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写真愛好家が初めて星空を撮影する際に役立つ知識とスキル

はじめに

写真は、自分の目で見た世界を表現する楽しい趣味である。デジタルカメラが普及した今日では誰でもが簡単に写真を撮ることができる。今まで写真をあまり撮ったことがない人でもスマホで簡単に写真が撮れている時代となった。シニア世代が写真撮影を趣味に加えないという選択肢はないのではないかとさえ思う。

かつての銀塩フィルムの全盛の時代には趣味のアマチュア写真家を目指す者は、写真の撮影技法を学習するに際して、写真の世界で使われている専門的な用語については理解しておく必要があった。そして最低限の専門用語については覚えておかなければならなかった。

しかしながら、現在はデジタルカメラで撮影できる時代である。ほとんどの撮影操作はカメラの本体機能で自動的に調整してくれるので、私たちは被写体にカメラを向け、構図とアングルだけに気をつけてシャッターを押すだけで良い便利な時代に生きている。だから専門用語を理解しなくても写真を撮る分には問題ないのが実情ではある。

とは言え、経験を積み、より良い写真を撮ろうとすると、どうしてもカメラの仕組みや被写体の撮影状態についての知識と技術が必要となってくるものである。

特に、夜空に広がる星々は、誰もが一度は撮ってみたいと思う被写体である。しかし、いざ挑戦してみると「真っ暗!」「星が写らない!」なんてこともある。

本稿では、初めて星空を撮影する人が知っておくと安心な基本知識と技術を分かりやすく紹介したいと思う。

目次
はじめに
星空撮影
必要なアイテムの準備
撮影地と天候の把握
撮影モードの設定
構図とフレーミング
撮影テクニック
フォーカス合わせのコツ
ホワイトバランス調整のコツ
Sony α7IV+ズームレンズで撮影
あとがき

星空撮影

星空撮影と言っても、星を見た目通りに点で写したり、時間とともに動いていく軌跡として写したり、望遠で星雲を大きく切り取ったりと、様々な撮り方がある。しかし、本稿では最も手軽にチャレンジできる「星を点で写す」撮り方について紹介する。

星空撮影は、美しい夜空を捉えるために準備が必要であり、いくつかのテクニックやコツも必要である。


必要なアイテムの準備

  • カメラ
    • 高感度のカメラを用意する
    • 星空撮影には高感度で撮影できるカメラの方が有利
    • ISO3200~6400で撮影をしてもノイズが出にくいモデル
    • 三脚使用の際は、誤作動を防ぐため手ブレ補正機能をオフに設定しておく
    • 一眼レフまたはミラーレスがおすすめであり、マニュアル操作ができる機種が理想である
  • レンズ
    • 広角レンズ(焦点距離:14mm〜35mm)が星空全体を捉えやすい
    • 明るいレンズ(F2.8以下)が最適
      • 暗い星も撮影しやすいため
  • 三脚
    • 星空撮影では長時間露光が必要
    • 長時間露光には三脚が必須
      • 星は微動だにしないが、カメラを手に持つとブレるため
    • カメラを安定させるために、安定した三脚を使う
  • リモートシャッター(レリーズ)
    • 手ブレ防止のために使用
    • セルフタイマーでもOK
    • スマホ連携でもOK
  • 予備のバッテリー
    • 長時間撮影のため、予備のバッテリーがあると安心
  • 防寒対策も忘れずに!
    • 真夏以外の夜は冷えることが多い

広大な星空を撮影するには広角レンズがお薦めである。ズームレンズの場合は、レンズの広角側(焦点距離が短い側)を使えばより多くの星と風景を一緒に写すことができる。

また、明るい単焦点レンズは光を多く取り入れることができるため、ノイズを抑えて星空を撮影することが可能となる。


撮影地と天候の把握

星空撮影においては、暗い場所が最適である。撮影場所の選定が撮影成功の第一歩と言える。街灯などの光害のない場所を選ぶ必要がある。都市部から離れた山や海岸が理想的である。

また、新月の時期が最適である。月が明るいと星が見えにくくなるからである。新月前後が狙い目であるのは、月明かりが少ないほど星が映えるからである。

そして、当り前のことではあるが、天候の確認を忘れてはならない。できる限り、晴れた夜を狙いたい。雲が少ないほど良い写真が撮れるのは当然のことである。雲が多い日は星空撮影どころか星空観察さえできない。


撮影モードの設定

星空撮影の場合は、カメラの撮影モードを絞り優先モード(A)に設定する。

  • ISO設定
    • 高めのISO(1600〜3200)を使用
    • 星を明るく捉えたい
  • 絞り
    • 絞りを開放(F2.8〜F4)に設定
    • できるだけ多くの光を取り込む
  • シャッタースピード
    • 露光時間は15〜30秒が一般的
    • 10〜25秒が良いとする意見も!
    • これ以上長くすると星が動くので要注意
    • 星が流れない時間を意識する
    • 500÷焦点距離で計算すると良い

では、高感度カメラが使用できない場合はどうするか?
マニュアルモード(M)で下記のような設定を試みると良い。

  • ISO設定
    • ISO感度は400を目安に設定する
  • 絞り
    • 絞り値はF8F16くらいに設定する
  • シャッタースピード
    • 露光時間は8秒前後を目安に設定する

構図とフレーミング

構図の工夫としては、木々や山の稜線を入れると、星空がよりドラマチックになると思う。

  • 三分割法
    • 星空と前景をバランスよく配置するために活用する
  • 前景を活用
    • 木や山、建物などを前景に入れる
    • 写真に深みと面白味が加わる

撮影テクニック

  • フォーカス
    • 無限遠に設定して、星がシャープに映るようにする
    • ライブビューで拡大してピントを合わせると効果的
    • 星空撮影ではピント合わせが重要
    • 星を点像として写すにはマニュアルフォーカスを使用
    • 星にピントを合わせたらその状態を固定する
  • ホワイトバランス
    • 自動ホワイトバランスではなく、日光や蛍光灯モードを試すと良い結果が得られる場合が多い
  • カメラレンズの結露に気を付ける
    • 湿度が高い場所ではレンズが結露しやすい
    • 写真がぼやけてしまう可能性がある
    • レンズヒーターなどを使って結露を防ぐ
  • レタッチソフトを使う
    • 星空撮影後はレタッチソフトを使って画像を調整する
    • RAW形式で撮影し、後処理で画像を最適化するとよい
  • 楽しんで撮ること
    • 最も大切なのは、撮影を楽しむことである!

フォーカス合わせのコツ

夜空のような暗いシーンでは、オートフォーカス(AF)が使えないため、ピントはマニュアルフォーカス(MF)で合わせる。

しかしながら、液晶画面をそのまま見ながら小さな星にピントを合わせるのは困難であるので、MFアシストやピント拡大を使い、明るい星を液晶画面で拡大しながらピントを合わせると良い。

拡大する場所は操作ボタンで移動できるので、ピントが合っているかどうか分かりそうな明るい星を探し出して、その星でピントを合わせるようにする。

明るい星を見つけたら、フォーカスリングを回して星の輪郭がはっきりと見えるピント位置を探す。ピントは必ずしもフォーカスリングを回し切った位置(無限遠)で合うとは限らないので、必ず拡大して確認するようにする。

もし画面が真っ暗で、星や風景が見えづらい場合には、一旦ISO感度を3200や6400等まで上げて、画面に写る画を明るくしてからもう一度探してみる。

一度ピントを合わせたら、撮影を終えるまでピントを動かさないように注意する。ピント位置はレンズをズームさせたりした場合でも変わってしまう。

ピントを星に合わせたら、シャッターボタンを押して撮影する。撮影後には長秒時ノイズリダクションが働くため、画像が再生できるようになるまで少し時間がかかる。

撮影された画像を拡大して確認し、もし全体が明るすぎたり暗すぎたりする場合は、ISO感度やシャッタースピードを変えながら、何枚か撮ってみる。

ISO感度は高いほど明るく、シャッター速度も短くして撮影することが可能になるが、あまり高くしすぎると、高感度カメラでない場合には画像にノイズが乗ったり解像感が失われたりするケースが多い。

また、液晶モニターが明るすぎると、画像の明るさを正しく判断できない場合がある。暗い場所での撮影では、モニターの明るさを昼間の時よりも暗く設定しておくことをお勧めする。

星空撮影での構図確認にはブライトモニタリング機能がおすすめである。これは、周囲が暗い状況下で露光時間を延ばすことにより、ビューファインダー/モニターで構図の確認ができる機能である。ブライトモニタリングを使用するには、[ブライトモニタリング]の項目をカスタムキーに設定する必要がある。


ホワイトバランス調整のコツ

星が写っているのを確認できたら、構図や色を調整してみよう。星を写すときは、星だけではなく周りの景色と一緒に写すとより印象的な写真になる。周りを見渡しながら、木や遠景が周囲に入るように撮ってみると良い。構図を変える際は、一度合わせたピントリングを動かさないように注意しよう。

色はホワイトバランスから変更する。どのような色がよいかは個人の好みによるが、【日光モード】や【蛍光灯モード】などに設定すると、青みがかかって星空らしいスッキリとしたイメージを残すことができる。オートホワイトバランス(AWB)では肉眼に近い自然な色味で仕上がる。これも撮影者個人の好みである。


Sony α7IV+ズームレンズで撮影

私は、現在の愛機であるSony α7IVにズームレンズのFE 24-105mm F4 G OSS(ソニー純正)を装着して使用することが多い。その理由は、オールラウンドに使える万能レンズであり、風景・ポートレート・旅行に最適であるからである。

ズーム全域でシャープな描写と美しいぼけ味を出すことができる上、OSS(光学式手ブレ補正)付きで夜景や星空の撮影にも安心して使用できるからである。

このズームレンズを用いて星空を撮影する際の基本設定は以下のとおりである。

星空を撮る基本設定

項目推奨設定
モードマニュアル(M)
ISO感度1600〜3200
絞り/F値F4
シャッター速度10〜20秒
ホワイトバランス太陽光
フォーカスマニュアルで∞
ライブビューで
拡大して確認

あとがき

趣味のアマチュア写真家を目指す初級者の一人として、私もデジタルカメラを用いた写真撮影技術について一緒に学んでいきたいと思う。

趣味のアマチュア写真家を目指す初級者にとって、知っておくと必ず役立つ撮影技術を集めてみようと思う。きっと何か一つぐらいはお役に立つはずである。アマチュア写真家の端くれとして、経験からもそのように私は確信する。

星空撮影は、ちょっとした準備と工夫でグッと美しくなる。最初はうまくいかなくても、空を見上げる時間そのものがかけがえのない想い出(宝物)となる。是非、カメラを持って星空撮影に出かけてみてほしい。


【参考資料】
星空を一眼レフで撮影するコツ。カメラの設定も解説 (goopass.jp)
夜空の星を撮る | デジタル一眼カメラ α(アルファ)で写真撮影を楽しむ | 活用ガイド | デジタル一眼カメラ α(アルファ) | サポート・お問い合わせ | ソニー (sony.jp)

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