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シニア世代の終活としての戸建て住宅の「家じまい」

はじめに

私はサラリーマン生活をリタイアした今、自分の趣味であるガーデニングを楽しむためにいわゆる「トカイナカ」のエリアに属する三重県名張市で一人暮らしを始めている。私が健康でガーデニングを十分に楽しめるうちは何の問題もないが、私が老いてガーデニングが楽しめなくなった場合や他界した場合のことを考えると、終活の一環として「家じまい」を否応なしに考えざるを得ない。

この庭付きの一戸建て住宅は、私にとってはかけがえのないもので、終の棲家にしても良いと思っているくらいであるが、私の家族にとっては迷惑を被るだけの不動産であるかも知れない。何故なら、相続しても実際に住む機会がないにも関わらず、面倒な不動産の名義変更や相続登記の手続きを終えた後も固定資産税の負担や庭木の多い庭の維持管理が継続するからである。こんな不動産を私の家族に相続させるのは酷である。

そこで、私が元気なうちに終活の一環として、この住宅を売却する、いわゆる「家じまい」することで将来に禍根を残さないようにしたいと思っている。

目次
はじめに
「家じまい」とは
家じまいのプロセス
家じまいをするメリット
家じまいをするデメリット
あとがき

「家じまい」とは

家じまいとは、簡単に言うと、終活の一環として住宅を手放すプロセスのことである。家を売却、賃貸、解体することで、自分や家族の将来に向けた準備を進める行為を指す。これは遺産相続を円滑にしたり、老後の生活資金を整えるために行われることが多い。

具体的には、住宅や土地をどうするか考え、それに伴う家財道具の整理や処分も含まる。家じまいは、人生における大きなステップの一つであるが、これを通して人生の新しい章を始めることができるとも考えられる。

いずれにせよ、家じまいは私たちシニア世代が自分自身と残される家族の幸せな未来を築くための一つの選択肢であることに間違いはないはずだ。


家じまいのプロセス

家じまいを成功させるには、下記のようないくつかのステップを踏むことが重要となる。

1. 計画を立てる

  • 目的を明確に
    • 家じまいの理由やゴールを設定する
      • 例:資金化、次の住まいへの移行、空き家防止
    • 家じまいの理由を整理し、次にどのような生活を送りたいかを考える
    • 家じまいには、具体的な目標があるほど進行が楽になる
    • 老後の生活設計に合わせて、住み替え先の選択肢を検討
    • 家族と話し合い、将来の安心を共有することが重要
    • 家じまいは家族全員に影響を及ぼすため、全員の意見を尊重する
    • 感情的な側面を大切にし、想い出を共有する機会を設けるのも良い
  • スケジュールを作成
    • 売却や解体の時期、引っ越しのタイミングを計画する
    • 何をいつまでに行うかのタイムラインを作成
    • 売却、解体、引っ越しなど具体的な期限を設定する
    • 新しい住居が決まった場合、必要な手続きや準備を計画的に進める
    • 不動産売却や引っ越しの日程を早めに決めることが重要
    • 時間に余裕を持って計画を立てれば、慌てずに進められる

2. 家の状況を評価する

  • 不動産査定
    • 専門家に依頼して、家の市場価値を把握する
    • 専門家に家の査定を依頼し、市場の動向も確認する
    • 不動産査定によって売却タイミングを見極める
  • 家財整理
    • 必要なものと不要なものを分け、処分方法を検討する
    • 家財道具や思い出の品を分類し、「残す物」「譲る物」「処分する物」をリスト化すると片付けが効率的になる
    • 家財道具の中に価値があるものがあれば、売却する
    • 不要品の整理を少しずつ始めておくと、作業が円滑になる
    • 思い出の品や家財道具の処分を早めに進めることで、円滑な家じまいが可能となる
    • 家財や場所に込められた思い出をしっかりと整理し、写真や記録を残しておくと後悔が少なくなる
    • 写真や手紙など感情がこもったものは特に時間をかけて整理する
    • プロの整理業者を活用して、効率化を図ることも可能
  • 補修の必要確認
    • 家の老朽化部分を確認し、簡単な修繕を行うことで、売却価格がアップすることもある

3. 専門家の助けを借りる

  • 不動産業者選び
    • 信頼できる地元の業者や、実績のある会社を選ぶ
    • 口コミやレビューも参考にすると良い
    • 売却における手続きや適正価格について専門家に助言を受けると安心できる
  • 税理士や弁護士との連携
    • 特に相続や贈与が絡む場合は、法的な問題を解決するために弁護士や税理士に相談し、彼らのサポートを受ける
    • 売却や契約内容を確認する
  • 解体業者の選定
    • もし、解体が必要な場合は解体業者を選ぶ
    • 事前に見積もりを数社から取得して比較する
    • 地元の許可を持つ業者を確認
    • 解体における手続きや適正価格について専門家に助言を受けると安心できる

4. 不動産の手続きと準備を進める

  • 売却か賃貸かを決定
    • ライフプランに合わせて選択する
    • 売却の場合、価格交渉を行い、納得のいく条件を見つける
  • 売却・契約
    • 家の売却や賃貸契約を進める
    • 契約内容をきちんと把握して、トラブルを未然に防ぐ
    • 売買(又は賃貸契約)に関する条項をしっかりと確認
  • 解体・撤去
    • 必要に応じて、建物の解体を行う
    • 解体費用や手数料などを事前に見積もりし、予算を立てる
  • 行政手続き
    • 所有権移転や税金関係の申告を行う
    • 所有権移転や税金関係の処理は速やかに行うことが大切
  • 引っ越しの準備
    • 新しい住まいに必要な家具やインフラを整備しておく

5. 新しい生活への移行

  • 住まいの選定
    • 次の住まいを探し、必要な準備をする
      • 家具や設備の手配など
  • 引っ越し手配
    • 引っ越し業者を選び、スケジュールを調整する
  • 新生活の整備
    • 新しい地域に慣れるため、近隣の情報を収集したりコミュニティに参加したりすることも大切
    • 新しい住環境に慣れるまで少し時間がかかることもあるが、新しい生活環境を整える
    • 面倒くさがらずに、これを楽しむ姿勢を持つことが大切
  • リフレッシュの機会
    • 新しい地域でのコミュニティに参加したりする
    • 新たな趣味を始めることで新生活をより豊かにできる

6. 振り返りとケア

  • 家族との共有
    • 家じまいの経験を家族と振り返り、新しいスタートを祝う時間を持つべきだろう
  • 感情の整理
    • 想い出のある家を手放すことへの気持ちの整理も必要

これらのステップをひとつずつ進めていけば、家じまいを成功させ、次のステージを気持ちよく迎えることができるはずである。

計画性と専門家のサポートが、このプロセスを円滑に進める鍵になる。次に進むべき方向が見えたとき、未来が明るく感じられると期待したい。


家じまいをするメリット

ところで、「家じまい」をした場合におけるメリットは何であろうか? 下記のようなメリットが一般的には指摘されている。

  • バリアフリー生活への移行
    • 老朽化した一軒家を処分し、バリアフリー仕様のマンションやサービス付き高齢者住宅に住み替えることで、暮らしが便利になる
    • 高齢者向けのマンションなどに移ることで、身体的負担が軽減され、快適な生活が送れる
  • 資産管理の効率化
    • 自宅を売却し、現金化すれば、老後資金の安定を図れる
      • 売却で得た資金を生活費や医療費に充てられる
  • 空き家問題の回避
    • 空き家がもたらす地域の治安悪化や環境問題を防げる
    • 長く放置された空き家が地域に与える悪影響を防ぐことができ、近隣環境の改善にも寄与する
  • 家族への負担軽減
    • 遺産相続時のトラブルや維持管理の負担を最小化できる
    • 遺産相続時の財産整理が簡単になり、家族間のトラブルを避けることができる
  • 心の整理と新たなスタート
    • 想い出のある家を手放すことで、過去を整理し、新しい環境で新たなスタートを切る機会となる

家じまいをするデメリット

家じまいにはメリットが多くあるが、考慮すべきデメリットもいくつか存在する。一般的なデメリットとして、次のようなことが指摘されている。

1. 感情的な負担

  • 長年住み慣れた家を手放すことは、想い出が詰まっている分、感情的な寂しさや喪失感を感じることがある

2. 費用の問題

  • 売却に伴う手数料や解体費用、家財の整理費用がかかる
  • 特に解体を行う場合、その費用が予想以上に高額になることもある

3. 新居選びの難しさ

  • 次の住居を選ぶ際に、自分の希望に合う物件が見つかりにくいことがある
  • バリアフリーなどの条件を満たす住まい探しには時間がかかる場合もある

4. 手続きの煩雑さ

  • 不動産売却や契約、解体に伴う行政手続きは複雑で、多くの時間と労力を必要とする

5. 家族間の意見の食い違い

  • 家じまいの方針について家族間で意見が分かれることがあり、解決するのに時間がかかる場合がある

6. 地域との結びつきの変化

  • 長く住んでいた地域を離れる場合、コミュニティや人間関係が途切れることを懸念する人もいる

これらのデメリットを事前に理解し、計画を立てることで、円滑に家じまいを進めることができる。


あとがき

私が「家じまい」を意識するようになったきっかけは近所の書店で市販のエンディングノートを探していた際、目当てのエンディングノートのすぐ近くに『磯野家の家じまい』(長谷川裕雅著・リベラル社刊)という書籍が置いてあったので購入し、読んだことに始まる。相続・終活の専門家である著者の助言や注意喚起が示唆に富んでおり、「家じまい」を含む終活について多くを学ぶことができた。それまで「家じまい」という概念すら脳裏になかった私にとっては目から鱗という感じであった。

私の母が他界した後の実家は、私の妹夫婦が相続してくれたおかげで私は一切の面倒から解放された。その面倒の中には山林や田畑の維持管理、母がお世話になった近所の人々との交際も含まれている。妹のおかげで私は「家じまい」を経験する必要もなく、今まで何十年も自由気ままに過ごしてこれたのかも知れない。妹夫婦には感謝してもしきれない。


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