はじめに
「働きがいのある人間らしい仕事」——それが、ディーセント・ワーク(Decent Work)の意味である。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の中でも、目標8「働きがいも経済成長も」は、すべての人にとって重要なテーマでもある。
本稿では、ディーセント・ワークの本質と、これからの働き方について一緒に考えてみたい。
ディーセント・ワークとは?
ディーセント・ワークは、ILO(国際労働機関)が提唱した概念で、以下の4つの柱から成り立っている:
- 生産的で公正な収入が得られる仕事
- 労働者の権利が守られていること
- 社会的保護があること
- 社会対話(労使間の対話)が保障されていること
つまり、単に「働ける」だけでなく、安心して、尊厳を持って働ける環境が整っていることが大切であるとされる。
SDGsとディーセント・ワークの関係
2015年の国連サミットにおいて全加盟国により全会一致で合意されたSDGs(Sustainable Development Goals)は、持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標であり、 2030年を達成年限として、17のゴールと169のターゲットから構成されている。
これらのゴールの中にGoal 8(目標8)として「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワークを促進する(経済成長と雇用)」というのがある。
ディーセント・ワーク(Decent Work)というのは、日本では「働きがいのある人間らしい仕事」と定義されており、厚労省において下記の4つがディーセントワーク実現のために重要であるとされている。
| 1 | 雇用の促進 働く機会が与えられ、生計に足る収入が得られること |
| 2 | 社会的保護の方策の展開及び強化 プライベートと職業生活の両立ができ、安全な職場環境に加え雇用保険・医療などの制度が確保されること |
| 3 | 社会対話の促進 労働者の権利が保障され、職場での発言が認められること |
| 4 | 労働における基本的原則及び権利の尊重、促進及び実現 平等な扱いを受けること |
厚生労働省 (mhlw.go.jp)
このように、ディーセントワークとは、「働く人の権利が適切に保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与される生産的な(社会的に意味のある)仕事」という意味らしい。誰もが仕事(ワーク)と生活(ライフ)を調和(バランス)させることが可能と考えることができるような理想的な環境を整備し、人間らしい仕事を皆が職業として持てるような社会の実現を目指すスローガン(合言葉)のようなものだと私は理解している。
人間らしい仕事は、理想の生活と密接に関係している。仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章にも『 仕事と生活の調和に向けた取組を通じて、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現に取り組み、職業能力開発や人材育成、公正な処遇の確保など雇用の質の向上につなげることが求められている。ディーセント・ワークの推進は、就業を促進し、自立支援につなげるという観点からも必要である』と記載されている。
以上をまとめると、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」は、経済成長と雇用の質を両立させることを目指している。特に注目すべきターゲットは以下の通りである:
- 8.5:2030年までに、すべての人に完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワークを提供し、同一労働同一賃金を実現する
- 8.7:強制労働や児童労働の撤廃
- 8.8:労働者の権利保護と安全・安心な労働環境の促進
これらは、経済的な成長だけでなく、人間らしい生活を支える働き方の実現を目指している。
近未来の働き方に必要な視点
ディーセント・ワークの実現には、企業や政府だけでなく、私たち一人ひとりの意識の変化も大切である!
1. ワークライフバランスの重視
長時間労働や過労を見直し、心と体の健康を守る働き方が求められてる。
2. 多様性とインクルージョン
性別、年齢、国籍、障がいの有無に関係なく、誰もが活躍できる職場づくりがカギとなる。
3. リスキリングと学び直し
技術の進化に対応するために、学び続ける姿勢がこれからの働き方を支える。
あとがき
ディーセント・ワークは未来への羅針盤
ディーセント・ワークは、単なる理想ではなく、持続可能な社会を築くための現実的な目標。SDGsの達成に向けて、私たちも「働きがい」について考え、行動していくことが大切である思う。そしてその答えが、近未来の働き方をつくるヒントになるかも知れない。
もっとも会社員生活をリタイアした私たちシニア世代にとっての“働きがい”は“生きがい”と同義であると考えてよい。