はじめに
私は満65歳を機に会社員生活に終止符を打つことになったが、このまま隠居生活に入る気は全くない。私は、セカンドライフを会社員生活とは違った後半生にしたいと思っている。例えるならば、二毛作のような人生を送りたいと思う。
私は、基本的に働くことが好きである。自分が仕事をすることで周りに喜んでもらえたりすると率直に嬉しい。社会貢献、収益、自己実現を求めてシニア生活を過ごしたいと思い、フリーランスとして何か社会の役になる仕事したいと思い立った。
フリーランスでの開業、しかもシニアになってからの開業が成功する可能性はそれほど高くはないことは分かっている。若者と比べると再起する機会はないに等しい。失敗のリスクを極力少なくしないといけない。失敗した場合の影響を考えると、フリーランスで開業できる職種は限られていると思う。
フリーランスでの開業は、自分の得意なことで顧客や社会に貢献していくことだと思う。だから、私が起業したいと思っている仕事とは次の三条件を満たしていることが前提となる。
1.自分の知識、経験や趣味を活かせる仕事(得意分野の仕事)
2.市場性があり、社会貢献に繋がる仕事(利益を生む仕事)
3.好奇心を満たす、ワクワクできる仕事(好きな仕事)
これらの条件を満たしていれば、自分自身を動機付けられ、長続きできると確信している。
自分ひとりの努力で開業できることも重要である。従業員もいらない。いや、従業員は雇えられない。雇うことができても身内ぐらいであろう。シニア世代には他人の生活に責任が持てないからである。そして、何よりも必要以上にお金を稼ぐ必要がない。むしろ、顧客に信頼されるような仕事を細々であっても死ぬまで続けていきたいと思う。
以上の観点から私が導き出した結論は、コンサルタントとトラベルフォトライターの二業種で開業したいというものである。
そして、コンサルタントとトラベルフォトライターは共に顧客がいないと成り立たない商売であるから、集客のツールとしての個人ブログも必要になり、ブログサイトを開設することにした。
本記事は、その「個人ブログ」を開設する際の方法論と収益化に至るまでのアプローチについて考えたものである。個人ブログの開設から収益を得るまでのプロセスには、計画的な段階と実践的な行動が必要である。
私と同じ思いで、フリーランスとして何か開業したいと思っているシニア世代の読者の参考になりたい。そんな想いで、効率的で効果的な方法論をステップごとに説明しているので、少しでも参考になれば幸いである。
<目次> はじめに フリーランスが開業して成功する意義 自分にあった顧客を集める方法を学ぶ 明確な目的とテーマの設定 ブログプラットフォームの選択 高品質なコンテンツの作成 集客方法の構築 収益化の仕組みを導入 効果測定と改善 継続と成長 あとがき |
フリーランスが開業して成功する意義
フリーランスが開業して、成功するにはどうしたらよいのか?
そもそも「開業して成功」とはどういうことを指すのか?
開業を軌道に乗せるにはどうすればよいのか?
そんな疑問に対する答えを求めて自分なりに考えてみた。
私が考える「開業して成功」とは「多くの顧客を集め、その顧客を満足させ、その代価として利益を得ること」である。顧客を集めて利益を得ることは、やりがいや社会との繋がりを実感するために重要なことであると私は思う。
自分にあった顧客を集める方法を学ぶ
自分にあった顧客さえ集めて、顧客に満足してもらえるような商品やサービスを提供していけば、利益に繋がるはずである、と信じたい。
そこで、起業を成功させるには、顧客の集め方と商品・サービスの提供の仕方を学ぶ必要がある。現代はインターネットで集客するのが当たり前の時代である。つまり、顧客の集め方=ブログやSNSでのアクセスの集め方とも言える時代である。
ブログやSNSに集まった顧客にサービスや広告商品を勧めて購入してもらうアフィリエイトという仕組みがある。このアフィリエイトで鍛えられれば、顧客の集め方と商品・サービスの提供の仕方の二つを同時に学ぶことができるかも知れない。そのように考えて、まずは個人ブログの開設準備に取り掛かることにした。
X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSの活用はブログの補完的な役割と考え、まずは個人ブログを中心に据えたいと思う。
明確な目的とテーマの設定
ステップ 1として、明確な目的とテーマの設定が必要である。
- 目的を明確化:
- ブログで達成したい目標(情報発信、収益化、趣味など)を明確にする
- テーマの選択:
- 競争が激しくないが、需要があるニッチなテーマを選ぶのが成功への鍵だと思う
- 例:地域の観光情報、特定の趣味
- 競争が激しくないが、需要があるニッチなテーマを選ぶのが成功への鍵だと思う
どんな情報を発信すべきか?
将来、収益化に繋がる個人ブログは、当然ながら「読者の役に立つ情報」を発信するものでなくてはならない。
具体的に「読者の役に立つ情報」とは基本的に次の2つであるとされる。
- 読者の悩みや問題の解決などに役立つ
- 読者の幸福や精神的成長などの参考になる
特に、次の3つのジャンルに当てはまる内容は、多くの人が解決したいと悩んでいるため、ブログへのアクセスや売上が期待できるという。
- お金に関する悩み
- 人間関係に関する悩み
- 健康に関する悩み
その一方で、アクセスを集めるのが難しいジャンルとして知られているのは、YMYL分野である。
YMYLは「Your Money or Your Life」の略で、直訳すると「あなたのお金と人生」という意味であり、将来の幸福、健康、金融など、人々のお金や人生に影響を与えるページを指す。
これはGoogleが検索の評価基準をまとめた 「検索品質評価ガイドライン」の項目の一つであり、知識のないまま不十分な対応をしてしまうと、意図せずにGoogleからの評価を下げてしまい、サイト全体の検索順位を下げてしまう危険性を秘めている。
人々の生活や健康に大きな影響を与える内容のブログ記事は、その内容が本当に正しく、信頼できるものであるかどうかが重要であるので、Googleからの評価を左右するは当然であり、私自身はこのGoogleの施策に大賛成である。
その一方で、真っ当な個人ブログにおいて、このYMYL分野で、Googleから正しく評価され、検索順位を上げてもらう可能性は皆無なのだろうか?
YMYL分野のSEOを考えた場合、注目すべき概念が「E-A-T」である。E-A-Tとは、Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性) の略語であり、通常、頭文字をとってE-A-Tと呼ばれている概念のことである。
稼げるブログを作るには、最初に「どんなブログにするか」というブログの方針を決める必要がある。
私の場合は次のようにブログの方針を決定した。
- 特化ブログ
- ブログで取り組むジャンルは、シニア生活を豊かに過ごすための情報として「趣味・旅行」、「生活費を稼ぐ・節約する方法」、「健康」など
- 想定読者は、シニア世代
- 売りたいサービス・商品は、「ブログで取り組むジャンル」の関連サービスや商品
- 顔出し&実名
特化ブログとは、扱うジャンルを決めて、そのジャンルのことを詳しく書いていくブログのスタイルである。
特化ブログが向いている人は多分、下記のような特性を有していると推察される。
- 得意なことや好きなこと、打ち込んできたことがある
- 趣味や勉強してきたことがある
- 解決してきた悩みやコンプレックスがある
- これから解決していきたい悩みやコンプレックスがある
- 効率よく稼ぎたい、集客したい
- リサーチして情報をまとめるのが得意
- ブログで書きたいことが決まっている
ブログのスタイル、取り組むジャンルが決まったら、次は「どんな人にブログを読んでもらうか」を決める。
「自分のブログを読んでほしい人はどんな人か?」
「どんな人の役に立つブログを書いていくか?」
を考え、自分のブログの想定読者を決めていく。
「どんな人に情報を届けていくか」や「どんな人に商品やサービスを紹介していくか」を決めることで、ブログの内容が具体的になるからである。たとえば、想定読者が漠然としていると、『人生を楽しむ方法』みたいな漠然としたブログになってしまう。
確かに、シニア世代を対象とするなら、『人生を楽しむ方法』とはせずに、『65歳からの第二の人生を最高の思い出にする方法』みたいにした方が想定読者が明確になって良い。
このように、想定読者を決めることで、より具体的で魅力的なブログを作っていけるように思う。
ブログを始めるときには、始める前にどんな商品・サービスを売るか決めることも非常に大切である。ビジネスは、「何を売るか?」から逆算することで効率よく稼いでいくことができるからである。同様に、稼げるブログも具体的には、「何を売るか?」→「どんな人を集めるか?」→「どんな記事を書くか?」となる。
ブログプラットフォームの選択
ステップ 2として、ブログプラットフォームの選択が必要である。
- WordPressの活用
- 自由度が高く収益化にも適したプラットフォーム
- カスタマイズが可能で、多くのプラグインが収益化をサポートしてくれる
- 初期設定
- ドメインを取得(例:www.myblogname.com)
- サーバーを契約し、WordPressをインストール
- テーマを選び、ブログデザインを設定
- 独自SSL化の設定
- 独自SSL(Secure Sockets Layer)化の設定を行う
- インターネット上のデータ通信を暗号化して送受信を行う仕組みである
- SSL化することで通信を安全化することができる
- SSL化していないと、URLが表示されている部分に「保護されていない通信」と出てしまう
高品質なコンテンツの作成
ステップ 3として、高品質なコンテンツの作成が必要となってくる。
- 価値ある情報提供:
- 読者にとって有益で魅力的な記事を作成する
- 記事内容の方針が決まったら、記事タイトルを決める
- 記事タイトルは、パッと見でどんな内容が書かれている記事か分かることが重要となる
- SEO対策:
- 適切なキーワードを記事タイトルや見出し、本文に自然に組み込む
- メタディスクリプションを設定して検索結果で目立つようにする
- ビジュアルの活用:
- 写真やグラフを使用し、視覚的に魅力的な記事を作成
YMYL分野におけるSEO対策
YMYL分野に関するSEO対策は、E-A-Tの観点から実施しなければ意味がないと容易に判断できる。勿論、SEO対策をしたからといって、必ずしも検索順位が向上するわけではないだろう。それは、Googleのアルゴリズムも常に変動しており、そもそもE-A-T要素のスコア化が難しいから、すぐには反映されないだろう。
そうは言っても検索順位アップの可能性が高まるGoogleが評価したいサイトの考え方に沿ったコンテンツを作成することは、新しく個人ブログを開設する際には重要となる。
何よりも顧客にとって良いコンテンツを提供することに繋がり、顧客からの高い評価が得られれば、結果としてWebサイトの成果も高まるはずである、と思いたい。
E-A-Tの概念に沿ったSEO対策(要点)
では、E-A-Tの概念に沿った具体的なSOE対策にはどういったものがあるのだろうか?
- 著者情報を充実させる。
専門性のあるコンテンツの場合、「誰が執筆したか」というのは非常に重要である。著者個人の専門性が分かるプロフィールページを作ったり、著者のブログやSNSへアクセスできるようリンクを張り付ける。 - コンテンツの正しさを確認する。
そうは言っても専門用語の多用は避ける。専門的すぎて内容が顧客に伝わりにくくなるのを避けるため、一般人が読んでも理解しやすい表現にすべきである。その際は、よく検索されているキーワードを調べて盛り込むと、SEO対策としても有効となる。 - 公的機関の情報を参考にする。
専門家に監修や添削を依頼するのが難しい場合、情報の引用元を公的機関に絞るなどして、コンテンツの精度を高めるようにする。但し、他サイトの無断引用やコピペはNGである。
一般的なSEO対策(要点)
E-A-Tの概念に沿ったものでもなく、かつ、即効性のある対策ではないが、下記のような一般的なSOE対策も実行すべきである。
- Webサイトの情報を充実させ、信頼に足るWebサイトであることをアピールできるようにする
- Webサイト運営者の情報、お問い合わせページ、プライバシーポリシーや利用規約ページなどを記載し、適切に管理する
- Webサイト運営者の情報、お問い合わせページ、プライバシーポリシーや利用規約ページなどを記載し、適切に管理する
- 各コンテンツがユーザーの欲しい情報であるかを確認し、コンテンツの質を高める
- 記事には余計な情報や曖昧な情報は記載しない
- 顧客の欲しい情報ではなく、他の情報を検索することになるような不利益を顧客に与えることは極力避けたい
- 質の高いコンテンツは自ずと顧客に高く評価されるはず
- HTTPS化する
- 顧客にこのサイトが安全であるという安心感・信頼感を与える指標になる
- SSL化していないと、URLが表示されている部分に「保護されていない通信」と出てしまう
- 顧客がこの表示を見たら、ちょっと危険なサイトなのかなと思うかもしれない
- 読者にブログを安心してみてもらうためにも、独自SSL化の設定を確実に行っておく
- 独自SSL化の設定手順は以下の通り:
- 管理画面で「設定」→「一般」をクリック
- アドレス(URL)とサイトアドレス(URL)を「http」から「https」に変更
- 「変更を保存」をクリックして完了
- 情報を適切に更新する
- 古い情報は誤っている可能性があるので、顧客からの信頼性も下がる
- 掲載している情報は定期的に見直し、更新する
集客方法の構築
ステップ 4として、集客方法の構築が必要となってくる。
- SNSでの宣伝:
- X(旧Twitter)、Instagram、Facebookを使って記事を拡散
- ゲスト投稿:
- 他のブログやメディアに記事を寄稿して認知度を向上
- メールマーケティング:
- 読者のメールアドレスを収集し、定期的にニュースレターを送る
収益化の仕組みを導入
ステップ 5として、収益化の仕組みを導入する必要がある。
- 広告収入:
- Googleアドセンスなどを活用してブログに広告を表示
- アフィリエイトマーケティング:
- 商品やサービスを紹介して、リンク経由の購入で手数料を得る
- メンバーシップ:
- PatreonやNoteを活用し、有料会員限定の特別コンテンツを提供するなど
効果測定と改善
ステップ 6として、効果測定と改善が必要となってくる。
- 分析ツールを活用:
- GoogleアナリティクスやSearch Consoleでトラフィックを分析
- 読者のフィードバックを収集:
- コメントやアンケートを通じて改善点を特定
- 競合分析:
- 他のブログの成功事例を研究し、自分のブログに応用
継続と成長
ステップ 7として、継続と成長を目指す。
- 定期的な投稿:
- 一貫して高品質な記事を投稿することで読者を維持
- スキルアップ:
- ライティングやマーケティングスキルを磨き続ける
- 新しい収益化方法を模索:
- 時間の経過とともに、新しい収益モデルを取り入れる
これらのステップを順番に実行していくのが効率的かつ効果的ではあるが、自分がすぐに取り掛かれるステップから始めても良いと思う。大切なことは、ブログの成長を楽しみながら取り組み、収益化は後からついてくるような感じで進めるとよいのではないだろうか。最初から収益化ありきで始める、精神的にキツイものがあると私は想像する。
あとがき
個人ブログの開設から収益化に至るプロセスを考えることは、リベラルアーツの学びと深く関連していると思う。ブログを成功させるには、複数の知識やスキルを組み合わせる必要があり、それがリベラルアーツの基盤となる多面的な視点や幅広い教養に通じるからである。
例えば、少々こじつけの面があるかも知れないが、下記のようなリベラルアーツと関連する学問に繋がる知識やスキルが個人ブログの開設や運営を通じて習得できるのではないかと考えている。
- 文章力と表現力:
- 読者を引きつけるコンテンツを作るために、豊かな語彙や論理的な構成力が必要
- これは文学やコミュニケーション学に関連する
- マーケティングの理解:
- SEOやSNSを活用した集客戦略を学ぶことで、経済学や心理学との接点が生まれる
- データ分析:
- アクセス解析やトラフィックデータを用いて収益を上げるための改善を行うスキルは、統計学や情報科学と結びつく
- 創造力とデザイン:
- 魅力的なブログデザインやビジュアルの作成には、美術やデザインの要素が含まれる
- テーマ選びと多様な視点:
- トピック選定において、社会学や歴史学など幅広い分野の知識が役立つ
つまり、収益化という具体的な目標を持ちながらも、複数の学問分野を横断して学び、実践する機会となる。それがリベラルアーツの精神を体現していると言えるのではないだろうか。