はじめに
ブログ運営で収益を得ているブロガーの割合は、実際には非常に少ないのが現状であるという。日本における調査(アフィリエイト・プログラムに関する意識調査2024)によると、ブログ運営からの月収0円~1000円未満が約71%(2022年データより)となっており、収益化の難しさが浮き彫りになっている。ブログ運営は競争が激しく、特に初心者が収益を得るまでには時間と努力が必要であるとされる。ブログを1年以上継続することで収益が安定し始める傾向があるため、忍耐力と計画性が重要であることも実証されている。
その一方で、ブログ運営からの収入で、月3万円以上稼いでいる人は9.7%(2022年データより)とされている。約1割近くのブロガー(調査では、アフィリエイター)は何らかの収入を得ているようである。
ブログ運営の成功の度合いを収入面だけで評価するはどうかと個人的には思うが、月収はKPIの一つであることは確かである。月収10万円以上を一つに成功の目安とするならば、約6%弱のブロガーが成功者となっている(2022年データでは月10万円以上稼いでいる人は5.8%)。成功しているブロガーは、特化型ブログを運営し、SEOやSNSを活用してアクセスを増やすなど、戦略的な取り組みを行っているという。
このように、厳しい世界ではあるが、正しい方法で取り組むことでブログ運営から収益を得ることは現在も可能であるようだ。但し、以前より競争が激化しており、成功するためには戦略的な取り組みが必要であることは間違いない。
本稿では、現在もブログ運営で稼げる時代が続いている理由について考え、現状と課題を浮き彫りにしたいと思う。
<目次> はじめに ブロガーとアフィリエイターの違い ブログ運営で稼げる理由 現状と課題 成功のためのポイント あとがき |
ブロガーとアフィリエイターの違い
ブロガーとアフィリエイターはどちらもオンラインで活動し収益を得る人々を指すが、その目的や活動の内容にはいくつかの違いがある。
ブロガー
ブロガーの主な目的は、自分の考えや経験、情報を発信することである。読者とのつながりを重視し、情報提供やエンターテインメント、自己表現を行う。
- 活動内容
- ブログの作成と更新が中心
- 趣味、ライフスタイル、旅行、料理など、多様なテーマで記事を執筆
- 読者に有益で興味深いコンテンツを提供し、共感や交流を生むことを目指す
- 収益化
- アフィリエイト広告(他者の商品やサービスを紹介)
- Google AdSenseやスポンサーシップ広告(企業からの広告料収入)
- 有料コンテンツや電子書籍の販売など
アフィリエイター
アフィリエイターの主な目的は、他社の商品やサービスを紹介し、販売や契約に結び付けることで収益を得ることである。成果報酬型の活動に重点を置く。
- 活動内容
- 特定の商品やサービスを紹介するための記事やレビューを作成。
- アフィリエイトリンクを使用し、訪問者がリンクを通じて購入や申し込みを行った際に報酬を得る。
- 検索エンジンで上位表示される記事を書くために、SEO対策に力を入れます。
- 収益化
- 成果報酬型プログラム(アフィリエイトネットワークを通じた収益)。
- 商品の販売やサービスの契約数に応じた収益。
- 特化型サイト(例:美容商品のレビューサイト、ガジェット紹介サイト)。
両者の共通点
- どちらもブログを利用し、オンラインで活動する
- 情報発信を通じて収益を得る方法が可能
- SEOやSNSを活用し、トラフィックの向上に注力する点
主な違い
どちらも重要なオンライン収益モデルであるが、ブロガーは「個性の発信」に、アフィリエイターは「販売促進」により重点を置く傾向がある。
項目 | ブロガー | アフィリエイター |
---|---|---|
目的 | 自己表現や情報発信 | 成果報酬での収益獲得 |
コンテンツ | 多岐にわたるテーマや日常的な内容 | 商品・サービスを中心とした販売促進型の内容 |
収益モデル | 広告収益、アフィリエイト、自己商品の販売 | アフィリエイトによる成果報酬 |
両者は「ブログサイトを運営して収入を得る」という点では同じあるが、ブロガーは自分のキャラを出し、自分のファンを作るようなブログを運営する。一方、アフィリエイトは自分のキャラは一切出さず、商品またはブログのファンを作るようなブログを運営している印象を受ける。
私たちがどちらを目指すかによって、アプローチやスキルの習得方法も変わってくるし、ブログ運営からの収益も変わってくるという。
どちらが稼ぎやすい?
- 短期的に稼ぎたい場合:
- アフィリエイターは、適切な商品選びとSEO対策があれば短期間で高収益を狙うことが可能であるとされる
- 長期的に稼ぎたい場合:
- 純粋なブロガーは、コンテンツの積み重ねやブランドの成長によって、安定した収入を得る可能性があるとされる
両者を組み合わせるという選択肢
- 純粋なブロガーとして情報提供を行いながら、アフィリエイトリンクを活用する「ハイブリッド型」のアプローチを取ることで、両方のメリットを享受することが可能とされる
どちらを選ぶにしても、自分の得意分野や興味、目指す収益目標に合ったアプローチが重要であることは言うまでもない。
ブログ運営で稼げる理由
多様な収益化手段
アフィリエイト広告、Google AdSense、スポンサー記事、オンライン商品販売など、ブログを収益化する方法は多岐にわたる。
特にアフィリエイト広告は、適切な商品やサービスを紹介することで収益を得る人気の手段である。
情報の需要が高い
インターネットを通じて情報を得る人が増えており、特定のニッチなテーマや専門的な知識を提供するブログは、読者の関心を引きつけやすく、引き続き人気が高い。
SEOとSNSの活用
検索エンジン最適化(SEO)やSNSを活用することで、ブログへのトラフィックを増やし、収益化の可能性を広げることができる。
現状と課題
競争の激化
ブログ運営者や情報発信者が増えたことで、特定のテーマでの競争が激しくなっている。差別化や独自性が重要となり、質の高いコンテンツの提供が成功の鍵となる。
収益化までの時間
ブログで収益を得るには、一定の時間と努力が必要である。初心者の場合、収益が発生するまで数ヶ月から1年以上かかることを覚悟しておく必要がある。
継続力の必要性
成功するためには、定期的な記事投稿や読者との関係構築を続けることが求められる。
成功のためのポイント
特化ブログを運営する
ニッチなテーマに特化することで、競争を避けつつ読者の関心を引きやすくなる。特定の分野に焦点を当て、専門性を高めることで読者の関心を引きつけたい。
SEO対策を徹底する
キーワード選定や内部リンク、さらには外部リンクの活用など、検索エンジンで上位表示されるための工夫が必要である。
SNSを活用する
InstagramやX(旧Twitter)などでブログ記事をシェアし、顧客(読者)を増やす努力をする。SNSを通じて読者とのコミュニケーションを図り、忠実なリピーターを増やす努力をする。
継続的な努力
定期的な記事投稿と更新を続けることで、ブログを活発に保ち、アクセスを増やす。まさに、継続は力なりである。
ブログ運営で稼ぐことは可能であるが、成功するためには計画的な取り組みと継続的な努力が必要であることは言うまでもない。
正しい戦略と戦術を採用し、時間と労力をかけることで収益化も視野に入ってくる。目先の収益に目を奪われず、情報の質と信頼性を重視した取り組みが求められている。
あとがき
企業広告は、テレビやラジオなどのマスメディアからインターネット広告へとシフトしつつあるという。特に日本では、インターネット広告費が総広告費の約47.6%を占めるまでに成長しており、動画広告やSNS広告の需要が急増しているらしい。インターネット広告の拡大に伴い、テレビ広告もデジタル広告との融合が進んでいるという。
この企業広告の変化は、企業が消費者の行動やデジタル化の進展に対応し、より効果的な広告戦略を追求していることを反映していると言えそうだ。どの広告媒体が最適かは、ターゲット層や目的によって異なるが、インターネット広告の重要性は今後さらに高まるに違いない。
このような時代の変化にも関わらず、成功しているブロガーは少数派であり、多くの人が収益化までに長い時間を必要とする厳しい現実がある。確かに収入面から評価すれば、ブログ運営の世界は厳しいと言わざるを得ない。
しかしながら、ブログ運営は挑戦する価値がある分野でもある。その理由は、私たちシニア世代にとって、ブログ運営は単なる趣味や活動以上に、多くの学びや成長をもたらす有意義な挑戦となるからである。そのことをリベラルアーツとの関連性を踏まえて説明すれば、下記のようになる。
知識の統合と新しい学び
リベラルアーツは幅広い知識を統合し、深い洞察を得ることを目的としている。ブログ運営の過程では、文章力、リサーチ能力、デジタルツールの活用といったスキルを身につけることで、知識の幅が広がる。例えば、旅行の記録をまとめる際には、地理や文化、歴史について調査する必要があるため、自然と多くの知識を吸収できる。
批判的思考と創造力の発揮
リベラルアーツでは、物事を深く考え、新しい視点を持つ力が重視される。ブログ記事を書くプロセスで、自分の視点やアイデアを表現するためにクリエイティブな発想が必要になる。また、読者に価値を提供するためには、情報の精査やテーマの優先順位付けといった批判的思考も求められる。
コミュニケーションの深化
リベラルアーツは、他者との対話や共感を通じて知識を共有することを奨励している。ブログ運営を通じて、自分の経験やアイデアを共有することは、他者と繋がるきっかけにもなる。また、コメントへの応答やSNSでの交流を通じて、新しい人間関係や視点を得ることもできる。
デジタルリテラシーの向上
シニア世代にとって、デジタルスキルを身につけることは特に重要である。ブログ運営は、リベラルアーツの学びとデジタルリテラシーの強化を両立する手段となる。例えば、WordPressや画像編集ツールを使うことで、デジタル技術への理解が深まる。
生涯学習の実践
リベラルアーツの精神には「生涯を通じて学び続ける」という考え方が含まれている。シニア世代がブログ運営を始めることで、新たなスキルや知識を獲得し、成長を感じることができる。この「挑戦する姿勢」こそが、生涯学習の本質ではないだろうか。
自己表現と意義の発見
リベラルアーツは、自己の内面を探求し、人生における意味や価値を見出す助けとなる。ブログ運営を通じて自分の人生経験や価値観を表現することで、自己理解が深まり、自分の生き方に新たな意義を見出すきっかけにもなると私は信じたい。
このようにシニア世代がブログ運営に挑戦することは、リベラルアーツの学びの理念に非常に合致している。挑戦することで得られる新しい視点やスキルは、人生をさらに豊かにしてくれると信じたい。