はじめに
読者の皆さんはゼニゴケを知っていますか?「ゼニ」は銭ですから、さぞ有難い苔【コケ】だと想像していませんか?
実は、ゼニゴケはその有難い名前とは裏腹に、ガーデニングを趣味にしている者にとって最強最悪の「難敵」である。
何故、私がゼニゴケをこのように目の敵にして、毛嫌いしているかは、本稿をお読み頂ければ、ご理解頂けるはずだ。
そして私と同じように庭のゼニゴケに苦慮している読者は、どうぞ最後まで読んで頂きたい。そして私が試行錯誤の末に見つけたゼニゴケ退治の方法を情報共有するので是非、それを試して頂きたい。
私が推奨する方法は、現時点(2022年9月12日)では私の知る限りネット検索ではヒットしなかった方法である。かなり大げさな表現をして恐縮ではあるが、コロンブスの卵的な発見である。特に、私のようなゼニゴケに悩むガーデニング愛好家にとっては福音となるはずである。騙されたと思って是非、試してほしい。決して損はさせないはずと私は確信している。
ゼニゴケの生態
ゼニゴケ (Marchantia polymorpha L.) は、ゼニゴケ科ゼニゴケ属の植物である。
ゼニゴケ科全体をよぶ総称として、あるいは類似の構造をもつ苔類の総称としても用いられる。近似種の区別が難しいので、普通は区別せずこう呼ばれることが多い。(引用:ウキペディア)
ゼニゴケは、日本全国の主に人家の周辺に繁茂する。特に、家の北側など湿気の多い場所に生育する。庭に生えるコケ類は庭園では喜ばれることが多いが、ゼニゴケ類は地面に深く張り付いて広がり、非常に除去しにくい上に見栄えが良くないため、雑草として嫌われる。(引用:ウキペディア)
スギゴケ(杉苔)を庭に育てているとすぐにゼニゴケが繁殖して大切なスギゴケを駆逐してしまう。苔類はもともと湿度の高い日陰の場所を好む。ゼニゴケもそのような場所を好み、スギゴケを凌駕する繫殖力でその場を占領し、さらに勢力を拡大しようとする。例えが悪いが、プーチン大統領率いるロシアや習近平国家主席が率いる中国のようなものである。
ゼニゴケの駆除方法
ゼニゴケは、酸性の土地を好み、そこで繁殖する習性があるので、例えばアルカリ性の石灰を使って酸性の土を中性にすればゼニゴケの繁殖を抑制できる。
しかし、石灰を使うと他の植物への影響があるので、ガーデニングの庭には石灰を撒くことはできない。酸性の土が好きな植物は皆枯れてしまうからである。
試行錯誤の戦い
スチームクリーナーの蒸気
ケルヒャー社製の家庭用スチームクリーナーの蒸気をゼニゴケに吹きかけてみたところ、緑色の表面が褐色に変色して一時的に死滅するので一定の効果があることが分かった。
しかし、ある程度群落を形成したゼニゴケに対してでないとスチームクリーナーを使用するのは面倒である。狭い面積では他の植物にも影響を与えてしまう。
米酢
そこで、比較的安価な米酢を筆でゼニゴケに塗り付けたところ一時的には効果があった。
しかし、お酢の特徴ある臭いが庭に漂うので嫌になる。雨が降ればゼニゴケが復活するのでまるでイタチごっこである点も難点となる。
ゼニゴケ専用除草剤
では除草剤の散布はどうかと言うと、ゼニゴケには通常タイプの除草剤は効果はなく、ゼニゴケ専用の除草剤を使わないと駆除できない。
確かにこの専用の除草剤はゼニゴケに効果があるが、除草剤の臭いが気になるばかりでなく、他の植物にも影響を及ぼす。したがって、ゼニゴケ専用除草剤の使用は、ゼニゴケに完全に占領された場所以外では使用できない。
確かに、そんな場所では一度、除草剤を散布すて庭をリセットするしか方法がないのかも知れないが、私の庭はそこまでひどくはない。除草剤の散布は最後の手段にとっておきたい!
消毒用エタノール
このような試行錯誤の末に辿り着いたのが消毒用エタノールの噴霧である。筆で塗り付けてもよい。
アルコール濃度は高ければ高いほど優れた効果を発揮すると思うが、通常、消毒用エタノールのアルコール濃度は76.9〜81.4 vol%である。本当は特級アルコール(99.5%以上)を使用したい気持ちではあるが入手も容易でなく、コストもかかるので、消毒用エタノールで良しとしよう。
消毒用エタノールをゼニゴケに試そうと思った動機は、新型コロナの予防対策で家庭でも使用する機会が増えていたからである。エタノール分子が細胞膜に穴を開けて、細胞を破壊、死滅させる能力は、ゼニゴケにも効果があるはずだと考えたからである。
そして、その期待どおりの結果が得られた。つまり消毒用エタノールをゼニゴケに噴霧または塗布すれば、ゼニゴケは数日以内に死滅した。
特にエタノールを噴霧もしくは塗布した後に晴天が続くと効果が高まるようだ。したがって、雨天が予想される前日は避けるべきであろう。
あとがき
上述のような試行錯誤の結果、私のゼニゴケ対策は現在、消毒用エタノールの噴霧又は塗布ということに着地した状況である。
庭でゼニゴケを見つけたらすぐにエタノールを噴霧又は塗布した結果、かつてのゼニゴケ王国であった私の庭は今ではゼニゴケを絶滅危惧種に指定しないといけない状況になった。
しかし油断はできない。ゼニゴケの生命力を侮ってはいけない。絶滅危惧種になったなどと驕って油断していたら彼らは再びかつてのように自分たちの王国を再建してしまうかも知れない。
現に彼らは私がグランドカバーとして育てているジャノヒゲ(蛇の髯)の根元に隠れるようにして生育している。まるでゲリラ戦に持ち込もうとしているかのようだ。
このような場合にも私の「武器」は有効で、それを使って見つけ次第に退治しているがまだ完全征圧に至っていない。何故なら敵も百戦錬磨の兵であり、決して一か所に生息するのではなく、広範囲に生息している。しかもできるだけ一目につかないようにして勢力拡大の機会を窺っているかの様相を示しているからだ。
一見、ゼニゴケが存在しない庭に見える私の庭でも小競り合いは続いている。ガーデニングを楽しんでいる私と彼らゼニゴケとは相容れない関係である。今後も私が生きている限り、この小さな庭という戦場で彼らとの仁義なき戦いが続いていくことだろう。