はじめに
写真は、自分の目で見た世界を表現する楽しい趣味である。デジタルカメラが普及した今日では誰でもが簡単に写真を撮ることができる。今まで写真をあまり撮ったことがない人でもスマホで簡単に写真が撮れている時代となった。シニア世代が写真撮影を趣味に加えないという選択肢はないとさえ私は思ってしまう。
さて、趣味のアマチュア写真家を目指す者は、写真の撮影技法を学習するに際し、写真の世界で使われている専門的な用語については理解しておく必要がある。そして最低限の専門用語については覚えておかなければならない。
しかしながら、かつての銀塩フィルムで撮影して時代と異なり、現在はデジタルカメラで撮影できる時代である。ほとんどの撮影操作はカメラの本体機能で自動的に調整してくれるので、私たちは被写体にカメラを向け、構図とアングルだけに気をつけてシャッターを押すだけで良い便利な時代に生きている。
だから専門用語を理解しなくても写真を撮る分には問題ないのが実情ではある。しかしながら、より良い写真を撮ろうとすると、どうしてもカメラの仕組みや被写体の撮影状態についての知識が必要となってくるものである。
本稿では、趣味のアマチュア写真家を目指す初級者の一人として、私もデジタルカメラを用いた写真撮影技術について一緒に学んでいきたいと思う。
趣味のアマチュア写真家を目指す初級者にとって、知っておくと役立つ撮影技術を集めてみた。きっと何か一つぐらいはお役に立つはずである。アマチュア写真家の端くれとして、経験からもそのように私は確信する。
風景写真
魅力的な風景写真を撮影するためには、いくつかのポイントがある。順を追って、下記のようなポイントを説明したい。
レンズの選択
風景写真を撮影するためには、広い範囲を一度に撮影できる広角レンズが最適である。広角かた中望遠をカバーするズームレンズを装着している場合は、広角側にすればよい。
撮影モードの設定
- 低いISO
- できるだけ低いISO設定を使用する
- ノイズを減らし、より鮮明な写真が撮れる
- 絞り設定
- F8〜F16の絞りを使うことで、風景全体にピントが合った写真が撮れる
構図とフレーミング
- 三分割法
- 写真を水平・垂直に三等分し、交点に主要な被写体を配置することでバランスの取れた写真になる
- リードインライン
- 道や川など自然のラインを活用して視線を導くことで、写真に深みと動きを与える
撮影テクニック
- 長時間露光
- 滝や川、雲の動きを撮影する際に長時間露光を使うと、滑らかな流れを表現できる
- パノラマ撮影
- 複数の写真をつなげて広い風景を撮影する方法もある
- 多様な天候
- 晴天だけでなく、曇りや雨、霧の中で撮影することで、異なる雰囲気の写真が撮れる
- 季節感
- 季節の変化を取り入れることで、風景の多様性と美しさを引き出す
- ゴールデンアワー
- 日の出直後や日没直前の時間帯は、柔らかい光と美しい影ができ、風景写真に最適である
- 特に、湖沼や紅葉などの撮影には陽光の方角が重要となるので写真撮影の時間帯がポイントとなる
- 逆光撮影
- 被写体の後ろから光を受けることで、シルエットやドラマチックな効果を演出する
行事写真
夏祭りや秋祭りのような行事の写真撮影は、色彩豊かな瞬間を捉えることができる楽しいチャンスである。
長時間の撮影に備えて、必要に応じて、予備のバッテリーとメモリーカードを用意しておくとよい。
レンズの選択
広角レンズは風景全体を捉えるのに適しているし、ポートレートには望遠レンズも良い。したがって、広角から中望遠をカバーするズームレンズがお薦めである。
撮影モードの設定
- 低いISO
- 昼間の撮影は、できるだけ低いISO設定を使用する
- ノイズを減らし、より鮮明な写真が撮れる
- 絞り設定
- 被写体に合わせて絞り設定を調整でする
- カメラ本体の機能「オートモード」が役立つ
構図とフレーミング
- リードインライン
- 祭り行列や道具を利用して視線を導く構図を考える
- 三分割法
- 主要な被写体をフレームの三分割線に配置するとバランスの取れた写真になる
- 背景も大切に
- 背景に注意を払い、被写体が際立つようにする
- 雑踏や賑わいを上手く利用して雰囲気を捉える
撮影テクニック
- 動きのある被写体
- 踊りや神輿行列などの動きのある被写体はシャッタースピードを速く設定して動きを止めるか、わざと遅くして動感を出すと面白い写真になる
- 人物の自然な表情を捉える
- わざとらしくない自然な瞬間を捉えるよう心掛ける
- 笑顔や集中している顔などが良い
- ストーリーテリング
- 一連の写真で祭りの始まりから終わりまでを物語を紡ぐように構成すると、より深みのある作品になる
- 夜の撮影
- 祭りは夜も魅力的である
- 三脚を使用してシャッタースピードを遅く設定し、光のトレイルを捉えると美しい写真が撮れる
人物の撮影における注意点
- 許可を取る
- 被写体が人物の場合、写真を撮ることを許可してもらうことを忘れずに行う。
野鳥撮影
野鳥撮影のコツは、準備と忍耐、そして技術のバランスである。

必要なアイテムの準備
野鳥撮影の準備で重要なのは、探鳥地の選定と共に適切な機材を選定し、準備することである。
野鳥撮影に必要なアイテムは次のようなものである。
- カメラ
- レンズ交換ができるデジタル一眼レフカメラがお薦め
- レンズ
- 望遠レンズは鳥を離れた場所から撮影するために必須
- 高倍率の望遠レンズ(300mm以上)が望ましい
- 三脚
- カメラを安定させるために三脚が必要な場合が多い
- 手ブレを防ぐのに役立つ
- カメラバッグ
- カメラやレンズを保護し、持ち運びやすくする
- メモリーカード
- 写真を記録するためのメモリーカードが必要
- 防寒具や日焼け止め、虫よけ、帽子など
- 野鳥撮影は屋外で行うため、季節や天候に応じた防寒具や日焼け止め、虫よけ、帽子などが必要
- レインコートや折りたたみの長靴
- 雨の日にはレインコートや折りたたみの長靴が必要
探鳥地の把握
野鳥のいない所に行っても仕方がない。野鳥がよく現れる場所や時間帯を事前によく調査しておくことが必須であり、かつ、効率的に野鳥を撮影できるコツである。そうは言っても、必ずしも目的の野鳥に出会えないのがバードウォッチングである。

撮影モードの設定
まずはカメラの設定、特に、絞り・シャッタースピード・露出の関係を理解し、それぞれの設定を最適に調整することが野鳥撮影の第一歩である。
- シャッタースピード
- 野鳥は動きが速いので、1/1000秒以上の速いシャッタースピードを使用すると良い
- 野鳥の動きを止めるためには、高速シャッターが必要
- 絞り設定
- 背景をぼかして被写体を際立たせる
- F5.6などの開放絞りを使用するのが効果的である
- ISO感度
- 低いISO(100~400)を使用するとノイズが少なくなるが、暗い環境では適度に上げることも検討する
- 明るさを調整するためにISO感度を適切に設定する
構図とフレーミング
- 三分割法
- 野鳥をフレームの三分割線に配置し、バランスの取れた構図を作る
- 背景選び
- 背景に注意を払い、野鳥が際立つように工夫する

撮影テクニック
野鳥撮影の要領については、一般的に下記のようなコツが知られている。
- フォーカスを合わせる
- 野鳥は常に動き回る
- フォーカスを正確に合わせることが重要
- AIサーボAF機能の活用
- 動いている鳥に焦点を合わせ続けるために、カメラのAIサーボオートフォーカス機能を活用する場合もある
- 撮影角度を変える
- 野鳥の動きや表情を捉えるためには撮影角度を変える
- カモフラージュ
- 鳥に気づかれにくい衣装や隠れ場所を利用する
- 静かに動く
- 鳥を驚かせないように、静かにゆっくりと動く
- 鳥の行動パターンを観察する
- 野鳥の行動パターンや習性を観察し、ベストなタイミングを見計らうこと
- 野鳥の様子をよく観察し、次の動きを予測する
- 餌を食べている時や水浴びをしている時が狙い目

野鳥撮影のマナーを守る
野鳥撮影時には野鳥やその生息地を尊重することが大切である。野鳥に限らず自然で生きる野生の生物は、人の些細な行動であってもストレスになってしまう可能性がある。人と野生生物が共存していけるように見守る気持ちで撮影する必要がある。
また、周りの撮影者や地域の住民の方の迷惑にならないように、以下のマナーを守って撮影をしよう。
- 野鳥に近づきすぎないようにする
- フラッシュやライトなどを光らせない
- 野生生物にエサを与えない
- 大きな声を出さない
- 撮影場所が遊歩道の場合、三脚や荷物などで歩行者の妨げにならないようにする
夜景撮影
夜景撮影は独特の魅力があり、上手く撮影できたときは妙に嬉しくなるから不思議である。
レンズの選択
夜景を撮影するためには、広い範囲を一度に撮影できる広角レンズが最適である。広角かた中望遠をカバーするズームレンズを装着している場合は、広角側にすればよい。
夜景撮影には、F値が小さい(明るい)単焦点レンズがあると便利である。F値が小さい単焦点レンズは、光を多く取り入れることができるため、暗いシーンでも手ブレやノイズを抑えて夜景を撮影することができる。また、人物やスナップでも、背景を大きくぼかした撮影が可能である。
夜景撮影に便利な単焦点レンズで、人気の高いレンズには下記のようなレンズが知られている。
- Canon EF 50mm f/1.8 STM
- 「ネオンレンズ」としても知られ、明るい夜景を美しく撮影するのに適している
- Nikon AF-S DX 35mm f/1.8G
- コンパクトで軽量なレンズで、夜景撮影に最適とされる
- Sony FE 55mm f/1.8
- ソニーのEマウントレンズで、高性能な夜景撮影に最適
- Sigma 30mm f/1.4 DC DN
- 広角レンジでありながら明るい絞りを持っており、夜景撮影に優れている
これらの単焦点レンズは、明るい絞り値と高い解像度を持っており、夜景の美しい光や星明りを捉えるのに最適である。私のカメラはSony α7IVであるので、Sony FE 55mm f/1.8の一択しかないが、高価なのでまだ購入できずにいる。トホホ。
撮影モードの設定
夜景撮影では、ISO感度はできるだけ小さく設定しておきたい。その分シャッター速度はさらに遅くなるが、三脚で固定しておけば、ブレる心配はないし、ノイズの発生も防ぐことができる。ISO感度はISO100~ISO400の間がお薦めである。
- 低ISO
- ISOを低め(100〜400)に設定すると、ノイズが少なく綺麗な写真が撮れる
- 絞り設定
- F8〜F16程度の絞り値を使うと風景全体にピントが合う
- シャッタースピード
- 長時間露光(数秒〜数十秒)を使用すると、光のトレイルや滑らかな水の表現が可能である
私たち人間の眼と異なり、カメラは暗い被写体でも明るい被写体でも、一律の明るさに写そうとする。そのため、夜空のような暗い部分や、街並みの明るい部分が入り混じる夜景撮影では、カメラの決める露出と人間の明るさの感覚が合わない。その結果、夜空が明るく浮いてしまったり、街のイルミネーションの色が白く飛んでしまったり、思うような仕上がりにはならない難しさがある。そのため、最初は露出補正無しで撮り、撮影結果を見ながら調整していくしか方法がない。これが、夜景撮影の難しさであると言えよう。
構図とフレーミング
- 前景を利用する
- 手前に建物や木を入れて奥行きを感じさせる構図を考える
- リードインライン
- 街路や川のラインを利用して視線を導くと、写真に深みが出る
撮影テクニック
夜景撮影では、長時間露光が必要なので、カメラのブレを防ぐために三脚は必須である。そして、リモートシャッターを使用すれば、カメラに触れずにシャッターを切ることができるので、さらにブレを防止できる。
夜景を撮影するには、下記のような手順を踏むと良い。
- カメラを三脚に固定して、ブレを防ぐ
- カメラの撮影モードを絞り優先モード(AまたはAv)に設定
- 絞り値はF8からF16くらいに設定し、夜景全体をシャープに
- ISO感度は100から400くらいに設定し、ノイズを抑える
- ピントはマニュアルフォーカスにし、ライブビューで拡大しながら合わせる
- レリーズやタイマー機能を使って、シャッターを切る
夜景のような暗い場所での撮影は、光が少ないため、光を多く取り入れようとシャッタースピードが遅くなり、ISO感度が高くなる。その結果、手ブレが発生して画像が不鮮明になり、画像にノイズが増えてざらついてしまう。そこで、三脚を使うとブレないのでシャッタースピードを遅くできる。
したがって、夜景を綺麗に撮るために最も効果があるのは、三脚を使うことであると断言できる。
尚、三脚を使用する際は、誤作動を防ぐため手ブレ補正機能をオフに設定しておこう。
また、シャッターを押すときの振動でもブレが発生することがある。レリーズが使用できない場合は、セルフタイマーを2秒に設定すると、シャッターを押した際のブレを防ぐことができる。
では、三脚を持っていない場合はどうしたらよいだろうか?
三脚がない場合は、近くの壁や柱に寄りかかったり、手すりなどをカメラの支えにして、ブレを軽減させるのも一つの方法である。
それすらできないような場合は、手ブレを防ぐためにシャッター速度を速くすることを最優先しなければならない。ISO感度を手動で高く設定する。設定できるISO感度の上限は機種によって異なる。ISO6400やISO12800など、高くすればするほどシャッタースピードは速くなり、手ブレを軽減することはできる。しかし、画像にノイズが入り、解像感が失われたりする場合もある。画像を拡大しなければ、OKという場合もあるので、三脚を使用できない場合には試してみてはどうでしょうか。
また、夜景撮影のコツとしては下記のようなものがよく知られている。
- ゴールデンアワー後のブルーアワー
- 日没直後のブルーアワーは、空が美しい青色になり、建物のライトアップも映える時間帯である
- 光の反射を活かす
- 水面やガラスに反射した光を利用すると、幻想的な写真が撮れる
- ホワイトバランス
- 夜景撮影では自動ホワイトバランスよりも、画像処理アプリを使って、タングステンや蛍光灯モードを試してみると良い結果が得られることが多い
- ブラケティング
- 露出の異なる写真を複数撮影し、後で合成して最適な露出を得る方法である
Mモード(マニュアル)撮影
Pモード(プログラムオート)での撮影に慣れてきたら、Mモード(マニュアル露出)に挑戦してみることにしょう。
Mモードでは絞り(F値)とシャッター速度の両方を自分で細かく設定できる。夜景の明るさ、時間帯や周囲の明るさなど撮影環境に応じて、設定を変更しながら何枚か撮影して感覚をつかみ、撮りたいイメージに近づけていく。
日の出前や日没後のマジックアワーと呼ばれる時間帯は、空の色が刻々と変化しドラマチックな写真を撮るチャンスである。マジックアワーの撮影は、F値をF8からF13を目安に設定し、シャッタースピードを調整しながら光の量をコントロールするのがお薦めである。
シャッタースピードは2秒からから始めて、明るさを調整していく。スローシャッターになるので必ず三脚を使い、セルフタイマー2秒も活用しょう。
ホワイトバランスで色合いを調整
撮影画像の全体的な色合いの調整はホワイトバランスで変えることができる。これがデジタル画像の便利な点である。銀塩フィルムのカメラで撮影していた頃とは隔世の進歩である。
デジタルカメラが自動で決めるオートホワイトバランス(AWB)でも忠実に再現してくれるが、色味は撮影者の好みや意図によってさまざまであるので挑戦してみては如何であろうか。
ホワイトバランスを調整をすることで、実際に自分が見た夜景のドラマチックな印象や雰囲気が伝わりやすい写真を残しておくことができるかも知れない。
露出補正、ホワイトバランス、クリエイティブルック/クリエイティブスタイルといった調整機能を自由に使って、お気に入りの一枚を残したいものである。
星空撮影
星空撮影と言っても、星を見た目通りに点で写したり、時間とともに動いていく軌跡として写したり、望遠で星雲を大きく切り取ったりと、様々な撮り方がある。しかし、本稿では最も手軽にチャレンジできる「星を点で写す」撮り方について記述する。
星空撮影は、美しい夜空を捉えるために準備が必要であり、いくつかのテクニックやコツも必要である。
必要なアイテムの準備
- カメラ
- 高感度のカメラを用意する
- 星空撮影には高感度で撮影できるカメラの方が有利
- ISO3200~6400で撮影をしてもノイズが出にくいモデル
- 三脚使用の際は、誤作動を防ぐため手ブレ補正機能をオフに設定しておく
- レンズ
- 広角レンズ(例: 14mm〜24mm)
- 明るいレンズ(F2.8以下)が最適
- 三脚
- 星空撮影では長時間露光が必要
- 長時間露光には三脚が必須
- カメラを安定させるために、安定した三脚を使う
- リモートシャッター
- 手ブレ防止のために使用
- セルフタイマーでもOK
- 予備のバッテリー
- 長時間撮影のため、予備のバッテリーがあると安心
広大な星空を撮影するには広角レンズがお薦めである。ズームレンズの場合は、レンズの広角側(焦点距離が短い側)を使えばより多くの星と風景を一緒に写すことができる。
また、明るい単焦点レンズは光を多く取り入れることができるため、ノイズを抑えて星空を撮影することが可能となる。
撮影地と天候の把握
星空撮影においては、暗い場所が最適である。撮影場所の選定が撮影成功の第一歩と言える。街灯などの光害のない場所を選ぶ必要がある。都市部から離れた山や海岸が理想的である。
また、新月の時期が最適である。月が明るいと星が見えにくくなるからである。
そして、当り前のことではあるが、天候の確認を忘れてはならない。できる限り、晴れた夜を狙いたい。雲が少ないほど良い写真が撮れるのは当然のことである。雲が多い日は星空撮影どころか星空観察さえできない。
撮影モードの設定
星空撮影の場合は、カメラの撮影モードを絞り優先モード(A)に設定する。
- ISO設定
- 高めのISO(1600〜3200)を使用
- 星を明るく捉えたい
- 絞り
- 絞りを開放(F2.8〜F4)に設定
- できるだけ多くの光を取り込む
- シャッタースピード
- 露光時間は15〜30秒が一般的
- これ以上長くすると星が動くので要注意
では、高感度カメラが使用できない場合はどうするか?
マニュアルモード(M)で下記のような設定を試みると良い。
- ISO設定
- ISO感度は400を目安に設定する
- 絞り
- 絞り値はF8~F16くらいに設定する
- シャッタースピード
- 露光時間は8秒前後を目安に設定する
構図とフレーミング
- 三分割法
- 星空と前景をバランスよく配置するために活用する
- 前景を活用
- 木や山、建物などを前景に入れる
- 写真に深みと面白味が加わる
撮影テクニック
- フォーカス
- 無限遠に設定して、星がシャープに映るようにする
- ライブビューで拡大してピントを合わせると効果的
- 星空撮影ではピント合わせが重要
- 星を点像として写すにはマニュアルフォーカスを使用
- 星にピントを合わせたらその状態を固定する
- ホワイトバランス
- 自動ホワイトバランスではなく、日光や蛍光灯モードを試すと良い結果が得られる場合が多い
- カメラレンズの結露に気を付ける
- 湿度が高い場所ではレンズが結露しやすい
- 写真がぼやけてしまう可能性がある
- レンズヒーターなどを使って結露を防ぐ
- レタッチソフトを使う
- 星空撮影後はレタッチソフトを使って画像を調整する
- RAW形式で撮影し、後処理で画像を最適化するとよい
- 楽しんで撮ること
- 最も大切なのは、撮影を楽しむことである!
フォーカス合わせのコツ
夜空のような暗いシーンでは、オートフォーカス(AF)が使えないため、ピントはマニュアルフォーカス(MF)で合わせる。
しかしながら、液晶画面をそのまま見ながら小さな星にピントを合わせるのは困難であるので、MFアシストやピント拡大を使い、明るい星を液晶画面で拡大しながらピントを合わせると良い。
拡大する場所は操作ボタンで移動できるので、ピントが合っているかどうか分かりそうな明るい星を探し出して、その星でピントを合わせるようにする。
明るい星を見つけたら、フォーカスリングを回して星の輪郭がはっきりと見えるピント位置を探す。ピントは必ずしもフォーカスリングを回し切った位置(無限遠)で合うとは限らないので、必ず拡大して確認するようにする。
もし画面が真っ暗で、星や風景が見えづらい場合には、一旦ISO感度を3200や6400等まで上げて、画面に写る画を明るくしてからもう一度探してみる。
一度ピントを合わせたら、撮影を終えるまでピントを動かさないように注意する。ピント位置はレンズをズームさせたりした場合でも変わってしまう。
ピントを星に合わせたら、シャッターボタンを押して撮影する。撮影後には長秒時ノイズリダクションが働くため、画像が再生できるようになるまで少し時間がかかる。
撮影された画像を拡大して確認し、もし全体が明るすぎたり暗すぎたりする場合は、ISO感度やシャッタースピードを変えながら、何枚か撮ってみる。
ISO感度は高いほど明るく、シャッター速度も短くして撮影することが可能になるが、あまり高くしすぎると、高感度カメラでない場合には画像にノイズが乗ったり解像感が失われたりするケースが多い。
また、液晶モニターが明るすぎると、画像の明るさを正しく判断できない場合がある。暗い場所での撮影では、モニターの明るさを昼間の時よりも暗く設定しておくことをお勧めする。
星空撮影での構図確認にはブライトモニタリング機能がおすすめである。これは、周囲が暗い状況下で露光時間を延ばすことにより、ビューファインダー/モニターで構図の確認ができる機能である。ブライトモニタリングを使用するには、[ブライトモニタリング]の項目をカスタムキーに設定する必要がある。
ホワイトバランス調整のコツ
星が写っているのを確認できたら、構図や色を調整してみよう。星を写すときは、星だけではなく周りの景色と一緒に写すとより印象的な写真になる。周りを見渡しながら、木や遠景が周囲に入るように撮ってみると良い。構図を変える際は、一度合わせたピントリングを動かさないように注意しよう。
色はホワイトバランスから変更する。どのような色がよいかは個人の好みによるが、【日光モード】や【蛍光灯モード】などに設定すると、青みがかかって星空らしいスッキリとしたイメージを残すことができる。オートホワイトバランス(AWB)では肉眼に近い自然な色味で仕上がる。これも撮影者個人の好みである。
ホタル撮影
ホタルの飛翔を撮影するのは、結構難しい。うまく撮影できたなら率直に喜べば良い。
ホタルが棲む里山はとても暗い場所であることがほとんどである。夕暮れなど少し明るい時間に行って、辺りの状況を確認しておくと良い。道が細いことも多いので、三脚を立てる位置など他の人の迷惑にならない場所をあらかじめ検討しておく。つまり、ホタル撮影では明るいうちに準備が撮影成功のポイントとなる。
また、夏場の夜間の撮影では虫に悩まされることが多い。適切な防虫対策を忘れずに行う必要がある。
必要なアイテムの準備
- カメラ
- 三脚使用の際は、誤作動を防ぐため手ブレ補正機能をオフにしておく
- レンズ
- 広角レンズ(24mm〜35mm)
- 明るいレンズ(F1.4〜F2.8)
- 三脚
- カメラを三脚に固定して、手ブレを防ぐ
- リモートシャッター
- リモートコマンダーがあると便利
広角レンズがお薦めである。ズームレンズの場合は、レンズの広角側(焦点距離が短い側)を使えば、より多くのホタルを写すことができる。
また、明るい単焦点レンズは光を多く取り入れることができるため、ノイズを抑えてホタルを撮影することができる。
撮影地と天候の把握
- 適切な場所と時期
- ホタルが多く飛ぶ場所と時期を事前に調査しておく
- 湿度が高い夜や月明かりの少ない日が狙い目
撮影モードの設定
カメラの撮影モードは、絞り優先モード(A)に設定する。
- ISO感度
- 高めのISO値(1600〜3200)を設定する
- ホタルの光をしっかり捉える
- 絞り
- 開放絞り(F1.4〜F2.8)に設定
- できるだけ多くの光を取り込む
- シャッタースピード
- 15〜30秒の長時間露光を試みる
- ホタルの光跡を美しく写せる可能性が高くなる
カメラの撮影モードをマニュアルモード(M)に設定して撮影する場合は下記のような設定にすると良い。
- ISO感度
- 100~400程度に設定し、ノイズを抑える
- 使用レンズの開放値がF2.8以下の場合、ISO400に設定
- F3.5以上であれば、ISO800からISO1600に設定
- 絞り
- 開放
- F8~F16くらいに設定し、ホタル全体をシャープにする
- シャッタースピード
- 10秒前後
構図とフレーミング
- 前景と背景を活かす
- 自然の要素を取り入れ、ホタルの光だけでなく、周囲の風景も魅力的に撮影する
- リードインライン
- 木々や川の流れなど、視線を導く要素を活用して、写真に動きと深みを与える
撮影テクニック
- 適切な場所に立つ
- ホタルが多く飛ぶ場所を選び、背景に自然の美しさを活かす構図を選択する
- フォーカス
- ピントはマニュアルフォーカス(MF)にして、ライブビューで拡大しながら合わせる
- 暗いシーンではオートフォーカス(AF)が合わない
- マニュアルフォーカス(MF)では、MFアシストやピント拡大を使い、拡大しながらピントを合わせると良い
- 動かない
- シャッターを押した後は、カメラを動かさないようにする
- リモートシャッターやセルフタイマーを活用すると良い
- 複数枚撮影(試し撮り)
- ホタルが光り始めたら試し撮りをする
- 試し撮りの結果から設定を調整する
- 長時間露光を繰り返し撮影し、後でベストな写真を選ぶ
- リラックス
- ホタルが飛び交う様子を楽しみながら撮影する
- 焦らずに、自然なタイミングを待つ
- ホワイトバランス
- 太陽光もしくはオートホワイトバランス(AWB)
- 長秒時NR(ノイズリダクション):入
- 1秒より長いシャッタースピードに設定すると、撮影直後にノイズを軽減するための処理を行う。この処理には、設定したシャッタースピードの長さと同じ時間がかかり、処理中は撮影できないので要注意。
撮影手順
- 背景となる写真を撮影する
- ホタルの光跡は見えるが、背景は暗く沈む程度の露出で複数枚撮影する
- ロック機構付きのリモートコマンダーを使うと便利
- ドライブモードを[連続撮影]にしてレリーズボタンをロックすれば、自動でシャッターを切り続ける。連続撮影時は、長秒時NR(ノイズリダクション)は[切]に設定する。
設定変更例
風景が明るくてホタルの光跡が見えにくい場合には、シャッタースピードを速くする、ISO感度を下げる。
ホタルの光跡は写っているが風景が暗すぎる場合には、シャッタースピードをBULBにして1分、2分と長めに露光する。
ホタルの光跡が太く明るすぎる場合には、絞りを1~2段絞る。ノイズが出るのでISO感度を下げ、シャッタースピードを遅くする。
画像処理テクニック
たくさんのホタルの光跡を一枚の写真にする
三脚でカメラを固定し、フレーミング(構図)を変えずに複数枚撮影して画像処理ソフトで合成すると、一枚の写真にたくさんのホタルの光跡を表現できる。
明滅を繰り返しながら移動するたくさんのホタルをバランスよく合成すれば、記憶に残る光景に、より近い写真に仕上げることができる。
このような画像処理には、比較明合成ができる画像処理ソフトが必要となる。比較明合成は、複数の写真の明るい部分だけを重ねていくことができる。
撮影マナーを守る
ホタルは光ることによって、オスとメスがコミュニケーションを図って子孫を残している。明かりへの配慮が必要である。
フラッシュなどは決して使用しない(フラッシュ発光禁止!)。内蔵フラッシュ搭載カメラの場合は、フラッシュをポップアップしない。AF補助光は「切」に設定し、FINDER/MONITOR切換設定は「ファインダーのみ」に設定しておく。モニターミュートまたはモニター消灯を活用して適宜消灯するようにする。
カメラからの発光以外にも、車のライト、ハザードランプ、懐中電灯、スマートフォンの液晶画面などの明かりは、ホタルの繁殖行動を邪魔してしまうの使用を控えよう。
また、他の鑑賞者や撮影者への配慮も必要である。明るいうちにカメラの設定を済ませておき、撮影中にカメラの液晶を確認する場合は黒い布を被るなどして周囲への配慮を忘れないようにしょう。
あとがき
写真撮影は、日常の風景や特別な瞬間を自分らしく切り取れる素敵な趣味であると言えよう。
しかしながら、最初は何から始めればよいのか迷うことが多い。本稿は、そんな初心者が写真撮影を楽しむために身につけたい基本スキルについて、それぞれのシチュエーションを想定して紹介したものである。より詳しく知りたい方は、関連記事も是非、読んで頂きたい。
初心者が趣味として写真撮影を始める際に役立つ基本スキルを端的にまとめると以下のようになるかも知れない。
1. カメラの基本操作を理解しよう
まずはカメラと仲良くなるところから始めたい!
- シャッター速度:
- 動きを止めたり、流したりする時間のコントロール
- 絞り(F値):
- 背景をぼかしたり、全体をくっきり写したりする調整
- ISO感度:
- 暗い場所でも明るく撮れるけど、上げすぎるとノイズが出る
この3つは「露出の三角形」と呼ばれていて、写真の明るさや雰囲気を決める大事な要素である。
2. 構図の基本を押さえよう
構図は写真の印象を左右する魔法みたいなものであるので特に重要である!
- 三分割法:
- 画面を縦横に3分割して、被写体を交点に置くとバランスが良い
- 背景の整理:
- 余計なものを入れないことで、主役が引き立つようになる!
- 余白の使い方:
- 窮屈にならないように、空間を意識してみるのも重要である!
3. 光の使い方を学ぼう
光は写真の雰囲気を決める大切な要素でもある!
- 順光:
- 被写体が明るく見える基本の光
- 逆光:
- シルエットや幻想的な雰囲気を出したいときに使える
- サイド光:
- 立体感や陰影を強調したいときにぴったりな光である
4. 撮影の習慣をつけよう
技術は撮ることで身につく! 実践で撮影技術やスキルを高めていこう。
- テーマを決めて撮影:
- 花、空、街並みなど、自分の好きなものから始めよう!
- 失敗を恐れずに:
- うまくいかなくても、そこから学べることが多くある
- 日常に撮影を取り入れる:
- 散歩中でも気になるものを見つけたら撮影してみる
5. 編集で写真をもっと魅力的に
撮った写真をちょっとだけ加工するだけで、印象がぐんとアップすることがあるので、頑張ってチャレンジしてみよう!
- 明るさ・コントラストの調整
- トリミングで構図を整える
- 色味の調整で雰囲気を演出
最近は、スマホアプリでも簡単にできるから、気軽にチャレンジできると思う。
写真は、技術だけではなくて「楽しむ気持ち」が一番大事であると私は思っている。まずは気軽に撮ってみて、自分だけの世界を切り取ってみよう! きっと写真撮影が私たちシニア世代にとってかけがえのない趣味になるはずである。