はじめに
地球には、命の奇跡が凝縮された「特別な場所」がある。そこは、数えきれないほどの生き物たちが独自の進化を遂げ、同時に深刻な絶滅の危機にさらされている場所――それが「生物多様性ホットスポット」である。
本稿では、ホットスポットとは何か、なぜ重要なのか、そして私たちが学ぶべき地球環境の現実について取り上げたいと思う。
ホットスポットとは何か?
ホットスポット(Biodiversity Hotspot)とは、「固有種が非常に多く、かつ自然環境が著しく失われている地域」を指す用語である。
この概念は、環境保護団体「コンサベーション・インターナショナル(CI)」によって提唱されたものである。
ホットスポットの条件とは?
ホットスポットの条件には、次の2つがある:
- 固有の植物種が1,500種以上存在すること
- 原生の自然植生の70%以上がすでに失われていること
つまり、生物多様性ホットスポットは「生物多様性の宝庫でありながら、絶滅の危機に瀕している場所」だということである。
ホットスポットはどこに?
現在、世界には36のホットスポットが認定されている。特に、アマゾン、マダガスカル、ヒマラヤ、インドネシアの熱帯雨林などが有名である。
下記に示すリストにあるホットスポットは、地球の陸地のわずか2.4%しか占めていないのに、全植物種の50%以上が集中しているいう。まさに「命の宝庫」と言える貴重な場所である。
| アジア・オセアニア |
| ・インド・ヒマラヤ地域 ・インド・ビルマ ・西ガーツ山脈とスリランカ ・中国南部・ヒマラヤ東部 ・インドネシア・フィリピン・ニューギニア(スンダランド、ワラセア、メラネシア) ・日本(特に琉球列島) ・ニューカレドニア ・オーストラリア南西部 ・ニュージーランド ・フィリピン |
| アフリカ・中東 |
| ・マダガスカルとインド洋諸島 ・アフリカ西部ギニア森林地帯 ・東アフリカ沿岸森林地帯 ・アフリカ角地域 ・アフリカ大湖沼地域 ・ケープ植物区(南アフリカ) ・サハラ・アラビア乾燥地帯 ・地中海盆地 |
| 中南米・カリブ海 |
| ・アマゾン熱帯雨林 ・アンデス山脈熱帯地域 ・セントラルアメリカ森林地帯 ・カリブ諸島 ・チョコ・ダリエン・西エクアドル ・セラード(ブラジルのサバンナ) ・アトランティック・フォレスト(大西洋岸森林) ・メキシコ高地森林地帯 ・ティエラ・デル・フエゴ(南米南端) |
| 北米 |
| ・カリフォルニア・フロリスティック地域 ・メキシコ・アメリカ国境地帯(マダレニアン地域) ・カリブ海諸島 |
| 太平洋・島嶼部 |
| ・ポリネシア・ミクロネシア ・フィジー諸島 ・ニューカレドニア ・ハワイ諸島 |
日本にあるホットスポット
実は日本の南西諸島(琉球列島)もホットスポットのひとつに認定されている。
琉球列島のホットスポット事例:
- イリオモテヤマネコ
- 西表島にしかいない
- ヤンバルクイナ
- 沖縄本島北部のみに生息
- ノグチゲラ
- やんばるの森の固有種
これらの生き物たちは、長い年月をかけて独自の進化を遂げてきた「進化の奇跡」の証であると言われている。
ホットスポットが重要な理由
ホットスポットは、地球全体の陸地のわずか2.4%しか占めていないのに、全植物種の50%以上が集中していると言われている。 しかしその一方で、森林伐採、都市開発、外来種の侵入、気候変動などにより、これらの地域は急速に失われつつあるという。
主な脅威:
- 森林破壊による生息地の喪失
- 外来種による在来種の駆逐
- 気候変動による生態系の変化
- 過剰な観光開発や密猟
私たちにできること
ホットスポットを守ることは、地球全体の生物多様性を守ることにもつながる。私たちにもできることがたくさんある:
- エコツーリズムを選ぶ:
- 自然に配慮した旅行スタイルを選ぶ
- 持続可能な消費を心がける:
- 森林破壊につながる製品を避ける
- 外来種の拡散を防ぐ:
- ペットや植物の放出をしない
- 保全活動に参加・支援する:
- 寄付やボランティアで関わる
あとがき
未来へのヒントはホットスポットにある
ホットスポットは、絶滅の危機と進化の奇跡が交差する場所である。 そこには、自然の力強さと脆さ、そして私たち人間の責任が詰まっている。
地球環境を守り、地球の命を守るため、まずは生物多様性ホットスポットを知ることから始めてみたいと思う。