はじめに
写真は、自分の目で見た世界を表現する楽しい趣味である。デジタルカメラが普及した今日では誰でもが簡単に写真を撮ることができる。今まで写真をあまり撮ったことがない人でもスマホで簡単に写真が撮れている時代となった。シニア世代が写真撮影を趣味に加えないという選択肢はないのではないかとさえ私は思う。
さて、趣味のアマチュア写真家を目指す者は、写真の撮影技法を学習するに際し、写真の世界で使われている専門的な用語については理解しておく必要がある。そして最低限の専門用語については覚えておかなければならない。
しかしながら、かつての銀塩フィルムで撮影して時代と異なり、現在はデジタルカメラで撮影できる時代である。ほとんどの撮影操作はカメラの本体機能で自動的に調整してくれるので、私たちは被写体にカメラを向け、構図とアングルだけに気をつけてシャッターを押すだけで良い便利な時代に生きている。
だから専門用語を理解しなくても写真を撮る分には問題ないのが実情ではある。しかしながら、より良い写真を撮ろうとすると、どうしてもカメラの仕組みや被写体の撮影状態についての知識が必要となってくるものである。
野鳥写真は、自然の美しさと瞬間の奇跡を切り取る魅力的なジャンルである。しかし、初めて挑戦するとなると「どこで撮る?」「どんな機材が必要か?」などの疑問が生じる。本稿では、初心者でも楽しく始められる野鳥撮影のコツを紹介したいと思う。
趣味のアマチュア写真家を目指す初級者の一人として、私もデジタルカメラを用いた写真撮影技術について一緒に学んでいきたいと思う。趣味のアマチュア写真家を目指す初級者にとって、知っておくと役立つ撮影技術を集めてみた。きっと何か一つぐらいはお役に立つはずである。アマチュア写真家の端くれとして、経験からもそのように私は確信する。
野鳥撮影
野鳥撮影のコツは、準備と忍耐、そして技術のバランスである。

必要なアイテムの準備
野鳥撮影の準備で重要なのは、探鳥地の選定と共に適切な機材を選定し、準備することである。
野鳥撮影に必要なアイテムは次のようなものである。
- カメラ
- レンズ交換ができるデジタル一眼レフカメラがお薦め
- 飛び立つ瞬間を逃さないために連写速度が速いもの
- AF(オートフォーカス)性能が高いもの
- レンズ
- 望遠レンズは鳥を離れた場所から撮影するために必須
- 高倍率の望遠レンズ(300mm以上)が望ましい
- 野鳥は距離があるから、望遠レンズがあると安心
- レンタルもおすすめ
- 三脚
- カメラを安定させるために三脚が必要な場合が多い
- 手ブレを防ぐのに役立つ
- 長時間の撮影でも疲れにくい
- カメラバッグ
- カメラやレンズを保護し、持ち運びやすくする
- メモリーカード
- 写真を記録するためのメモリーカードが必要
- 防寒具や日焼け止め、虫よけ、帽子など
- 野鳥撮影は屋外で行うため、季節や天候に応じた防寒具や日焼け止め、虫よけ、帽子などが必要
- レインコートや折りたたみの長靴
- 雨の日にはレインコートや折りたたみの長靴が必要
探鳥地の把握
野鳥のいない所に行っても仕方がない。野鳥がよく現れる場所や時間帯を事前によく調査しておくことが必須であり、かつ、効率的に野鳥を撮影できるコツである。そうは言っても、必ずしも目的の野鳥に出会えないのがバードウォッチングである。
- 身近な公園や水辺からスタート
- カモなどの水鳥は人に慣れた鳥が多くて撮りやすい
- 季節は春と秋が狙い目
- 渡り鳥が多く現れる季節
- 朝方や夕方が活動的でシャッターチャンスも増える

撮影モードの設定
まずはカメラの設定、特に、絞り・シャッタースピード・露出の関係を理解し、それぞれの設定を最適に調整することが野鳥撮影の第一歩である。
- シャッター速度
- 野鳥は動きが速いので、1/1000秒以上の速いシャッター速度を設定すると良い
- 速めのシャッター速度は、飛翔シーンには特に重要
- 野鳥の動きを止めるためには、高速シャッターが必要
- 絞り設定
- 絞りは開放気味で背景をぼかして被写体を際立たせる
- F5.6などの開放絞りを使用するのが効果的である
- 鳥を際立たせるためにはF5.6〜F8くらいがちょうど良い
- ISO感度
- 低いISO(100~400)を使用するとノイズが少なくなるが、暗い環境では適度に上げることも検討する
- 明るさを調整するためにISO感度を適切に設定する
- AFは追従モードに設定
- 動く野鳥にピントを合わせ続けるにはAIサーボやAF-Cモードが便利
構図とフレーミング
- 三分割法
- 野鳥をフレームの三分割線に配置し、バランスの取れた構図を作る
- 背景選び
- 背景に注意を払い、野鳥が際立つように工夫する

撮影テクニック
野鳥撮影の要領については、一般的に下記のようなコツが知られている。
- フォーカスを合わせる
- 野鳥は常に動き回る
- フォーカスを正確に合わせることが重要
- AIサーボAF機能の活用
- 動いている鳥に焦点を合わせ続けるために、カメラのAIサーボオートフォーカス機能を活用する場合もある
- 撮影角度を変える
- 野鳥の動きや表情を捉えるためには撮影角度を変える
- カモフラージュ
- 鳥に気づかれにくい衣装や隠れ場所を利用する
- 静かに動く
- 鳥を驚かせないように、静かにゆっくりと動く
- 鳥の行動パターンを観察する
- 野鳥の行動パターンや習性を観察し、ベストなタイミングを見計らうこと
- 野鳥の様子をよく観察し、次の動きを予測する
- 餌を食べている時や水浴びをしている時が狙い目

野鳥撮影のマナーを守る
野鳥撮影時には野鳥やその生息地を尊重することが大切である。野鳥に限らず自然で生きる野生の生物は、人の些細な行動であってもストレスになってしまう可能性がある。人と野生生物が共存していけるように見守る気持ちで撮影する必要がある。
また、周りの撮影者や地域の住民の方の迷惑にならないように、以下のマナーを守って撮影をしよう。
- 野鳥に近づきすぎないようにする
- 静かに、ゆっくり動く
- 野鳥はとても敏感なので、驚かせないように気をつける
- フラッシュやライトなどを光らせない
- 野生生物にエサを与えない
- 大きな声を出さない
- 撮影場所が遊歩道の場合、三脚や荷物などで歩行者の妨げにならないようにする
- ゴミは持ち帰る、自然を守る
- 撮影場所をきれいに保つのも写真愛好家の大切な役割!
あとがき
野鳥撮影では自然との一体感が得られる。カメラを構えて森や水辺に身を置くと、風の音や鳥のさえずりが心に染みてくる。まるで自然と会話してるみたいな感覚になる。
羽ばたく瞬間、餌をついばむ野鳥の姿、仲間とじゃれ合う様子など、どれも一瞬で過ぎ去るけれど、写真にすればその美しい奇跡の瞬間を永遠に残せる。
このように野鳥撮影は、単なる趣味ではなくて、自然とつながる冒険、あるいは自然との対話みたいなものである。ちょっとだけ早起きして双眼鏡とカメラを持って出かけてみよう。そして、静かに耳を澄ませて、レンズ越しに野鳥たちの世界をのぞいてみる。これは野鳥撮影のみならず、バードウオッチングの醍醐味である。
初心者におすすめの野鳥撮影の練習法としては、次のようなものがある。一度、試してみては如何であろうか?
- 飛ばない鳥から練習
- 止まっている鳥や水辺の鳥は撮りやすい
- まずはそこから始めてみても良い
野鳥の名前、生態、季節ごとの行動パターンなど、撮るほどに知識が増え、学びの機会が増えていく。気づけば探鳥地の野鳥の種類についても言えるようになってるかも知れない。
早朝の散歩や山歩きが日課になれば、自然と運動不足も解消して健康にも良いはずだ! 心も体もリフレッシュできる。
動く被写体を追うから、ピント合わせや構図の工夫が自然と身につくはずである。カメラの機能をフル活用するから、撮影技術も磨かれる。
このように野鳥撮影は良いことづくめである! さあ、思い立ったが吉日、野鳥撮影に出かけてみよう!