はじめに
切手収集は、かつて「趣味の王様(King of Hobbies)」と称され、国内だけでなく世界中の多くの人々に親しまれていた。私も切手収集にハマっていた一人である。
しかしながら、近年では切手収集を趣味とするコレクターの数は減少傾向にある。私自身も切手を収集することを止めてしまってから久しい。
私が切手収集を止めてしまった理由は、単純である。一言で言えば、飽きてしまったからである。小学生の頃に切手収集を始め、小遣いだけでは欲しい切手を集めることができず、その頃は使用済みの切手でも満足して、細々と続けていたものである。
ところが、社会人となり小遣いとして使える額が増えれば、お金で買えてしまった。切手カタログに載っている切手で自分が欲しいと思うものは切手専門業者から購入できてしまったのである。そうするとある時に一気に興味が失せてしまったから仕方がない。あれほど夢中になっていた趣味なので、自分でも不思議な気分である。
ある時期を境にお金で満たされるような趣味に意義を見出せなくなったのかも知れない。今でも収集した切手は大切に残しているので、切手自体は好きなはずである。むしろコレクターであることに嫌気をさしたのかも知れない。
ところが、最近、ネット情報で、切手収集の魅力は依然として存在するということを知った。切手の中には高値で取引されるプレミア切手などもあり、収集だけでなく販売を目的とする人も少なからずいるらしい。そのため、切手収集を始めたいと思っている人もいるということだ。この情報は、本当だろうかと疑念に思ったことが、本稿を書く動機となった。
<目次> はじめに コレクションの醍醐味 切手収集の魅力 切手のコレクター数の推移 切手収集が衰退してしまった理由 コレクターとしての収集癖と所有欲 切手のコレクターのインセンティブ コレクションとしての切手の市場価値 プレミア切手 お年玉切手シート 切手ブーム以降に発行された切手 現代の若者は切手のコレクターになるか? 切手収集を復活させるための試み 切手収集の魅力や楽しさの再発見 切手収集に便利な道具 あとがき |
コレクションの醍醐味
切手収集のようなコレクションの醍醐味とは、そもそも何なのだろうか? 一般的には、コレクションの醍醐味とは、自分の好きなものを集めることで得られる喜びや満足感のことであるとされる。勿論、コレクションの醍醐味は人によって異なるはずだ。例えば、下記のような醍醐味があることが知られている。
- コレクションの対象に対する知識や理解が深まる
- コレクションの対象に対する愛着や価値観が形成される
- コレクションの対象に関する情報や話題を仲間と共有できる
- コレクションの情報や話題を共有できる仲間が得られる
- コレクションの対象に関する新しい発見や驚きがある
- コレクションの対象に関する目標や夢があること
- 自分の興味や好みに合わせて自由に楽しむことができる
- 趣味としてだけでなく、教養や資産としても価値がある
- コレクターの間でコレクションを見せ合う、切手を交換するなど、コレクター同士で交流できる
コレクションの醍醐味を味わうためには、コレクションの対象となるものに対する情熱や探究心が必要となるのは言うまでもないことである。
切手収集の魅力
切手収集の魅力としては、下記のようなものが知られている。
- 切手は国や地域の文化や歴史を反映した美しい芸術品
- 美しいデザインの切手や珍しい切手など、多様なジャンルの中からこだわりの切手を集められる
- 期間限定で発売される記念切手は特に人気が高い
- 切手に描かれた絵柄やデザインは、その時代の社会や政治の背景やメッセージを伝えている
- 切手を通して、世界の様々な国や地域の魅力や歴史を学ぶことができる
- 切手には実にさまざまな種類がある
- 日本国内の切手はもとより海外の切手も収集できる
- 切手は手軽に始められる趣味
- 切手は薄くて小さいため、保管場所をとらない
- 切手は使用済み切手や未使用切手を収集することができる
- 切手は多様なジャンルやテーマに分かれている
- 自分の好みや興味に合わせて集めることができる
- 切手は資産価値があるものもある
- 切手には発行年や発行枚数、状態や保存方法などによって、様々な種類や価値がある
- 切手には額面よりも高値で取引されるプレミア切手もある
- 切手はコレクター同士で交換したりできる
- 切手は買取業者に売却できる
切手カタログ(冊子)には公式に発行された切手の発行日や発行部数、デザイン、額面などが掲載されている。また、切手カタログを見れば世の中に出回っている切手が一目で分かり、新しく発行された切手や、自分がまだ入手していない切手なども知ることができる。
このように、切手収集は美しさや知識、資産などの面で楽しめる趣味であると言える。切手収集の愛好家は、一般的にコレクターと呼ばれ、希少価値の高い切手をどれだけ多く集めることができるかがステータスといわれている。かつて、切手収集は「King of Hobbies(趣味の王様)」と呼ばれた理由が理解できる。
切手のコレクター数の推移
かつて昭和の中期から後期頃は、切手収集は人気のある趣味であった。娯楽が少なかったことも影響してか、小学生の児童から高齢者まで幅広い年代で切手収集が行われており、切手のコレクター人口もかなりの数を誇っていたという。
日本郵趣協会という公益財団法人は、日本および世界の切手に関する情報や記念切手の発売日などの情報を提供し、切手文化の継承を掲げて、切手を集める文化を根付かせていたものである。
しかしながら、近年は切手のコレクター数はかなり減少しているのが現状である。切手のコレクター数の正確な統計データがあるわけではないが、最も熱心な切手のコレクターは日本郵趣協会の会員であることが多かったので、この会員数の推移をみることによって切手のコレクターの推移を推し測ることができるかも知れない。
つまり、日本郵趣協会の会員になっている人は切手のコレクターの一部ではあるものの、日本郵趣協会の会員数は国内の切手のコレクター数の縮図と考えることができるということである。
この会員数のデータは日本郵趣協会が公益財団法人化した2011年からのものである。この日本郵趣協会の会員数推移データによると毎年5~6%ずつ減少しており、将来の予想もこれに準じたものになっている(下図参照)。
出典:https://ameblo.jp/kenzaburo-ikeda/
かつての切手のコレクターの高齢化が進み、死去や終活する人が増加すると考えられている。コレクターの高齢化が進めば、切手を手放す人(コレクターの遺族も含む)が増加することも予想される。いわゆる団塊の世代がコレクターのボリュームゾーンと考えるならば、彼らによって収集された切手が一気に市場に溢れてくる可能性もあると考えるべきかも知れない。
現在、切手のコレクターの実数がどの程度であるのかは定かではないが、コレクター数は昭和中期頃をピークとして減少の一途を辿っていると推測される。
切手収集が衰退してしまった理由
かつて切手収集は「King of Hobbies(趣味の王様)」と呼ばれていた時代がある。日本では、特に昭和の中期から後期にかけて切手収集のブームであった。
私が生まれた頃はちょうど切手収集のブームの真っ只中であり、物心がついた頃には周囲の多くの人が切手収集をしていたように思う。私もその頃に切手収集の魅力を知った一人と言えるかも知れない。その後も切手の美しさや歴史性に魅了されて集め続けている人もいるらしい。なかには50年以上も切手収集を続けている人もいるそうである。
しかしながら、冒頭でも述べたように、私は趣味としての切手収集を今は行っていない。その理由も述べたとおりである。
ところで、切手収集が衰退してしまった一般的な理由としては、下記のような理由が知られている。
- 趣味の多様化
- 昭和中期頃は娯楽が少なく、切手収集は人気のある趣味
- 現在はスマホやネットなどで色々な趣味に触れられる
- 切手収集は地味で、若い世代に受け入れられにくい
- お金がかかる趣味として若い世代に受け入れられにくい
- 郵便物の減少による切手の使用機会の減少
- 現代社会ではEメールやチャットアプリなどが普及
- 手紙やハガキで連絡を取る機会が減少した
- 切手を使う機会や切手に接する機会が減った
- 切手に触れる機会が少なくなれば、興味を持つ人も減る
- 切手の増刷による価値の下落
- 切手ブームの時代には切手の価値が高騰し、投資目的で切手を買う人も多くいた
- 郵政省は切手の価格を抑えるために切手の増刷を行った
- 記念切手や特殊切手の発行数が多くなった
- そのため切手の希少性が失われ、切手の価値が下落
- 切手収集の費用が増大
- 昔は切手を1枚から購入できたため、少額で切手収集ができるというメリットがあった
- しかし、現在の記念切手は10枚程度のシートタイプのものが主流となった
- 記念切手シートの場合、1枚だけの購入は原則不可
- 記念切手を集めるにはお金がかかるようになった
- 短いサイクルで次々に記念切手が発行されると収集自体が追いつかなくなり、特別感も薄れてしまった
- 切手のコレクターの高齢化
- 切手収集は団塊の世代が中心となって行われてきた
- 団塊の世代が高齢者となり、切手を手放す人が増えた
- 若い世代に切手収集の魅力を伝える機会や方法が少ない
切手収集が衰退してしまった理由は、趣味の多様化、切手に触れる機会の減少、コレクターの高齢化などであることが分かった。特に、昭和中期頃をピークに、切手のコレクター人口は減少の一途を辿っていると推測される。また、日本郵趣協会の会員数も毎年5~6%ずつ減少しており、将来の予想もこれに準じたものになっているらしい。
このように、切手収集は社会的・経済的・文化的な変化により、衰退してしまっている。したがって、おそらく切手のコレクターの数は今後も減少すると予想される。実に残念なことである。
コレクターとしての収集癖と所有欲
収集癖とは、言葉の通り、特定の物を、むやみやたらに集めてしまう癖のことである。同じようなものを必要以上に集めたがる人は、この「収集癖」があると言えるかも知れない。アニメのキャラクターのフィギュアやアニメグッズなどを収集する人たちは収集癖が強い人たちかも知れない。切手収集で完璧主義を求めるコレクターたちは収集癖が強い人たちと言えるかも知れない。
収集癖は、所有欲にも繋がってくると思う。しかし、所有欲で人が幸せになることはないと私は思っている。
所有欲が人を幸せにすることはない理由としては、下記のようなものが知られている。
- 所有欲は満たされると次の欲望に移る
- そのため、永遠に満足できない
- 所有欲は物質的なものに依存する
- そのため、心の豊かさや自己実現には繋がらない
- 所有欲は他人との比較や競争によって生じる
- そのため、自分の本当の幸せを見失う
- 所有欲は所有することに執着する
- そのため、失うことや奪われることに恐怖や不安を感じる
- 所有欲は所有することにコストや労力をかける
- そのため、他の価値あることに時間やお金が使えない
このように、所有欲は人を幸せにすることはなく、むしろ不幸にすることが多いと言われている。所有欲にとらわれず、自分の内なる価値や目的に向き合うことが幸福感を得るための近道であるように思う。
こうしてコレクターとしての収集癖と所有欲について整理して考えてみると、私が切手収集をある時期を境にやめてしまった理由が理解できるようになった。
冒頭で私が趣味として切手収集を止めた理由として「単に飽きたから」と言ったが、それは正確ではない。私は今でも切手自体には興味があり、美しい切手には魅力を感じる。しかし、切手のコレクターとして収集癖を掻き立て、必死に欲しい切手を集め、所有欲を満たすような趣味には嫌気がさしたのだと思う。どこか私の価値感とは異なる違和感のようなものを感じ取ったのだと思う。私の話はこれくらいにして、本題に戻りたい。
切手のコレクターのインセンティブ
切手を収集するコレクターが減少した理由の中には、収集することへの意欲がなくなったことが挙げられている。意欲を失った理由には、切手の市場価値が低迷し始めたこと、市場価値が下がることで集めていても意味がないと感じるようになったことなどがある。つまり、切手の市場価値の低迷が切手のコレクターが減少した原因というわけである。確かに切手の市場価値が高騰し続けていれば、コレクターも意欲を失うことはなかったはずである。
切手の市場価値が低迷した理由にはいろいろな要素が複雑に関係している。元々、切手は額面を超える価値を持つコレクションとして多くのコレクターから注目を集めていた。しかし、集める人が減少してくると、市場価値自体が下がり、額面を下回る金額でしか売れなくなるとコレクターの意欲が下がるのは当然である。
趣味が多様化したことで、切手収集以外の趣味にお金を掛けたいと思う人が多くなったことも切手のコレクター数が減少した原因であり、その結果、切手の市場価値も低迷し始めたわけである。
こうして、切手の市場価値の低迷がコレクターの収集意欲を削ぎ、切手のコレクター数が減少させる。コレクター数が減れば、ますます切手の市場価値が低迷するという悪循環が始まってしまったようだ。
切手のコレクター数が減っているということは切手を買いたいと考える人が減少していることを意味する。買い手が減れば価値が下がるのは当然の摂理である。
コレクションとして切手を収集する人の中には、集めた切手を高く売ることに楽しみを見出している人もいるかも知れない。かつて切手収集ブームが起きた頃にはこのようなコレクターが大半であったように思う。そういう人たちにとっては、切手の価値の下落は手放す動機にも繋がるだろう。
これからもコレクターの数が減少の一途を辿るのであれば切手の価値も下がる一方である。それであるならば、少しでも高いうちに売ってしまえと考える人もいるに違いない。そのような人が増えれば、市場に切手がだぶつく結果になるのは当然であり、需要と供給のバランスが崩れて、切手の評価額は下落する一方であるの当然の成り行きである。
また、コレクターのなかには膨大なコレクションをどのように管理・収納するかで困り、売却を決断する人もいるかも知れない。終活を始めた人なら現実問題としてあり得る話である。集めた切手を手放すのであれば、切手コレクターの数が少しでもいるうちに売却した方が賢明と考えてもあながち間違いではないだろう。こうしてさらに切手の評価額が下がっていくのである。
切手の市場評価額の高騰は諦めるとして、切手カタログ収載の切手の評価額を維持させる方法はないものだろうか? せめて切手の額面割れを防ぐような手立てはないものだろうか? 切手の評価額の下落が止まれば、切手コレクターの失望売りは避けられるように思う。そうすれば、今のような状況は少しは改善されるのではないかと期待する。
切手コレクターのインセンティブを改善しなければ、コレクター数の減少に歯止めがかからないのは当然である。
コレクションとしての切手の市場価値
プレミア切手
額面よりも高値で取引される切手は「プレミア切手」と呼ばれる。例えば、額面80円の切手が数千円の高値で取引される場合がこれに該当する。
基本的に、切手の年代が古くなればなるほど価値は上がるとされている。但し、切手の価格は保存状態によっても大きく変化し、状態が良くないものはたとえプレミア切手であっても価格が下がる傾向にある。
切手カタログには切手の評価額が定められているが、評価額がそのまま買取価格になるとは限らない。
プレミア切手としてよく知られている切手には、例えば「見返り美人」や「月に雁」が有名である。「見返り美人」と「月に雁」は、どちらも切手の常識を覆す7cm×3cmという大型切手である。図案の素晴らしさと常識外れのサイズで発売当時は話題をさらったらしい。
「見返り美人」というのは、1948年11月に発行された記念切手で、「切手趣味週間」というシリーズのうちの1枚として発行されたものである。浮世絵の大家・菱川師宣が描いた見返り美人図がデザインされたものである。絵柄の美しさとともに、当時浮世絵をデザインした切手が少なかったことから注目を集めたと言われている。
この切手は、日本国内だけでなく海外でも話題となり、切手コレクターの間では根強い人気を誇っていたという。かつてはバラ切手で数千円、5枚つづりのものであれば数万円で取引されるほどのプレミア切手であった。
しかしながら、1996年にはフルカラーの復刻版が発売されて以降は、人気は下降ぎみのように私は感じている。つまり市場価値も下降ぎみになっているはずである。
「月に雁」は見返り美人の翌年、1949年の切手趣味週間の1枚として発売された記念切手である。有名な浮世絵師である歌川広重が描いた図案をデザインしたものである。月に雁は限定150万枚の発行であったが、あっという間に売り切れてしまい現在のような高い価値がつけられるようになったようだ。希少価値というものである。
このように希少価値が評価されて高額で取引される「プレミア切手」はそれほど多く存在するわけではない。
明治・大正時代、戦後直後の時期に発行された切手には希少価値があるので高額で取引される。ただし、保管状態が良いものに限られる。一般家庭で湿気を吸って丸まった切手や汚れてしまった切手、あるいは切れてしまった切手、使用済の切手などには市場価値がなくなっていることも多い。
切手の市場価値の目安は、年代順で記すと下記のような傾向になると言われている。
- 明治~大正時代のものは発行部数・現存数が少なく、希少価値がある可能性が高い
- 昭和初期~戦時中の切手は国の収益をあげるため発行数が膨大で、市場価値のある切手はほとんどない
- 「満州切手」や「大日本帝国郵便」名義のものは戦後に郵便使用が禁止され、現在でも使用不可
- 昭和時代の切手でも、戦後直後のものは発行数が少なく、コレクター需要あり(「見返り美人」もこの時期に発行)
- シートであれば価値が出るものも多く、昭和20年代のお年玉切手シート(5枚セット)なども、シート状態であれば年代や状態により価値が出る
- 昭和30年あたりから、ほとんどの切手は現在と同じく額面が基準となる
コレクターや業者のなかには、収集が目的ではなく、販売を目的とする者もいる。そのような人たちにとっては高値で取引されるプレミア切手が主たるターゲットとなるはずである。
お年玉切手シート
お年玉切手シートとは、お年玉付き年賀はがきの抽選に当選すると貰うことができる切手シートのことである。私も昭和25年から平成31年までの切手シートをコレクションとして所有している。これらのお年玉切手シートの図柄は魅力的で私は好きである。しかし、令和時代の切手シートはシールのようで個人的にはあまり魅力を感じていない。
さて、お年玉切手シートは「非売品」という特別感もあり、額面よりも高い評価額がついているのであろうか?どの年のお年玉切手シートがどのくらいの評価価格であるかは、売却を考えていなくても切手コレクターなら気になるものである。
結論を言えば、昭和32年(1957年)くらいまでの古いお年玉切手シートは比較的高く買い取ってもらえる傾向がある。しかし、それ以降は額面以下での買取が基本となっているようだ。
例えば、お年玉切手シート(バラではなくシート)の年別の買取相場は、下記のようになっているという。
- 昭和25年: 2,000~5,000円
- 昭和26年: 500~1,500円
- 昭和27年: 1,000~2,000円
- 昭和28年: 800~1,800円
- 昭和29年~昭和30年: 500~1,000円
- 昭和31年: 400~1,000円
- 昭和32年: 200~500円
- 昭和33年~昭和38年: 100~200円
- 昭和39年: 80~150円
- 昭和40年: 30~50円
- 昭和41年: 20~50円
- 昭和42年~昭和46年: 10~30円
- 昭和47年~昭和51年: 15~30円
- 昭和52年~昭和56年: 20~40円
- 昭和57年~昭和61年: 40~70円
- 昭和62年~昭和64年: 50~80円
- 平成2年: 50~80円
- 平成3年~平成4年: 40~70円
- 平成5年~平成6年: 50~80円
- 平成7年~平成30年: 60~110円
- 平成31年: 70~120円
お年玉切手シートは趣味性が高いため、個人売買で高く売れることもあるが、手数料や手間を考慮すると、買取業者にまとめて売る方が効率的であるのかも知れない。
切手ブーム以降に発行された切手
昭和中期(1960~1970年代)に切手収集のブームが起こり、多くの人が切手をファイルにまとめて保管していた。ブームになったきっかけは、「記念切手は額面以上の価値になる」と噂され、発売日には郵便局に行列ができたほどである。
当時は、家に届く消印の押された使用済切手も切り取り、ファイリングしていた方も少なくない。私もその一人である。「いずれ価値が出る」と思い込み、ストックブックに大切に保管したものである。多分、当時の大半の切手コレクターは似たような経験をしているはずである。
当時発行された切手で額面以上の価値が出ているものは、皆無であるのが現状である。当時、販売された切手の市場価値は額面で評価するのが一般的となっている。
切手収集ブームは去り、切手は「集めるもの」から本来の「使うもの」に戻ってしまっている。そのため消印が押された使用品は二次利用できないため、買取対象にもならない。
買取店では、基本的に未使用品の切手しか買取ってくれない。基本的に使用品は買取不可である。買取店では、買い取った切手をそのまま再利用したり、再販売するため、金券と同じく額面からの計算となる。だから額面以上の価格になるものは皆無である。
未使用品買取の場合でも、「シート」状態は再販売しやすく、計算もしやすいので引き取ってもらえるが、それでも額面の7~8割の価格でしか買い取ってくれないようである。もし、切手がシート状ではなく、バラ切手扱いになってしまった場合には買取額はもっと安く、半額程度になるようだ。その理由は、1枚1枚の計算に時間がかかり、整理する手間や保管に際して人件費などが発生するためであるとされる。
このように、切手の大半は、買い取り業者の査定では、額面割れであることが最近の市場価値であり、コレクターを失望させている。例えば、1970年前後の記念切手の場合、買い取り額は、額面の7割程度がいいところらしい。額面割れで損をしてまで売るようなコレクターはあまりいないはずである。
切手のコレクター数が減り、需要と供給の問題で、もう欲しい人がいないためであるらしい。だから現役のコレクターは、収集した切手は自分史を語るときの物証ぐらいに思っていないと収集意欲が削がれてしまう。
一方で、これから切手収集を始めようとする者にとっては、少なくとも私が要した金額よりもずっと少ない金額でより多くの欲しい切手を入手できる時代になっているとも言える。発想を変えれば、楽しい切手収集をお金をかけずに趣味の一つに組み込むことができるというものである。
現代の若者は切手のコレクターになるか?
切手の人気や切手収集家(コレクター)の数が減少し続けている現状では、今後再び脚光を浴びる可能性は客観的に考えてすこぶる難しいと言わざるを得ない。かつてのような切手収集ブームが再来するかも知れないという淡い期待は抱かない方が賢明であろう。
私のように子供の頃に切手収集を経験した世代が何かのきっかけで(例えば会社を退職後の趣味として)再び切手を集めだすという事例はあるかも知れない。しかしながら、シニア世代が切手収集を再開したとしてもブームにはなり得ないだろう。理由は、いくら人生100年時代とは言っても現実的なタイムリミットは決して長くはないからだ。むしろ収集家の死去や終活を機会に長年大事にしまっていた切手を売りに出す者の方が圧倒的に数は多いと考えられる。新規の切手コレクターの数が増えなければ、今後も切手コレクターの数は減少の一途を辿ると考えるのは当然のことである。
切手収集が趣味として時代を超えて確固たる地位を獲得するためには若年層が切手収集に興味を持つことが必要不可欠である。しかしながら、予期する以上にお金がかかり、その割には地味な切手収集が若い世代に無条件に受け入れられるとは到底思えない。
不思議なもので趣味というのは、本来、「自己完結」であるものだが、周囲の誰かにも認めてもらいたいという欲求(マズローの欲求5段階説における「承認の欲求」に該当か?)が芽生えるものである。趣味を共有化する仲間がいてこそやりがいや競争心が生まれる面がある。
しかし、コレクターが減少の一途をたどる切手収集の場合には、同志と言えるような人は身近にはなかなか見つからないものである。ネットやSNSを駆使すれば仲間を見つけることは可能であるが、面倒なことをそこまでして探す人が多いとは思えない。
周囲に切手コレクターが存在しなければ、若者は切手を集めるという趣味の存在すら認識していない場合もあるだろう。普段の生活でも切手に触れる機会が減っている現状では、そもそも切手に興味を持つきっかけがないと言ってよい。まさに負のスパイラル(悪循環)に入ってしまっている。
若い世代に趣味として切手収集の魅力を広めるためには、下記のような取り組みが必要かも知れない。
- SNSを活用する
- フォトジェニックな要素を盛り込む
- 話題に出しやすい特徴やインパクトを持たせる
SNSを活用する若い世代は、テレビや新聞などのマスメディアよりも、SNSやインターネットなどのデジタルメディアから情報を得ることが多い。そのため、切手収集に関する情報や魅力をSNSやネットメディアで発信することが効果的であろう。SNSを用いたキャンペーンを行ったり、インフルエンサーや芸能人を起用して情報を発信したり、口コミを多く載せることで信頼性を上げたりするなど、SNSやメディアならではのプロモーション方法があるはずだ。
フォトジェニックな要素を盛り込む若い世代は、自分のプライベートライフが充実していることを知ってもらい、他人とつながっていることを自分自身が認識したいという欲求が強い。そのため、自分のSNSに投稿する写真は映りがよいものほど「いいね」 のような賛同・賞賛を得やすい。切手収集に関するサービスは、写真映えのよいもの、つまりフォトジェニックにしなければ意味をなさない。この要素を盛り込むことで、若い世代の関心や共感を引き付けることができるかも知れない。
話題に出しやすい特徴やインパクトを持たせる若い世代は、自分の好きなものや興味のあるものについて、友達や知人と話すことが好きである。そのため、切手や切手収集に関するサービスは、ぱっと見て分かりやすい特徴やインパクトがあることで、口コミとして話題にしやすく広がりやすいはずである。普通のものをあえてSNSに投稿するのは難しいが、特徴があればそれについて語ることができる。また、リアルな会話の場面でも話題に登りやすいので、友達同士の拡散も狙いやすくなる。
何とかして若い世代に切手収集の魅力を広めるためには、SNSやメディアを活用して、フォトジェニックな要素を盛り込み、話題に出しやすい特徴やインパクトを持たせることがポイントだと思う。そうすることで切手収集が時代(あるいは世代)を超えた趣味としてのポジションに座り続けることができるだろう。
切手収集を復活させるための試み
切手収集を復活させるための試みとしては、下記のようなものが考えられ、公益財団法人日本郵趣協会で、既に一部は実施されているようだ。
- 切手の魅力や歴史を広く伝える
- 切手の種類や価値を知るための教育や啓発を行う
- 切手の交換や売買を促進するためのプラットフォームやサービスを提供する
- 切手の展示やイベントを企画・開催する
- 切手の活用や寄付を推奨する
文化や歴史を広く伝えるデザイン柄の切手は、国や地域の文化や歴史を反映した美しい芸術品と言える。切手に描かれた絵柄やデザインは、その時代の社会や政治の背景やメッセージを伝えている。切手を通して、世界の様々な国や地域の魅力や歴史を学ぶことができると言っても過言ではない。
切手の魅力や歴史を広く伝える
切手の魅力や歴史を広く伝えることで、切手に興味を持つ人を増やすことができるかも知れない。切手の魅力や歴史を伝える方法としては、以下のような方法が知られている。
- メディアやSNSで切手に関する情報や話題を発信する
- 学校や図書館などで切手に関する教材や本を提供する
- 切手博物館や郵便局などで切手に関する展示やガイドを行う
これらの方法で切手の魅力や歴史を若者に広く伝えることができるなら、たとえ一部の若者であっても彼らに切手収集の楽しさや意義を認識してもらえることができるはずである。
切手の種類や価値を知るための教育や啓発を行う
様々な種類の切手には、発行年や発行枚数、状態や保存方法などによって、価値が異なるものがある。切手の種類や価値を知ることで、自分のコレクションの目的や方向性を明確にすることができるはずである。切手の種類や価値を知ることで、切手の需要や供給を調整することができるができるかも知れない。
また、切手の種類や価値を知るための教育や啓発を行うことで、切手に対する理解や関心が深まることも期待できる。
切手の種類や価値を知るための教育や啓発を行う方法としては、以下のようなものが知られている。
- 切手カタログ、専門書やインターネットの情報源を利用する
- 切手クラブや日本郵趣協会などの組織に参加する
- 切手の専門家やコレクターからアドバイスや指導を受ける
切手の種類や価値を知るための教育や啓発を行うことで、切手収集のスキルや知識を向上させることができるだろう。
切手交換や売買用プラットフォームやサービスの提供
切手の交換や売買は、切手収集の楽しみの一つである。切手の交換や売買を促進するためのプラットフォームやサービスを提供することで、切手コレクターが切手の交換や売買をしやすくなるのは確かである。
切手コレクターにとっては嬉しい施策となるはずである。何故なら、自分のコレクションを充実させたり、欲しい切手を手に入れたり、余った切手を有効に活用したりすることができるからである。そして切手の交換や売買を促進することで、切手の流通や価格を活性化することができるはずである。
自分には不要になったコレクションでも、他の切手コレクターにとってはお宝となる可能性もある。そのような場合には切手交換の場は重宝するはずである。
切手の交換や売買を促進するためのプラットフォームやサービスを提供することで、切手に対する需要や供給を増やすこともできると期待したい。
切手の交換や売買を促進するためのプラットフォームやサービスを提供する方法としては、以下のようなものが知られている。
- オンライン/オフラインで切手交換や売買を行う場を設ける
- 切手の査定や買取を行う専門業者やサービスを紹介する
- 切手のオークションやフリーマーケットを開催する
切手の交換や売買を促進するためのプラットフォームやサービスを提供することで、切手収集のコミュニティやネットワークを拡大することができるかも知れない。
切手の展示やイベントを企画・開催する
切手の展示やイベントに参加することで、切手の魅力や知識を深めたり、切手仲間と交流したりすることができるかも知れない。 切手の展示やイベントには、切手博物館や郵便局、切手クラブや日本郵趣協会などが主催するものがある。切手の展示やイベントに参加することで、切手収集の楽しさや意義を再発見することができるはずである。
切手の展示やイベントを企画・開催することで、切手に対する注目や関心を高めることができるはずである。切手の展示やイベントを企画・開催する方法としては、以下のようなものが知られている。
- テーマやジャンルに沿った切手の展示やコレクションを作る
- 切手の歴史や文化に関する講演やワークショップを行う
- コンテストやクイズなどの切手に関するゲームを企画する
切手の展示やイベントを企画・開催においては、切手収集の魅力や楽しさを広く若者世代に伝えるような工夫が不可欠である。
切手の活用や寄付を推奨する
切手を活用や寄付を推奨することで、切手収集の社会的な価値を高めることができるかも知れない。また、切手を活用や寄付をすることで、切手の需要を増やしたり、切手の文化を広めたり、切手を通して社会貢献したりすることが期待できる。
切手の活用には、切手を郵便物に貼って送る、切手を手紙やカードに貼って飾るなどの習慣を復活させ、若者世代の文化のなかに根付かせることも必要かも知れない。
切手収集の魅力や楽しさの再発見
かつては、年齢や性別を問わず楽しめる趣味として「切手収集」は魅力的なものであった。
切手は国や地域の文化や歴史を反映した美しい芸術品である。切手収集の魅力や意義を再発見することができれば、切手収集の楽しさや価値を広く伝えることができるかも知れない。
切手収集の魅力や楽しさを再発見してみたいと思う人は決して少なくはないのではないだろうか。
若者世代の新規コレクターが増えないから切手コレクターの総数が死去や終活で減っているという現状は厳然とあるものの、現に熱狂的な切手コレクターは依然存在し、価値のある珍しい切手やデザインが美しい切手などを収集して楽しんでいるらしい。
現在でもコレクションを続けている人の中には、自分が決めたシリーズものだけを集めている人も少なくないという。 例えば、国際文通趣味週間や切手趣味週間は古い時代から発行が続けられているもので、現在でも1年に1度の頻度で新しいものが登場しているので、これだけを購入している人は一定数はいるらしい。 私もかつてはその一人であった。
特殊切手の場合は、特定ジャンルをモチーフにしたシリーズ化が行われている。そのため、コレクターの中にはこうした特殊切手を集めている人もいるだろう。
このように切手収集の魅力は依然として存在するようだ。切手の種類は豊富なので、自分の興味のあるものを集めれば良い。切手ブームの時代のように費用や労力を費やすこともない。
切手収集の人気はかつてほどではないの確かである。しかしながら、切手収集の魅力を理解し、楽しむ人々は現に存在するし、新たなコレクターが誕生する可能性が決してないわけではない。これらのことから切手収集は時代を超えた趣味であると言えなくもない。
新たに発行される切手の中から高値で取引されるプレミア切手が誕生する可能性は皆無に等しいが、販売を目的とせず収集だけに集中するのであれば、切手収集は楽しい趣味の一つになるはずである。
切手収集に便利な道具
欲しいの切手を入手したら、できるだけきれいな状態で保管しておきたいものである。きれいに保管するために必要な道具としては、最低限、ピンセットとストックブックを準備したい。
ピンセット
ピンセットは、切手収集には欠かせない道具である。ピンセットは、先端が平たくなっている切手専用のものを使用する。一般的なピンセットは先端にギザギザの波がついているため、切手を傷つけてしまう可能性があるため使用しない。
ピンセットを使用する理由は、手には少量の皮脂が付いているため、いくら石鹸できれいに手を洗っても、直接触ると切手に皮脂が付いてしまうからである。皮脂が付くと切手の価値が下がってしまうので、ほとんどのコレクターはピンセットを使用する。
ストックブック
切手は湿気に弱いため、きちんと保管しないと時間が経つにつれて劣化してしまう。そのため切手の保管にはストックブックを使用する。
ストックブックとは、収集した切手を保管・管理するためのファイルのことである。透明フィルムや防湿性に優れたグラシン紙が貼ってある冊子状のファイルがおすすめである。
ストックブックを使用すれば、切手を挟んで収納することができるので、長期間にわたって良い状態で保管できる。また、ストックブックは見た目の美しさという点でも価値がある。収集した切手を並べるだけで見栄えのする切手コレクションとなる。
ストックブック用のファイルシートには段数や大きさなどが異なるものがある。切手のサイズを考慮し、自分の用途に合ったものを選ぶことがポイントとなる。
ストックブックは保管に適しているが、ストックブック自体を置いておく環境にも気を配る必要がある。つまり、湿気の多い場所や直射日光が当たる場所は避け、ストックブック中の切手が劣化しにくい場所にストックブックを収納するべきである。収納後も時々、切手の状態を確認すると良い。
あとがき
切手収集と同じような運命にあるのがテレフォンカード(テレカ)である。携帯電話やスマートフォンの普及によるコミュニケーション手段の変化から公衆電話の設置台数が減少してしまった。それに伴ってテレカの需要も大きく下がった。私もデザインや絵柄に惹かれてテレカを集めていたことがある。
私のように切手に代わってテレカを収集していた人はかつては多かったように思う。しかし、テレカのコレクターが増大した時期は、切手のようには長くは続かなかった。これは通信技術の進歩が早く進んでいる証左であろう。テレカのなかには、今でもコレクターからの需要が高いものもあるというが、一般的には高額で取引されるケースは稀であるらしい。
話は変わるが、一部の切手を除き、一般的な未使用の切手は本来の切手として額面どおりの価値で使用できる。やむを得ず換金する必要がある場合を除き、額面の6~7割程度の安値で売却する必要など全くない。
しかしながら、テレカと同様に現代社会では切手を使用する機会はほとんどないのが現状である。そのような場合には、未使用品の切手であれば、郵便局の商品と交換することができる。
例えば、ハガキや切手、エクスパックやレターパックといった必要になった商品と不要の切手を交換することができる。それも商品価格と同等の額面の切手とで交換が可能である。但し、その際には別途に交換手数料がかかってしまうが、その交換手数料も手持ちの切手で相殺することができる。この方法は、額面の6~7割程度の安値で買取業者に売却するよりずっと有利である。