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ハナショウブ、カキツバタ、アヤメの違いを簡単に見分ける方法とは?

はじめに

私が子供の頃の話だが端午の節句にはショウブを入れた菖蒲湯【しょうぶゆ】に浸かる習慣があった。この時に使うショウブはハナショウブとは全く別の植物である。ショウブはサトイモ科で、ハナショウブはアヤメ科の植物である。花弁をみれば両者は全く別物であることは明らかであるが、葉の形状が似ていることから紛らわしい名がついているようだ。

一方で、ハナショウブと同じアヤメ科の植物であるカキツバタやアヤメの3者間の違いを明確に答えられる人はどれくらいいるであろうか? この問いかけは読者の皆さんへの質問というより私自身に向けたものである。

答えられなくても生活するのに困るわけではないが、ガーデニングでハナショウブやカキツバタを育てようとするならその違いを知っていた方が良い。その理由は、分からずに育てているのはちょっと恥ずかしいから、という程度ではあるが。

実は、7年前に知人から「カキツバタ」だという苗を数株譲り受け、カキツバタだとして信じて何の疑いもなく自宅の庭で育てて来た。しかし、昨年に会社員をリタイアして自由時間の多い身となり、今年の「カキツバタ」の開花時にゆっくりと鑑賞してみて違和感を感じた。「カキツバタ」だと信じていた植物は実は「ハナショウブ」であったからだ。

何故、気づいたかというと、花弁の位置が葉の先よりも高くて目立つ位置に出ていたからである。カキツバタの花弁は葉の先よりも高い位置につかない。その僅かな違いが「違和感」の正体であった。

ハナショウブ、カキツバタ、アヤメの花期はいずれも5~6月頃で、見た目もよく似ているので間違っていても仕方がないが、ガーデニングを趣味としている私にとっては見過ごすことはできない。どうでもよいプライドが許さない!


<目次>
はじめに
ハナショウブ
カキツバタ
アヤメ
見分け方のポイント
あとがき

ハナショウブ

ハナショウブ

ハナショウブは、ユリ目アヤメ科アヤメ属に属する。

ハナショウブはアヤメを観賞用として品種改良されたものである。

開花時期はアヤメより少し遅く、6月上旬~下旬頃である。

花弁は大輪で、園芸種であるので様々な色の花弁を付けるものがある。背丈は60~100 cmになる。

また、ハナショウブの葉には葉脈がしっかり見えるという特徴がある。

ハナショウブは湿地を好むことから、花菖蒲園は池や水田のように作られていることが多い。


カキツバタ

カキツバタ

カキツバタは、キジカクシ目アヤメ科アヤメ属に属している。

アヤメとハナショウブがユリ目であるのに対し、ハナショウブによく似ているカキツバタがキジカクシ目であるのが面白い。これら3種はアヤメ科アヤメ属で共通しているのも面白い。

カキツバタの開花時期は5月中旬~下旬である。ハナショウブよりも2週間ほど早く咲くが、花期が重なることがある。

花は中輪で、花の色は紫色や赤紫色などがある。背丈は30~90 cm程度で、ハナショウブより少し低いが、アヤメよりは高い。

カキツバタは池や沼のたもとなどの湿地に自生する。


アヤメ

アヤメ

アヤメは、ユリ目アヤメ科アヤメ属の植物である。

アヤメの開花時期は5月上旬~中旬で、カキツバタよりも早く咲く。花の大きさは小ぶりである。

背丈は30~50cmで、ハナショウブやカキツバタに比べるとやや低めである。

稀に白い花弁のアヤメをみることがあるが、アヤメは青紫色の花弁をつけるのが普通であり、「アヤメ色」と呼ばれている。

また、葉脈が目立たないのが特徴でもある。

草原や乾燥地などに育ち、水の多い湿地で見ることはない。


見分け方のポイント

ハナショウブ、カキツバタ、アヤメの3種の特徴をまとめると下記の表のようになるので参考にしてほしい。

比較項目ハナショウブカキツバタアヤメ
分類/目ユリ目キジカクシ目ユリ目
分類/科アヤメ科アヤメ科アヤメ科
分類/属アヤメ属アヤメ属アヤメ属
開花期6月上~下旬5月中~下旬5月上~中旬
花弁の色青、紫、白、
ピンク、黄など
紫色や赤紫色青紫色
背丈50~100 cm30~90 cm30~50 cm
葉脈目立つ目立たない
自生地湿地湿地草原や乾燥地

上記の表を参考にして見分けられるであろうか? 花期であったり、自生する場所の違いが参考になるかも知れない。また、背丈や葉脈にも違いを見出すことができる。花弁の色が黄色やピンクであればそれは間違いなくハナショウブであると断言できる。

もし花弁の色が紫色であった場合、ハナショウブ、カキツバタ、アヤメの3種の花を見分けるポイントは実は花弁の付け根にある。比較してみると下記の表のようになるので参考にしてほしい。

花弁の付け根ハナショウブカキツバタアヤメ
白と黄白と黄
模様模様無し模様無し網目模様

実に微妙な違いである。しかも花が咲いているときでないと見分けつかない。もどかしいが、3種類すべてがアヤメ科アヤメ属に属する植物なので仕方がない。


あとがき

結局、私が育てているのはカキツバタではなく、ハナショウブであることが分かり一件落着となった。

しかし、アヤメは咲いている場所が湿地ではないのですぐに区別できるとして、カキツバタとハナショウブの区別は開花してからでないと分からない。困ったものだが、幸いにも同じような環境で育てることができるので、開花してからゆっくり観察すればよい。

たとえ間違ったとしても実害はない。植物分類学者でもない私たちの間違いはご愛嬌というものである。花菖蒲をゆっくりと鑑賞している人に向かってウンチクを話しかけるのは無粋というものである。


【参考資料】
【植物分類】カキツバタ、アヤメ、ノハナショウブ、ショウブの違いを真面目に解説! – YouTube
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