はじめに
雑草の種類は数が多そうなのですべてを網羅するのは容易ではないだろう。まずは私の庭でよく見かける雑草から調べてみることにする。自分の口で言うと傲慢に聞こえるかも知れないが、私の庭は比較的手入れが行き届いている方だと思う。それでもイネ科の雑草は、こまめに手入れをしていても生えてくる。
庭を造る前に造園業者によって庭木を植えない場所はセメントを混ぜた土で覆い、その上に化粧砂利を厚目(約10 cm)に敷いてもらった。これで雑草対策は万全と思いきや3年もしないうちに雑草が生えてくるようなった。
砂利の中の雑草は目立つ上に引き抜き易いとは言え、手間がかかることに変わりがない。そして雑草との格闘はかれこれ20年以上も長きにわたって継続中である。時々、雑草の生命力にはある種の恐怖すら感じることがある。
このように雑草はある意味、しつこくて手に余る強敵揃いであると言える。手入れをしていても生えてくるのが雑草がある。手入れの行き届いていない庭ではもっと多品種の雑草に苦慮していることだろう。
キク科の雑草であるオオアレチノギクやセイタカアワダチソウなど背丈の大きな雑草が生えるようになった庭は、もはや庭とは呼べない状況に陥っていると思う。
セイタカアワダチソウやススキ、スギナのような雑草が生い茂るようになれば、庭ではなくなっているので、専門業者に依頼して一度リセットしてから庭造りを再開するのが賢い選択である。
本稿が対象とするのは、駆除しても一雨が降るとまさに「雑草のごとく」生えてくる雑草の種類とその駆除方法についてである。なぜなら最も強敵である雑草の王様というべき雑草を特定し、その雑草についての対策、駆除の方法を見つけることが戦略的には正しいと考えるからである。
しかし、最初に率直に伝えておきたいことがある。もし、すでにそのような最強の雑草を特定し、その完全な駆除方法を知っている読者がおられるなら是非、私に教えてほしい。
私はまだ彼らと戦闘途中であり、彼らの生命力に辟易している。彼らの種子は風に乗って常に供給されている。雑草を引き抜くことで、まるでそこが耕され、次の種子が発芽してくる環境を整えてやっているようかのような感覚を草引きをするたびに覚える。それが私の偽りのない実感である。
本稿で論じる雑草の駆除方法も原則、手作業による除草と除草剤の使用が基本になっている。しかしながら、今まではがむしゃらに実行していた雑草の駆除をもっと戦略的にできないかと考え、その方法の効果を検証している最中といったところである。
<目次> はじめに 庭に生える雑草の種類 カタバミ コニシキソウ ツユクサ オヒシバ(イネ科) エノコログサ(イネ科) スズメノヒエ(イネ科) スズメノカタビラ(イネ科) ハマスゲ オオバコ チドメクサ ドクダミ ヤブガラシ カラスノエンドウ 最もタチの悪い雑草は? チドメクサ カタバミ コニシキソウ オヒシバ(イネ科) エノコログサ(イネ科) スズメノヒエ(イネ科) スズメノカタビラ(イネ科) 庭の雑草の駆除方法 グリホサート系の除草剤の使用 グランドカバーで雑草の居場所をなくす あとがき |
庭に生える雑草の種類
雑草の種類はいったいどれくらいの数があるのだろう。少なくはなさそうなので、すべてを網羅するのは容易ではない。まずは私の庭でよく目にする雑草から調べていくことにする。
カタバミ
カタバミは、カタバミ科の多年草。繁殖力が強く、早春から夏にかけて盛んに生育する。葉は長い柄があり3枚の小葉からなる。小葉はハート形で細かい毛がある。草丈が低く約5cm程度であり、5~10月頃に直径1cm未満の黄色の花を咲かせる。花後にできる果実は、刺激を受けるとサヤが弾けて四方に種子が飛び散る。この種で増殖していく。引き抜こうとしても根が残りやすい雑草である。
コニシキソウ
コニシキソウは、トウダイグサ科二シキソウ属の一年草。地面に張り付くように茎を伸ばしながら生長する。茎は暗赤色で、上向きに白色の毛が生えている。7~10月に葉のわきに暗紅色でつぼ形の花を多数つける。根はそれほど強くなく、株の根元をつかめば手で簡単に抜くことができるが、変態するかのように周囲の地面の色に同化していくので小さいときは見過ごしてしまう。
ツユクサ
ツユクサはツユクサ科の一年草。6~10月にかけて貝殻のような形の包の葉に真青な花を咲かせる。朝早く咲いて昼頃には萎れてしまう。蛍草とも呼ばれることがある。華奢な風貌とは裏腹に生命力の強い雑草である。可憐な姿に騙されて、放置すると知らない間に大きく生長している。
オヒシバ
オヒシバはイネ科オヒシバ属の一年草。葉は線形で長さ8~30cmにもなる。やや堅く、縁に長く柔らかい白毛がある。8~9月に茎の先にかさ形の穂をつける。生命力が強く、踏みつけにも負けない。根がしっかりと張っているため駆除が困難で、除草剤も効きにくい。
エノコログサ
エノコログサはイネ科の一年草。別名、ネコジャラシ。茎は多数に分かれ、生え群がり株になる。7月~9月にかけて茎の先に円柱状で緑色の穂をつける。夏から秋にかけて種で増殖する。小さなうちは葉が芝生やタマリュウ(ジャノヒゲの一種)と見分けにくく、発見しづらいので厄介な雑草と言える。
スズメノヒエ
スズメノヒエはイネ科の多年草。
葉は線形で柔らかく長い毛がたくさん生えている。茎は枝分かれして、横にはったり、直立したりと束になって生じ、放置すると草丈は30~80cmにもなる。8~9月頃に緑紫褐色の穂をつける。根茎は短く、小さいうちは芝生やタマリュウと見分けにくく、発見しづらいので厄介な雑草と言える。
スズメノカタビラ
スズメノカタビラは、イネ科の一年草。茎は平たく、根もとで多く分かれて株になり、葉は細い線形で柔らかい。2月頃から夏まで茎の先に淡緑色で卵形の花をつける。夏から秋にかけて種で増殖する。秋に発芽すると越冬して翌春にかけて生育する。踏みつけに強い雑草である。小さなうちは葉が芝生やタマリュウと見分けにくく、発見しづらいので厄介な雑草だ。
ハマスゲ
ハマスゲは、カヤツリグサ科の多年草。別名はクグ又はコウブシ。生命力が強く、芝生に生えると芝生を枯らすほどに増殖してしまうこともある。地下茎で増えるため駆除は容易ではない。7~10月に茎の先から枝を出し濃褐色の穂をつける。アスファルトを押し上げるほどの生育力が強い雑草。
オオバコ
オオバコはオオバコ科の多年草。葉は卵形で数本の脈がある。4月~9月にかけて10~20cmの花茎を立てて、先に白い小花を穂状に多数つける。種で増える。踏みつけても枯れないほど丈夫なため、厄介な雑草である。
チドメクサ
チドメクサは、ウコギ科チドメクサ属の多年草。茎は細長く、たくさん枝分かれして地面を這うように生長する。5~10月頃、葉のわきに白~紫色の花をつける。節々から根を下ろしながら繁殖するので茎を途中でちぎっても繁殖する。繁殖力が強い多年草なのであっという間に広がってしまう。除草が難しい困った雑草である。
ドクダミ
ドクダミは、ドクダミ科の多年草。葉はハート型をしており、茎は直立し、暗紅色を帯びている。葉や茎には独特の臭いがある。6~7月頃、茎の上部に4枚の白い花びらをつけた黄色い穂をつける。地下茎で増える。地下茎は、横に伸びる性質があり、広範囲に群生する。完全に根絶するためには土を深く掘り返して根を取り除く必要がある。
ヤブガラシ
ヤブガラシは、ブドウ科ヤブガラシ属の多年草。つる性の茎と巻きひげを伸ばし、ほかの植物に巻きつきながら繁殖する。葉は鳥の足のように3~5枚程度の小葉に分かれている。7~9月頃、淡緑色の小さな花をたくさん咲かせた後、紫黒色のブドウ形の小さな果実をつける。駆除が困難な雑草である。
カラスノエンドウ
カラスノエンドウは、マメ科ソラマメ属の一年草。つる性の雑草でフェンスなどに巻き付く。秋に発芽して越冬し、初春から夏にかけて旺盛に生育する。種を飛ばして増える。
最もタチの悪い雑草は?
私の庭には上述の13種の雑草が生育していることが判明した。好きな雑草など一つもない。これらの雑草のなかで私が最も手こずっている雑草は何かというとチドメグサである。
この雑草は、私の庭ではグランドカバーとして植えているタマリュウの隙間に生えてくる。茎が細いので引き抜こうとすぐに切れてしまうので、根こそぎ除去することは全くできない。そして繁殖力が半端なく旺盛であるため駆除にはホトホトに手を焼いている。とにかく駆除が困難な雑草である。
その次に辟易している雑草と言えば、カタバミとコニシキソウであろうか。とにかくこの2種の雑草はところかまわず生えてくる。砂利を敷いているところでも平気で繁殖する。なかには緑色の葉ではなく、擬態でもしているかのように砂利の色に近似させているものもある。見つけ次第、除去しているが、見逃してしまい、繁殖を許してしまうケースが多い。
カタバミは、根が深くまで伸びているので、根こそぎ除去することは容易でない。一方、コニシキソウは株の根元をつかめば手で簡単に抜くことができるが、繁殖力が凄すぎる。除去してもすぐに生えてくる。この2つの雑草にも辟易している。
イネ科の雑草であるオヒシバ、エノコログサ、スズメノヒエ、スズメノカタビラも厄介である。特に私の庭はグランドカバーにジャノヒゲを植えているので、その間に生えられると小さい間は見つけるのが容易ではない。大きく生長してくると分かるが、その時にはかなり根がしっかりと張っているので、雨上がりでないと根から取り除くことができない。
残りの雑草、例えばヤブガラシやドクダミの駆除も大変ではあるが私の庭ではマイノリティーであるので私はそれほど目くじらを立てるほどでは今のところない。
雑草の駆除方法
さて、孫子の兵法ではないが、敵(雑草)の素性と兵力を知った上で、駆除の方法を考えてみる。
グランドカバーとして植えているタマリュウの間に生えてくる雑草には除草剤をまくことはできない。何故ならタマリュウも枯らしてしまうからである。だから仕方なく手作業で一株ずつ見つけ次第に除去していくしかない。
しかしながら、それ以外の場所では除草剤の使用が良いのではないかと思っている。今まで根を堀り起こしながら駆除してきたが雑草を引き抜くことで、まるでそこが耕され、次の種子が発芽してくる環境を整えてやっているように思う。これは私の直感であって科学的な根拠があるわけではない。
しかし、駆除してもまさしく「雑草のごとく」すぐに生えてくる雑草を観察していると、土中の種が自分の発芽の順番待ちをしているかのようである。不思議なことに雑草の株のまわりには雑草が生えていない。その雑草の株を掘り起こしてキレイにした同じ場所にやがて新たな雑草が生えてくる。私にはこの雑草を掘り起こすという行為が別の雑草の発芽を促しているように思えてならない。
それならば除草剤を用いて雑草を掘り起こさずに枯らしてしまえば、次に控えている雑草の発芽を遅らせることができるのではないかと考えてみた。
グリホサート系の除草剤の使用
葉から吸収させて根まで枯らす「グリホサート」系の除草剤が雑草の駆除に適しているのではないかと考え、その効果を検証してみることにした。
この除草剤の使用を開始してからまだ1年程度であり十分な検証期間が経っているとは言えないかもしれない。しかし、草引きをする頻度は従来よりも確実に減ってきているように思う。
私は、このグリホサート系の除草剤を説明書どおりに希釈して、スプレーボトルを用いて、雑草の葉に直接、噴霧しているが、雑草の種類ごとに濃度を調整した方が効果が高まるかもしれない。
雑草の種類に合わせて噴霧する時期を変えてみると効果も変わってくるかも知れない。つまり、より効果的に駆除するには除草剤を使用する時期的なものも考慮する必要があるし、使用後の天候(雨天が続くようでは効果が減じるリスクが高まる)も考慮する必要があるであろう。
今までとにかく雑草を除去することに夢中であり、冷静に最も効果の高い駆除方法を考えてみたことがなかった。ここしっかりと雑草としっかりと向き合い、効率的の高い駆除法を検討してみたい。その第一段として、雑草を掘り起こすことで、結果として耕すという愚行を避け、葉から除草剤を吸収させて根まで枯らすという戦術が効果があるのか否かを検証してみたいと思っている。
グランドカバーで雑草の居場所をなくす
さらには「毒をもって毒を制す」ではないが、雑草が生長できないようグランドカバーで覆いつくすという戦略的な方法はどうであろうか?
実際にジャノヒゲの一種であるタマリュウ(玉龍)が生い茂っている庭には雑草は一本も生えていない。まだ生い茂っていない場所(タマリュウの株と株の間)には雑草が生えてはくるが、やがてタマリュウが密生してくれば雑草が生える余地がなくなるはずである。この方法は結構、時間を要し、完全なグランドカバーとなるまでには雑草との闘争は続くが、いずれ雑草は私の庭を諦めるに違いない。その日が来るまでまだ先は長そうだ。
あとがき
私はまだ雑草と格闘している段階である。現時点では勝敗はまだついていないが、以前のようにこちら側がKOされる状況ではなくなりつつある。対等に戦える武器を持ち、戦術的に攻撃できるようにもなってきたし、戦略的にも勝利の希望を見出せるまでになってきた。雑草を愛おしく思えるような絶対的勝利の日はまだ先になりそうだ。
現在採用している雑草の駆除方法が本当に効果的であるかどうかの検証中ではあるが、私は確かな手ごたえを感じている。