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天照大御神を祀る国内最強パワースポット・伊勢神宮

はじめに

天照大【アマテラスオオミカミ】は、日本神話に主神として登場する太陽を司る女神で、天上の高天原を統べる主宰神でもある。日本神話「天の岩戸」で有名な神であり、太陽神、農耕神、機織神など多様な神格を持つ他、皇祖神とされる。

天照大御神を祀る神社は日本各地に分布しているが、特に三重県伊勢市にある伊勢神宮内宮が有名である。

私は、伊勢神宮には何度が参拝しているが、実のところ勉強不足で詳しくは知らなかった。そこで、天照大御神と伊勢神宮について調べたことを本記事で取り上げてみることにする。

目次
はじめに
天照大御神
伊勢神宮
神宮の構成
皇大神宮(内宮)めぐり
豊受大神宮(外宮)めぐり
域外の別宮
「神宮」以外の神宮
神宮号の神社一覧
「宮」のつく神社
大神宮
神明社
あとがき

天照大

まだ日本という国がなかった頃、「国生みの神」と呼ばれるイザナギイザナミによって多くの神々が誕生した。イザナギの左目から生まれたのが、八百万の神々で最高位に位置する神がアマテラスであるという。

その後、高天原と呼ばれる天上世界を治め、太陽を司る神となる。スサノオの乱暴によって「天の岩戸」に身を隠したとき、世界は闇に覆われたとされる。

天岩戸神社天安河原大洞窟
アマテラスが天の岩戸に身を隠したとき、八百万の神々が集まり策を考えた場所とされる

アマテラスは、天皇の祖神であり、日本で最も重要な神様である。日本最古の史記である古事記や日本書紀にも当然ながら登場する。古事記では「天照大御神」、日本書紀では「天照大神」と表記されている。

太陽は、万物すべてに光を与え包み込むことから、あらゆる願い事を聞き届けるというアマテラスは、「所願成就」の神様として知られる。そのため伊勢神宮の内宮をはじめ全国各地の神社に祀られている。

特に、伊勢神宮は鎮座より2000年の歴史を誇り、内宮と外宮の正宮を中心に、全部で125社から構成される日本最大の神社である。20年に一度、正殿を立替えて神様の御神体を遷す、いわゆる「式年遷宮」が行われることでも有名である。


伊勢神宮

伊勢神宮は特別な神社であるという。妻の話によれば、神社で御朱印帳を新しく購入し、そこで御朱印を頼むと 第2ページ目に御朱印を書いてくれるそうである。

第1ページ目は伊勢神宮での参拝時のために空けておいてくれるというのである。この話は妻が新しく御朱印帳を購入するたびに妻から聞かされる。

伊勢神宮が特別な神社であるというエピソードは他にもある。

由緒ある神社の境内には立派な御神木があり、その御神木は大抵は一本である場合が多い。そして境内の他の樹木とは異なり、御神木だけが特別扱いされている。

ところが、伊勢神宮においては境内に生えている全ての樹木御神木であるという。 最強パワースポットの証といえよう。

そもそも伊勢神宮正式名称は地名(伊勢)を冠しない「神宮」であり、本来は「伊勢神宮」なのである。他の神宮と区別するために伊勢神宮通称されているだけである。

伊勢神宮」は神社本庁本宗であり、全神社の上に位置する神社として社格対象外とされてきた神社である。


神宮の構成

伊勢神宮は、皇大神宮内宮;ないくう)と 豊受大神宮外宮;げくう)を御正宮(ごしょうぐう)とし、14所別宮43所摂社24所末社42所所管社の合計125宮社から成り立っている。

内宮祭神は、皇室の御祖先の神と仰ぎ、日本国民の大御祖神として崇敬を集める天照座皇大御神 (アマテラスオオミカミ、天照大御神) である。

日本神話の一つ「天岩⼾神話」で万物に光明をもたらす太陽にも例えられる有名な神様である。

一方、外宮祭神は衣食住をはじめ、あらゆる産業の守り神とされる豊受大御神 (トヨウケノオオミカミ)である。

20年に1度社殿を建て替える神宮式年遷宮は、わが国で最も重要な祭事の一つとなっている。

別宮(べつぐう)は、正宮の「わけみや」の意味で、正宮と関わりの深い神を祭る格の高いお宮である。別宮は計14所あり、皇大神宮(内宮)に10所、豊受大神宮(外宮)に4所ある。

摂社(せっしゃ)は、延喜式神名帳(927年)に記載されている神社であり、皇大神宮(内宮)に27社、豊受大神宮(外宮)に16社が祭られている。

末社(まっしゃ)は、延暦儀式帳(804年)に記載されている神社である。皇大神宮(内宮)に16社、豊受大神宮(外宮)に8社が祭られている。

所管社(しょかんしゃ)は、御正宮や別宮に直接かかわりがあり、井戸や酒、米、塩、麻、絹など衣食住をつかさどる神々が多く祭られており、皇大神宮(内宮)に30社、豊受大神宮(外宮)に4社、別宮の瀧原宮3社伊雑宮5社が祭られている。


皇大神宮(内宮)めぐり

伊勢神宮には何度か参拝させて頂いているが、皇大神宮(内宮)しかお参りしていないことに気付いた。

豊受大神宮外宮)を参拝して後に内宮を参拝するのが正しい参拝の順序であるという。次回からは気をつけたいと思う。

ただ伊勢神宮は広大であり、外宮と内宮の距離は約5.5 kmもあり、徒歩でいくには正直、躊躇する距離だ。

宮社神社名読み主祭神
摂社津長神社つながじんじゃ栖長比賣命
末社 新川神社 にいかわじんじゃ 新川比賣命
末社石井神社いわいじんじゃ高水上命
所管社饗土橋姫神社あえどはしひめ宇治橋鎮守神
摂社大水神社おおみず じんじゃ大山祇御祖命
末社 川相神社 かわあいじんじゃ 細川水神
末社熊淵神社くまぶちじんじゃ多支大刀自神
所管社子安神社こやすじんじゃ木華開耶姫命
所管社大山祇神社おおやまつみ大山祇神
所管社瀧祭神たきまつりのかみ瀧祭大神
別宮風日祈宮かざひのみのみや級長津彦命、
級長戸辺命
所管社四至神みやのめぐりのかみ四至神
御正宮皇大神宮こうたいじんぐう天照座皇大御神
所管社興玉神おきたまのかみ興玉神
所管社宮比神みやびのかみ宮比神
所管社屋乃波比伎神やのはひきのかみ屋乃波比伎神
所管社御稲御倉みしねのみくら御稲御倉神
別宮荒祭宮あらまつりのみや天照大御神荒御魂
所管社由貴御倉ゆきのみくら由貴御倉神
所管社御酒殿神みさかどののかみ御酒殿神
皇大神宮(内宮)めぐり

豊受大神宮外宮めぐり

私は、外宮に参拝した経験が実は一度もない。次回は是非、参拝してから内宮を参拝することにしようと思う。

宮社  神社名   読み   主祭神     
摂社宇須乃野神社うすのの宇須乃女命
末社縣神社あがたじんじゃ縣神
別宮月夜見宮つきよみのみや月夜見尊、月夜見尊荒御魂
摂社高河原神社たかがわら月夜見尊御魂
摂社度会国御神社わたらいくにみ彦國見賀岐建與束命
末社大津神社おおつじんじゃ葦原神
所管社上御井神社かみのみいの上御井鎮守神
所管社御酒殿みさかどの御酒殿神
所管社四至神みやのめぐりの四至神
御正宮豊受大神宮とようけだい豊受大御神
別宮多賀宮たかのみや豊受大御神
荒御魂
所管社下御井神社しものみいの下御井鎮守神
別宮土宮つちのみや大土乃御祖神
別宮風宮かぜのみや級長津彦命
級長戸辺命
摂社度会大国玉比賣神社わたらいおおくにたまひめ大国玉命、 弥豆佐佐良比賣命
末社伊我理神社いがりじんじゃ伊我利比女命
末社井中神社いなかじんじゃ井中神
摂社山末神社やまずえ大山津姫命
摂社田上大水神社たのえおおみず小事神主
摂社田上大水御前神社たのえおおみずみまえ宮子
豊受大神宮外宮めぐり

域外の別宮

別宮は、正宮に次ぐ格の高いお宮であり、合計14所ある別宮の内、9所は伊勢市内・市外の域外に鎮座している。

宮社  神社名読み主祭神
内宮別宮⽉読宮 つきよみのみや⽉読尊
内宮別宮 ⽉読荒御魂宮つきよみあらみたま⽉読尊荒御魂
内宮別宮伊佐奈岐宮いざなぎのみや伊弉諾尊
内宮別宮伊佐奈弥宮いざなみのみや伊弉冉尊
内宮別宮瀧原宮たきはらのみや天照大御神御魂
内宮別宮瀧原並宮たきはらならび天照大御神御魂
内宮別宮伊雑宮いざわのみや天照大御神御魂
内宮別宮倭姫宮やまとひめのみや倭姫命
外宮別宮⽉夜⾒宮つきよみのみや月夜見尊
域外の別宮一覧

神宮」以外の神宮

神宮は、社号として神宮号を名乗る神社である。「神宮」という社号は格式がとても高い神社であり、皇室とゆかりの深い由緒ある神社につけられる。

神宮と呼ばれる基準としては、皇室の祖先神を祀っているかどうかである。

「日本書紀」には、伊勢神宮、石上神宮、出雲大神宮(後の出雲大社)が記されている。また、平安時代の「延喜式神名帳」には大神宮(伊勢神宮)、鹿島神宮、香取神宮が記されている。

すなわち、神社の中でもごく限られた、格式高くて規模が大きい神社のみが、神宮として扱われていたということである。

明治以降には、その格式の高さから他の天皇や皇室の祖先神、大和平定に功績のある特定の神を祭神とする神社が神宮へと称号を改めたため、神宮の数が急に増えることになった。

一番新しい例は終戦後に、北海道神宮英彦山神宮が、神社本庁の許可を得て改称しているのみである。

有名な明治神宮・鹿島神宮・宇佐神宮など神社本庁が認可している神宮は現在24社あるが、神社本庁に属さない神宮も存在しているという。


神宮号の神社一覧

社号    御祭神 所在地   
伊弉諾神宮伊邪那岐命、伊邪那美命淡路市
霧島神宮天饒石国饒石天津日高彦火瓊瓊杵尊霧島市
鹿児島神宮天津日高彦穂々出見尊霧島市
鵜戸神宮日子波瀲武鸕鶿草葺不合尊日南市
英彦山神宮正哉吾勝勝速日天忍穗耳尊添田町
橿原神宮神武天皇橿原市
宮崎神宮神武天皇宮崎市
氣比神宮伊奢沙別命、仲哀天皇敦賀市
宇佐神宮八幡大神 (応神天皇)、
比売大神、神功皇后
宇佐市
近江神宮天智天皇大津市
白峯神宮崇徳天皇、淳仁天皇祭神京都市
平安神宮桓武天皇、孝明天皇京都市
新日吉神宮大山咋神、大山咋命荒魂、
大己貴命、玉依比売命、
玉依比売命荒魂、 田心比売命、
菊理比売命、後白河天皇
京都市
赤間神宮安徳天皇下関市
水無瀬神宮後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇島本町
吉野神宮後醍醐天皇吉野町
北海道神宮明治天皇札幌市
明治神宮明治天皇渋谷区
熱田神宮熱田大神、
御神体:天叢雲剣
(草薙剣; 三種の神器の一つ)
名古屋市
石上神宮布都御魂大神、布都御魂 天理市
國懸神宮國懸大神、御神体:日矛鏡和歌山市
日前神宮日前大神、御神体:日像鏡和歌山市
鹿島神宮武甕槌神鹿嶋市
香取神宮経津主神香取市
神宮号の神社一覧

」のつく神社

(みや・ぐう)」という社号も格式が高く、特別の理由を認められた神社につけられる。例えば、天皇や皇室、国に関わりのあった人物を祀っている神社である。

親王と呼ばれる天皇家の男子や歴史上の重要な人物である。例えば、香椎宮には仲哀天皇が、東照宮には徳川家康が、天満宮には菅原道真がそれぞれ祀られている。


大神宮

大神宮(だいじんぐう)」という社号は、伊勢神宮の出張機関というべき、東京大神宮の特別な社号である。東京大神宮は伊勢神宮天照大御神豊受大神を勧請されており、まさしく伊勢神宮の出張機関ともいえる。

江戸時代には、「東海道中膝栗毛」でも旅の主目的として描かれているように伊勢神宮への参拝は生涯かけての願いであった。

江戸から伊勢は非常に遠く、道なりは厳しいものであったため、明治天皇の判断で東京大神宮が、伊勢神宮の遙拝殿としてつくられ、「東のお伊勢さん」と呼ばれるほど人々に親しまれるようになった。


神明社

神明社(しんめいしゃ)とは、伊勢神宮を総本社とし、 天照大御神を主祭神として祀る神社のことを指す。神明神社皇大神社天祖神社などともいう。通称として「お伊勢さん」と呼ばれることがある。

伊勢信仰は、伊勢神宮に対する主として庶民の信仰をいう。祭神の 天照大御神が皇室の祖神とされているため、農耕儀礼と密接に結びつき、信仰を広く集めてきた。そのため神明社と呼ばれる神社は全国に約5400社もあるという。


あとがき

他の神社よりも伊勢神宮に参拝している数は多いが、知ったかぶりをしていたが明らかになった。伊勢神宮の内宮と外宮について何も知らないまま参拝していたかと思うと、恥ずかしさで一杯である。むしろ参拝したことがないと言った方が恰好がつく。

大いに反省し、次回の参拝ではしっかりと作法に沿った参拝をしたいと思う。


【参考資料】
伊勢神宮【公式サイト】