ヶ瀬町三ヶ所鳥の巣
下の原の棚田宮崎県五ヶ瀬町三ヶ所上日陰
日蔭の棚田宮崎県五ヶ瀬町鞍岡下長司
坂元棚田宮崎県日南市酒谷甲坂元
向江棚田宮崎県西米良村上米良二
春の平棚田宮崎県西米良村
「令和版・日本の棚田百選(仮)」 の予想リスト
(作成日:2021年10月23日)

上記リストが私が選んだ「令和版・日本の棚田百選(仮)」であるが、予想は当たっているだろうか? 

農水省から正式に公表されたらチェックしてみようと思う。しかし、棚田百選 に選出されようと選から漏れようとそんなの関係ない。

棚田は、日本の原風景ともいえる日本の宝の一つなのだから後世に残していかないといけない。容易ではないと思うが。


水車のある風景

水車小屋・水車

水車小屋または水車場は、水車を備えた構造物で、水車によって穀粉、製材、織物生産、金属加工などの機械的工程を駆動する。

日本では、農村などで米搗きなどに利用する目的で近年までは全国各地に見られたが、最近ではその数は激減した。

しかし、その牧歌的景観は日本の田園風景によくなじむものとして、観光目的などで残されたり、再建されたりしている。

水車場は基本的に2種類に分類される。

一つは垂直な水車で駆動して(回転軸を変換するために)歯車機構でその動力を伝達するものであり、このタイプの水車はさらに水が水車にどう当たるかによって、上射式水車、中射式水車、下射式水車の三種類に分けられる。

もう一つのタイプは水平な水車を使うものである。
(引用:ウィキペディア)


水車の似合う風景写真

水車又は水車小屋の牧歌的景観は、日本の田園風景によくなじむというが全く同感である。

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忍野八海の近くで見付けた水車(山梨県南都留郡忍野村)

私は水車小屋を見つけるとついシャッターを押してしまうが、デジタルカメラに替えてからあまり水車小屋を撮影していないことに気付いた。デジタル画像がないのである。

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永沢寺・花菖蒲園水車(兵庫県三田市永沢寺)

それは田園風景とは縁のない場所を訪れているということだろうか。

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雲の上のホテル道の駅 ゆすはらの隣に設置された水車小屋(高知県梼原町)

それとも水車・水車小屋そのものが姿を消していっているからだろうか。

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雲の上のホテル道の駅 ゆすはらの隣に設置された水車小屋(高知県梼原町)

いずれにせよ健康で遠出ができる人生も残り少なくなって来た今日この頃である。

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雲の上のホテル道の駅 ゆすはらの隣に設置された水車小屋(高知県梼原町)

今後はもう少し日本の原風景ともいうべき田園風景を観に出かけてみたい。

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【長崎県】島原清流亭(観光交流センター)・湧水のオブジェの水車
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【熊本県】黒川温泉の旅館夢竜胆の庭に設置されていた水車(部屋の縁側から撮影)

特徴的な集落

集落

集落【しゅうらく】とは、人が住む家屋の集合した状態の場所のことを指す地理的な概念である。

集落を人間関係の社会的、文化的統合状態に基づく地域社会の一種として社会学的にとらえた場合、村落にあたるものとほぼ重複する。(引用:ウィキペディア)

日本各地には「集落」と呼ばれる観光名所が点在する。そんな集落の特徴の一つは家屋の「屋根」や「外壁」の統一性かも知れない。私が訪ねた「観光地的集落」の特徴を検証してみてみたい。


白川郷【岐阜県】

白川郷和田家住宅(国指定重要文化財)

白川郷(岐阜県大野郡白川村荻町地区)は、「合掌造り集落」として昔から有名であり、現在も大小100棟余りの合掌造りの家屋が残り、そこで人々の生活が営まれている。

白川郷神田家住宅(完成度の高い合掌造りの家屋とされている)

日本の原風景である農村文化・生活・暮らしを感じることができる素晴らしい場所である。

白川郷・独特の合掌造り家屋
白川郷・すべての建物が合掌造り

日本の原風景ともいうべき美しい景観が評価され、1976年に重要伝統的建造物群保存地区として選定された。

白川郷・明善寺
合掌造りの寺として知られる
白川郷・明善寺鐘楼門
(岐阜県指定重要文化財)

さらに1995年には五箇山(富山県)と共に白川郷・五箇山の合掌造り集落として、ユネスコの世界遺産文化遺産)に登録された。


五箇山菅沼集落【富山県】

五箇山菅沼集落(富山県南砺市菅沼地区)には現在9戸の合掌造り家屋が残っているという。

五箇山菅沼集落合掌造り家屋

合掌造り家屋は、日本有数の豪雪地帯という自然環境に耐える住まいとしての役割と養蚕や塩硝作りという生活の糧となる仕事場としての役割を同時にかつ合理的に達成しているとされる。

合掌造り家屋は、見た目以上に合理的で頑強な構造で裏打ちされた居住性の高い空間を満たしているのかも知れない。

五箇山菅沼集落合掌造り家屋茅葺き屋根の葺き替え工事

幸運にも一軒の合掌造り家屋茅葺き屋根の葺き替え工事中の写真を撮ることができた。通常の瓦屋根よりも費用と時間が掛かることが容易に推察できる。後世に是非残していってもらいたい。


五箇山相倉集落【富山県】

五箇山相倉集落

五箇山相倉集落(富山県南砺市相倉地区)は、五箇山の歴史的風景を今に残す集落で、現在も人々が生活を営んでおり、世界的にも珍しい「人が住まう世界遺産」であるという。

五箇山相倉集落相倉民族館
相倉集落中心部へ向かう坂道

合掌造り家屋を利用した資料館や民宿も充実している。

五箇山相倉集落・ 案内所
世界遺産登録記念碑
五箇山相倉集落・ 合掌造りの家屋

伊根町舟屋【京都府】

京都府与謝郡伊根町には家屋が伊根湾の沿岸に立ち並び、対岸から眺めるとまるで海に浮かんでいるように見える集落がある。

伊根湾の沿岸に立ち並ぶ伊根町舟屋の集落

このような造りの建屋を「舟屋」と呼び、約230軒が軒を連ねている。舟屋とは、船を海から引き上げて、風雨や虫から守るために建てられた施設である。

昔は漁で木造船を使用していたため、それを乾かす必要があったためと言われている。

船を収納する一階に対して、二階は網の干し場や漁具置き場として使われていたという。

基本的に舟屋は、舟の「車庫」であり、漁師の仕事場である。そのため道一本挟んだところに主屋(母屋)を建て、そこを生活の拠点としているという。

現在では船は繊維強化プラスチック製となり、船も大型化したので船を収納せずに舟屋の前に係留することが多くなったという。

伊根湾の沿岸に立ち並ぶ伊根町舟屋の集落

しかし、例外的に作業用の小船を持っている家は今でも舟屋の中に小舟を収納しているという。


吹矢集落【岡山県】

吹矢集落の風景

吹矢集落(岡山県高梁市成羽町吹屋)は、江戸時代から銅山の鉱山町として栄えた町である。

赤色に塗られた外壁の郵便局
ベンガラを使用した土産物のお店

ベンガラと呼ばれる赤い着色剤が建物の外壁に利用され、町並みが赤に染まって見えるのが特徴的である。

赤色が映える吹屋の街並み
古い街並みが残る吹屋の集落
旧吹屋小学校校舎(岡山県指定重要文化財)

あとがき

日本的な風景を集めてフォトギャラリーにでもと思うが、フォトギャラリーにするほどの写真数がない。それほどに日本的な風景が少なくなっているという証左である。哀しい限りだ。

自分にできることなど何もないかも知れないが、それでも何かをせずにはいられない衝動が時折、私を襲う。

本稿を読んで私と同じ思いをもつ人達と繋がって、何か貢献できるものがないかを模索したい。


【参考資料】
1農林水産省HP 棚田カード第2弾 発表
2農林水産省HP 棚田地域の振興について
忍野八海 | 忍野村公式観光ホームページ
三田・永沢寺/花しょうぶ園【公式サイト】
雲の上のホテル | 雲の上グループ 高知【公式サイト】
清流亭(観光交流センター)|島原観光おすすめ情報サイト
黒川温泉 夢龍胆 / 別館 花泊まり【公式サイト】
白川郷観光協会【公式サイト】
和田家 合掌家屋 | 白川郷観光情報【公式サイト】
神田家 | 白川郷観光協会【公式サイト】
世界遺産 五箇山菅沼合掌造り集落【公式サイト】
相倉合掌造り集落|世界遺産五箇山【公式サイト】
相倉合掌造り保存財団トップ【公式サイト】
伊根の舟屋とは | 伊根町観光協会【公式サイト】
吹屋ふるさと村|岡山観光WEB【公式サイト】