はじめに
脳トレーニング(脳トレ)とは、脳の機能を維持・向上させるために行う様々な活動のことを指す。脳トレを行うことで、私たちシニア世代の認知機能の維持や向上が期待できるとされている。
認知機能や記憶力、判断力、注意力などの脳の働きを鍛えるために、パズルやクイズ、読書、書き物、楽器演奏、さらには新しいスキルの習得などが「脳トレ」に含まれる。
シニア世代の脳トレとして数学の勉強はとても有効だとされる。数学の勉強が脳トレに効果的な理由としては、下記のような点が指摘されている。
- 論理的思考の向上
- 数学は論理的な問題解決を求める学問である
- 問題を解く過程で論理的思考力が鍛えられる
- 日常生活でも論理的に考える力が向上する
- 記憶力の向上
- 数学の公式や定理を覚えることで、記憶力が鍛えられる
- 問題を解く際に以前学んだ知識を使えば、記憶の定着が促進される
- 集中力の向上
- 数学の問題を解くためには集中力が必要
- 数学を勉強することで集中力が高まる
- 他の活動でも集中力を発揮できるようになる
- 創造力の刺激
- 数学の問題を解く際には、異なる視点やアプローチを考える必要があるから、創造力が刺激される
- 新しいアイデアや解決策を生み出す力が高まる
- ストレス軽減
- 数学の問題を解き終えた時の達成感や満足感は、ストレスを軽減する効果があるとされる
以上の理由から、数学の勉強はシニア世代にとっても効果的な脳トレになると思われる。もし興味がある分野やテーマで数学を学べば、さらに楽しく効果的になるかも知れない。
集合と位相
集合と位相は、数学の基礎概念を学ぶための重要な分野である。
集合は、明確に定義された要素の集まりを指す。例えば、自然数の集合 {1, 2, 3, …} やアルファベットの集合 {a, b, c, …} などがある。集合論では、集合の基本的な性質や操作(和、積、差など)について学ぶ。
集合論は、全ての数学の基礎となる理論である。集合論を理解することで、他の数学分野(代数、解析、幾何など)を学ぶための土台が築かれる。
位相は、集合の中で「近さ」や「連続性」を扱う数学的な構造である。例えば、点がどのように配置されているか、連続関数がどのように定義されるか、などを研究する。位相空間という概念を使って、連続関数やコンパクト性などの重要なトピックを学ぶことになる。
位相は、解析学や幾何学、さらには物理学の基礎にもなる。位相空間の概念は、微分積分学や関数解析などの高度な数学の理解に不可欠である。
このように「集合と位相」を学ぶことで、数学の他の分野への理解が深まり、新しい視点が得られる。どちらも奥が深く、学ぶ楽しさが得られるはずである。
微分積分
微分積分学は、連続的な変化を扱う数学の分野である。主に微分と積分という2つの基本的な概念から成り立っている。
微分は、ある関数の瞬間的な変化の割合を示す。例えば、ある点における曲線の傾きを求めることができる。これは物理学や工学などで速度や加速度を求める際に使われる。
一方、積分は、ある関数の累積的な量を求める。例えば、曲線の下の面積を計算することができる。積分は、物理学や経済学などで総量や累積値を求める際に役立つ。
解析学は、関数の特性や挙動を詳しく調べる分野であるが、微分積分学は解析学の基礎となる。
多くの物理現象や工学問題は、微分積分を使ってモデル化される。例えば、運動の法則や熱伝導の解析などである。このように微分積分学は物理学や工学の基礎となっている。
経済モデルや最適化問題において、微分積分が重要な役割を果たす。微分積分学は、経済学にも必要である。
このように微分積分学を理解することは、他の多くの数学分野や実世界の応用において非常に重要である。
線型代数学
線型代数学は、ベクトル空間と線型写像を扱う数学の分野である。主な概念としては、行列、ベクトル、行列の演算、行列の固有値と固有ベクトルなどがある。
- ベクトル:空間内の方向と大きさを持つ量
- 行列:数や数式を整理して並べた矩形の配列
- 行列演算:行列同士の加減乗除の操作
- 固有値と固有ベクトル:行列に特有の性質を持つスカラー(固有値)とベクトル(固有ベクトル)
線型代数学は、応用数学、物理学、工学、コンピューターサイエンスなど、多くの分野で基盤を提供する。
また、データ解析、機械学習、グラフィックス、最適化問題など、幅広い応用が可能であることが知られている。
さらに、理論数学の中でも、他の分野(例:微分方程式、量子力学、統計学など)の基礎としても重要である。
このように線型代数学を学ぶことで、数多くの応用や他の数学分野における深い理解が得られる。
代数学
代数学は、数とその操作に関する理論を研究する数学の分野である。特に、方程式の解法、数の性質、構造について扱う。
線型代数学は、ベクトル空間と線形写像に特化した代数学の一分野である。これに対し、代数学はより広範な概念を含み、より広い範囲の数や構造を扱う。
代数学の主な概念は次のようなものである。
- 群: 数や対象の集合における対称性や操作
- 環: 数や対象の集合での加算や乗算操作
- 体: 数の四則演算(加算、減算、乗算、除算)が全て可能な集合
代数学は多くの数学の分野(例:数論、代数幾何、解析学)の基礎理論である。応用範囲も広く、暗号理論、符号理論、物理学、コンピュータサイエンスなど、幅広い応用が知られている。
このように、代数学を学ぶことは、多くの分野での深い理解と応用力を養うために重要である。
数学を基礎から学び直すための学習計画
基礎的な数学の問題を解くことで、基本的な計算力や論理的思考力を鍛えることができるという。
幸いなことに数学を基礎から学び直すのに推奨される教科書や書籍はいくつか発刊されている。これらの書籍は基礎的な内容から丁寧に解説されているので、独学にも適している。
数学を基礎から学び直すための学習計画(例)として、下記のようなプランはどうだろうか。
- 基礎固め(1~2か月目)
- 集合と位相
- 「集合と位相」内田伏一
- 「集合・位相入門」松坂和夫
- 微分積分
- 「微分積分学」吉田伸生
- 集合と位相
- 線形代数入門(3~4か月目)
- 線型代数学
- 「線型代数学入門」斎藤正彦
- 「線型代数学」足助太郎
- 基本的な概念を理解する
- 演習問題を解きながら、理解を深める
- 線型代数学
- 中級数学(5~6か月目)
- 代数学
- 「代数入門」堀田良之
- 演習問題と実例を通じて、代数の基礎を固める
- 代数学
- 応用(7~12か月目)
- 微分積分学
- 「微分積分学入門」黒田紘敏
- さらに深い理解を目指す
- 代数学
- 「代数学入門」川口周
- 「代数入門」堀田良之
- 応用的な問題に挑戦する
- 微分積分学
- 復習と補強(13か月目~)
- これまで学んだ内容を定期的に復習し、理解を深める
- 応用問題集や過去問に挑戦し、自信をつける
各ステップの進行具合は各人のペースで調整すればよい。学び直すことで、脳も活性化し、新たな挑戦としても楽しめるはずである。
また、名前を挙げた書籍は、それぞれの分野で評判が高く、丁寧に書かれているので、独学で基礎から学び直す際に非常に役立つと思う。
あとがき
高校時代、私は数学は嫌いではなかった。むしろ好きであったかも知れない。大学受験科目に数学が必要であったせいかも知れないが、数学の問題を解くのが好きで、他の教科よりも数学の勉強に時間を費やした方だと思う。勉強に時間を費やした分だけ数学の成績が伸びたことも数学が好きになった理由かも知れない。
大学に入ってから数学は教養課程でしか勉強しておらず、会社に入ってからの数学の勉強と言えば、統計学ぐらいである。統計学を学習した理由は、実験計画法を製剤開発研究に活用するために統計学の知識が必要であったからに過ぎない。
サラリーマン生活をリタイアした今、数学を基礎から学び直してみたい気になっている。受験勉強とは違った角度から数学の素晴らしさに触れることができるのではないかと内心期待しているわけである。