はじめに
何の脈絡もなく写真撮影に興味を持ち、それを趣味にまでする者はそうはいないはずである。写真撮影を趣味にしている私自身の経験から、私はそう確信している。
写真愛好家であれば誰もが一度や二度ぐらいは経験があると思うが、社内のフォトコンテストで入賞した経験があれば、たとえマイナーであっても嬉しいものである。それがきっかけで写真撮影に興味を持ち、そのまま写真撮影を趣味にすることもある。
私が写真撮影を趣味に加えるようになったのは、振り返れば、かなり昔のことになるが社内フォトコンテストで初めて入賞したことがきっかけであったと思う。それ以来、社内でフォトコンテストがあれば、応募しては入賞させてもらった経験が、飽きっぽい私が現在に至るまで趣味として写真撮影を続けられた動機になっていることは多分間違いではない。
他の要因を強いて挙げるなら、カメラという機材自体やデジタルカメラが普及してからは画像編集に興味があったことであろうか。いずれにせよ、被写体となるものなら何でも撮影にしたいという欲求は今も衰えていない。
さてそんな私ではあるが、特別に写真撮影技術を学ぶために写真教室に通ったり、写真講座を受講した経験はない。いわゆる独学である。単なる個人の趣味であるからそれでOKと今日に至るまで思い続けている。だから写真撮影技術も特段に優れているわけではない。
シニア世代となり、会社員生活をリタイアすると自由になる時間が増えたのは紛れもない事実である。そうすると趣味の写真においても撮影技術を向上させたいと「欲」が生じてしまった。そこで撮影技術を向上させる方法やモチベーションは何かと考えたところ、初心に帰って、フォトコンテストに応募することだということに気付くまであまり時間を要しなかった。
フォトコンテスト(写真コンテスト)には、写真のテーマや応募資格、賞品などによって様々な種類があるが、一般的には次のように分類できる。
- 初級者向けコンテスト
- ハイアマチュア向けコンテスト
- 写真で発表活動をしていくためのコンテスト
そこで、私は、まずは初心者・初級者向けフォトコンテストに応募し、入選を目指すことから始めたいと決意した。本稿では、目指すべき「初級者向けフォトコンテスト」で入選するための戦略と戦術を考えたい。
<目次> はじめに 初級者向けフォトコンテストの特徴 戦略 得意なジャンルやテーマを見つける 応募するコンテストを研究する 応募する写真を厳選する 応募する写真をレタッチする タイトルやステートメントをつける 戦術 テーマや応募規定に沿った写真を選ぶ 審査員の目を引くような写真を選ぶ 他の応募者と差別化できる写真を選ぶ 応募写真に対する思いや意図を伝える フォトコンテスト情報サイト あとがき |
初級者向けフォトコンテストの特徴
初級者向けフォトコンテストは、写真の基本的な技術や表現力を評価されるコンテストである。写真の初心者や趣味のアマチュア写真家が応募することが多い。
賞金や商品はそれほど高額ではないが、入選すると写真雑誌やウェブサイトなどで作品が紹介されたり、展覧会やグループ展などで作品が展示されたりすることがある。
カメラや写真雑誌のメーカーや、出版社などが主催していることが多く、画像データで応募することが多い。
プリント応募とデータ応募のどちらが良いかは、フォトコンテストの種類や目的によって異なるが、一般的には下記のような長所と短所がある。
プリント応募 | データ応募 | |
---|---|---|
長所 | ・作品に思いを込めやすい ・印刷で作品の印象を変化 ・用紙の選択で印象を変化 ・応募者が比較的少ない ・入賞しやすい | ・印刷が不要 ・郵送コストが不要 ・データの保存が容易 ・データの再送が容易 ・応募数に制限が少ない |
短所 | ・印刷に手間がかかる ・郵送コストが必要 ・プリンターの選択に悩む ・印刷の方法に悩む ・退色や破損のリスクあり ・印刷サイズに制限がある ・応募枚数に制限がある | ・作品に思いを込めにくい ・データの画質に不安が残る ・データの色再現に不安 ・データの編集や加工に頼る ・応募者が多い ・入賞しにくい |
尤も応募者が選択できない場合が多く、応募要領に従うした方法はない。
戦略
初級者向けフォトコンテストで入選するための戦略としては、下記のようなものがある。
- 自分の得意なジャンルやテーマを見つける
- 応募するコンテストを研究する
- 応募する写真を厳選する
- 応募する写真をレタッチする
- 応募する写真にタイトルやステートメントをつける
得意なジャンルやテーマを見つける
初級者向けフォトコンテストでは、自分の得意なジャンルやテーマを見つけることが重要となる。自分の得意なジャンルやテーマとは、以下のような特徴を持つものである。
- 自分が興味や関心を持っているもの
- 自分が撮影することに楽しみややりがいを感じるもの
- 自分が多くの写真を撮っているもの
- 自分が自信を持って見せられるもの
自分の得意なジャンルやテーマを見つけることで、以下のようなメリットがある。
- 自分の写真に対する思いや意図が強くなる
- 自分の写真に対する個性や特徴が出る
- 自分の写真に対する技術や知識が深まる
- 自分の写真に対する評価や反響が高まる
- 結果として、自分の写真のクオリティが向上する
自分の得意なジャンルやテーマを見つける方法としては、以下のようなものがある。
- 自分が撮った写真を整理し、カテゴリー別に分類する
- 自分が撮った写真を振り返り、感想や評価を書き出す
- 自分が撮りたい写真をイメージし、目標や計画を立てる
- 自分が撮った写真を他人に見せて、評価や助言をもらう
応募するコンテストを研究する
初級者向けフォトコンテストでは、応募するコンテストを研究することが重要である。応募するコンテストを研究する目的は、フォトコンテストの目的や趣旨、審査基準や応募規定、審査員や主催者の嗜好や傾向、過去の入選作品や傾向などを理解するためである。
これらの情報を知ることができれば、自分の写真がコンテストに適切かどうかを判断したり、コンテストに応募する際の注意点やポイントを把握したりすることができる。
応募するコンテストを研究には、以下のような方法がある。
- コンテストの公式サイトや募集要項を読み込む
- コンテストの審査員や主催者のプロフィールや作品を調べる
- コンテストの過去の入選作品や審査コメントを見る
- コンテストの関連記事や情報を集める
応募する写真を厳選する
初級者向けフォトコンテストでは、応募する写真を厳選することが重要である。応募する写真を厳選することは、次のような利点を生み出す。
- 自分の写真の中で最も優れたものを選べる
- 自分の写真の中で最もコンテストに合ったものを選べる
- 自分の写真の中で最も印象的なものを選べる
- 自分の写真の中で最も自分らしいものを選べる
これらの写真は、審査員の目に留まりやすく、評価を引き上げる可能性が高いはずである。また、応募する写真を厳選する方法としては、次のような方法が有効である。
- 自分の写真を客観的に見るために時間をおく
- 自分の写真を評価するために基準や指標を設定する
- 自分の写真を比較するために候補を絞る
- 自分の写真を決めるために感覚や直感を信じる
応募する写真をレタッチする
フォトコンテストの主催者が応募作品のレタッチを許可している場合には、画像編集のレタッチを試みても良いだろう。レタッチは写真の仕上げとしても欠かせない。その理由としては、応募写真をレタッチすることで、次のような利点があるからである。
- 自分の写真の画質や色彩を向上させられる
- 自分の写真の雰囲気や表現力を強化できる
- 自分の写真の課題や欠点を修正できる
- 自分の写真の完成度や魅力を高められる
但し、応募写真をレタッチする際には、以下ような点に注意が必要である。
- 写真印刷に適したソフトウェアやツールを選ぶ
- レタッチに必要な操作や技法を学ぶ
- レタッチに目的や方向性を持たせる
- レタッチが過度や不自然にならないように注意
タイトルやステートメントをつける
初級者向けフォトコンテストでは、応募する写真にタイトルやステートメントをつけることが重要である。タイトルとは、写真の内容やテーマを簡潔に表現する言葉を指す。一方、ステートメントとは、写真の背景や意図を詳しく説明する文章を指す。
応募写真にタイトルやステートメントをつける目的は、次のようなものである。
- 写真の魅力やメッセージを伝える
- 写真の物語や感情を想像させる
- 写真の見方や解釈を誘導する
- 写真の作者としての個性や視点を示す
応募写真にタイトルやステートメントをつけることで、以下のような利点があるとされる。
- 自分の写真に対する思いや意図を伝えられる
- 自分の写真に対する個性や特徴を示すことができる
- 自分の写真に対するテーマやストーリーを説明できる
- 自分の写真に対する感情や感想を表すことができる
- 作品の最初の印象を決めることもできる
- 視覚情報とは異なる観点から作品を解釈する手助けになる
- タイトルやステートメントが印象的であれば、審査員の記憶に残りやすく、作品の評価を引き上げることができる
応募写真にタイトルやステートメントをつける方法としては、以下のようなものがある。
- 自分の写真に対するキーワードやメッセージを考える
- 独自性があるタイトルやステートメントを考える
- 印象的なタイトルやステートメントを考える
但し、応募写真にタイトルやステートメントをつける際には以下のような点に注意する必要がある。
- タイトルは短くシンプルにする
- ステートメントは100字程度にまとめる
- 写真の内容やテーマに合わせる
- 自分の撮影した時の気持ちや思いを伝える
- 他の作品と被らないようにオリジナリティを出す
戦術
戦術とは、戦略を実現するための具体的な方法や手段のことである。戦術としては、次のようなものが考えられる。
- コンテストのテーマや応募規定に沿った写真を選ぶ
- 審査員の目を引くような写真を選ぶ
- 他の応募者と差別化できるような写真を選ぶ
- 自分の写真に対する思いや意図を伝える
テーマや応募規定に沿った写真を選ぶ
初級者向けフォトコンテストでは、コンテストのテーマや応募規定に沿った写真を選ぶことが重要である。コンテストのテーマや応募規定は、コンテストの公式サイトや募集要項で確認できる。
テーマや応募規定に沿った写真を選ぶことで、以下のような利点がある。
- コンテストの目的や趣旨に応えることができる
- 審査員の期待や基準に合致させられる
- 応募資格や条件を満たすことができる
- 応募作品の審査や選考に不利にならない
コンテストのテーマや応募規定に沿った写真を選ぶためには、以下のような点を考慮する必要がある。
- テーマや応募規定の内容や意味を正しく理解する
- テーマや応募規定に関連するキーワードやイメージを思い浮かべる
- テーマや応募規定に適合する自分の写真を探す
- テーマや応募規定に沿って自分の写真を説明してみる
審査員の目を引くような写真を選ぶ
初級者向けフォトコンテストでは、審査員の目を引くような写真を選ぶことが重要である。審査員の目を引くような写真とは、以下のような特徴を持つものである。
- 画質や色彩が美しく鮮明なもの
- 構図や構成がバランスよく効果的なもの
- 表現力や感動力が高く印象的なもの
- 創造性や独自性が高く個性的なもの
審査員の目を引くような写真を選ぶことで、以下のような利点がある。
- 審査員の興味や関心を引くことができる
- 審査員の記憶や評価に残ることができる
- 審査員の感情や感想に訴えることができる
- 審査員の好みや嗜好に合うことができる
審査員の目を引くような写真を選ぶ方法としては、次のような方法がある。
- 審査員のプロフィールや作品を調べて嗜好や傾向を探る
- 審査員のコメントや評価を読んで期待や基準を知る
- 過去の入選作品や傾向を分析して参考にする
- 自分の写真を客観的に見て審査員の立場になって評価する
他者と差別化できる写真を選ぶ
初級者向けフォトコンテストでは、他の応募者と差別化できるような写真を選ぶことが重要である。他の応募者と差別化できるような写真とは、例えば、以下のような特徴を持つものである。
- 題材やテーマが珍しく目新しいもの
- 撮影方法や技法が工夫されているもの
- レタッチや加工が上手く使われているもの
- タイトルやステートメントが工夫されているもの
他の応募者と差別化できるような写真を選ぶことで、以下のような利点がある。
- 審査員の好奇心や驚きを刺激することができる
- 審査員の評価や評判を高めることができる
- 審査員の選択肢や比較対象になることができる
- 審査員の判断や決断を促すことができる
他の応募者と差別化できるような写真を選ぶ方法としては、例えば、次のような方法がある。
- 題材やテーマに関する知識や情報を広げる
- 撮影方法や技法に関する学習や練習をする
- レタッチや加工に関するソフトウェアやツールを使う
- タイトルやステートメントに関するキーワードやメッセージを考える
写真に対する思いや意図を伝える
初級者向けフォトコンテストでは、自分の写真に対する思いや意図を伝えることが重要である。自分の写真に対する思いや意図を伝えることで、以下のような利点がある。
- 自分の写真に対する背景やエピソードを共有できる
- 自分の写真に対するテーマやメッセージを明確にできる
- 自分の写真に対する感情や感想を表現することができる
- 自分の写真に対する個性や特徴を強調することができる
自分の写真に対する思いや意図を伝える方法としては、以下のような方法がある。
- 自分の写真に対するタイトルやステートメントをつける
- 自分の写真に対するキャプションやコメントをつける
- 自分の写真に対するハッシュタグやキーワードをつける
- 自分の写真に対するポートフォリオやウェブサイトを作る
フォトコンテスト情報サイト
全国フォトコンテスト情報ポータル |
現在開催中のフォトコンテスト一覧を掲載している。テーマや賞品、締切日などの詳細も確認できる。 |
フォトコンテスト情報 | CAPA CAMERA WEB (getnavi.jp) |
写真雑誌「CAPA」のウェブサイトで、フォトコンテストの情報を提供している。プロ・アマ問わず、様々なジャンルのフォトコンテストが掲載されている。 |
全日本写真連盟 |
コンテスト情報も掲載されている。 |
あとがき
冒頭にも書いたが、私が写真を自分の趣味に意識的に加えるようになったのは社内フォトコンテストで入賞させてもらったことがきっかけである。
それまでもカメラを何台か買い替えたりしながら、写真撮影は続けていた。もっとも被写体は大半が山岳であったり、滝であったりした。言うならば、カメラは私が登った山岳を記録するためのツールであり、写真はその山行記録でしかなかった。
それが海外出張のついでや海外留学時の休日に見知らぬ街の教会や街並み、古城を撮影するようになった。しかし、それすらも単なる旅行写真(記念写真)であって、コンテストで入賞を目指すようなアート的な要素は全く含まれていなかった。
他人とは違った構図で写真を撮ってみたいと思うようになったのは、社内フォトコンテストで入賞したことが大きなきっかけになったのだと今では思っている。