はじめに
収入面では恵まれないにもかかわらず、トラベルフォトライターになるには多くの能力やスキルが必要らしい。例えば、下記のような能力やスキルである。
- ライティング能力(文章力)
- 風景などの写真撮影・編集技術
- 取材能力とそのスキル
- トラベラーとしての気力・体力
- 情報収集力・企画力
- 国内外の常識・基礎知識
- 旅行に関するブログサイトを運営
- 旅行に関するWebメディアでの執筆経験
- SNSでの活動、等々
本稿では、これらトラベルフォトライターになるために必要とされるスキルの中から特に不可欠なスキルについて詳しく探っていきたいと思う。
トラベルフォトライターに必要なスキル
冒頭に書いたが、トラベルフォトライターになるには多くの能力やスキルが必要となる。なかでも文章力、写真撮影技術、情報収集力およびSNS活用力は不可欠なスキルであるとされる。
文章力
文章力(ライティング能力)については、特に次の2点が重要となってくる。
- 簡潔で魅力的な文章を書く能力が重要である
- 読者にとって分かりやすく、かつ心に残る表現を工夫する
ライティング能力(文章力)では、文章構成や表現方法を学び、読みやすい文章が書けるようになる必要がある。人に読まれることを意識して分かりやすく、正しい文章を書くことができることが重要である。

文章を書くことを仕事にする以上、一定の文章作成能力は必須である。一般的に、ライターに求められる文章作成能力は、誰が読んでも分かりやすくて、テンポのよい文章を書くことだと思う。
分かりやすい文章というのは、誤字・脱字や文法・語法のミスがなく、読者にストレスを与えず、複数の意味に解釈する余地のない明確で簡潔な文章のことである。
分かりやすくテンポのよい文章が書けることは、ジャンルを問わずライターの必須要件であると思う。
その基礎さえできれば、特別な才能がなくても、トレーニングしだいで文章力を向上させることは可能だと思う。
ライティングでは、文章構成や表現方法を学び、読みやすい文章が書けるようになる必要がある。人に読まれることを意識して分かりやすく、正しい文章を書くことができることが重要である。
分かりやすく、かつ、読者にストレスを与えない文章を書くために意識すべき基本的なことを下記にまとめてみた。

そして重要なポイントは、依頼元から提供される、執筆レギュレーションに合致することが基本である。
自分が書いた文章はターゲットに合ったものかどうかも考えるべきである。例えばシニア層向けの記事に若者言葉やフランクな言い回しを使用することは、読者のストレスになるだけでなく、媒体自体の雰囲気も壊してしまう。
分かりやすくテンポのよい文章が書けるようになったら、表現力のある文章をかけるようになりたい。

何故なら、単なる事実の羅列では旅行記事としては少しも面白くないからである。
質の高い旅行記事には、読者が客観的に記事をみて「ここに行きたい」と思わせる内容と信頼性が必要となる。旅行が好きな読者の方に「面白い!」、「参考になる!」と思ってもらえるような記事を書く必要がある。
そのためには、読者が記事を読んでワクワクするような記述や、筆者ならではの独自の視点での解釈など、読者を引きつける、あるいはちょっと考えさせたりするような要素が必要である。
そういった要素を盛り込むためには、文章力のみならず、感受性の表現力が重要である。感受性には個人差があるので、これが個性となる。但し、意識的にトレーニングすることで磨くことが可能である。
トラベルフォトライターとしての表現力を磨くためには、例えば「きれい」といった感想を抱いたときに、「何がどのようにきれいなのか」を自分の言葉で表現するクセをつけるよう日頃から意識することがトレーニングになる。
例えば、ある巨木を観て「すごい」と思ったら、「何がどうすごいのか」を説明できる表現力が求められるということだ。正解は一つではない。著者が感じたことを素直に表現すればよい。
自分独自の着眼点や新鮮な感性が発揮できるように感受性を高めておくことが大切だと思う。
また、情報を求めている読み手に記事を読んでもらうにはネット検索で上位に出てくるようにするSEO対策も必要だと思う。
SEO対策とは、Googleなどの検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに対して、自社のサイトを上位表示させるための施策のことである。
旅行系WEBメディアを探す際、どの年代でも7割以上の人がGoogleを利用しているようなので、SEOを意識したライティングができることは、トラベルフォトライターとしての強みになる。
SEO対策には様々な手法があるが、トラベルフォトライターにできることの一例に、次のようなものである。
- タイトルや見出しに、キーワードを含める。
- タイトルの文字数が32文字以内に収める。
- 段落の最初の方にその段落で言いたいことをまとめて書く。
しかしながら、こうしたテクニック的なことを押さえることも重要であるが、「読者の求めている情報を、わかりやすく書く」ことが最強のSEO対策となることを肝に銘じておこう。
何故なら、Googleの検索エンジンの使命・目的は、ユーザーが求めている情報を的確に提供することであるからである。
この使命・目的を達成するために、的を射た質の高い情報こそが読者が求めているものである。そして、検索エンジンが求めている情報でもあるので、SEOの仕組みとして必然的に上位に表示されるはずである。
写真撮影技術
写真撮影技術として、鮮やかで印象的な写真を撮影するためには少なくとも次のようなスキルは身につけておきたい。
- 構図の選択
- 光の使い方
- 編集スキル
トラベルフォトライターである限りは、ライターだけではなく、フォトグラファーとの二刀流でなければらない。フォトグラファーとして撮影の仕事ができるということは、単なるライターに比べれば、大いなる強みとなるはずである。
トラベルフォトライターとして本格的に活動するのであれば、自分が撮影した写真をサイトに掲載することが必須となる。
そのためには風景などの写真撮影が得意であった方が有利といえよう。求められる写真撮影技術は、写真がブレていたり、暗すぎたりするのは論外である。読者が、「ここに行ってみたい」と思えるような魅力的な写真でなければならない。

写真編集技術では、基本操作から写真の構図、写真編集ソフト(例えばPhotshopなど)を使用したレタッチ方法を学ぶ必要がある。読者が実際に旅先へ足を運びたくなるような魅力的な写真を撮り、編集する必要がありそうだ。
ちなみに「カメラマン」と「フォトグラファー」の違いであるが、どちらも写真を撮影する人を指す用語ではあるが、その使われ方には微妙な違いがあるようだ。
カメラマンは、一般的にはカメラを操作して映像や写真を撮影する人を指す。一方、フォトグラファーは、特に芸術的な観点から写真を撮影する人を指すことが多いらしい。
ただし、カメラマンとフォトグラファーの定義は、厳密にされているわけではなく、文脈によって意味が変わることもある。具体的な役割や専門性は、個々のカメラマンやフォトグラファーが自己定義すればよいことらしい。
写真撮影技術を向上させる方法
写真撮影技術を向上させる方法は一つではなく、人によって自分に適した方法が多くある。私が心がけている方法として、代表的な3つの方法は下記のようなものである。
- 構図を意識して撮影する
- 現像をしてみる
- 好きなフォトグラファーの写真を研究する
「構図を意識して撮影する」というのは、写真にバランス、リズムや動きなどを与えることである。構図の基本を知っておくと、写真のレベルが上がり、写真を見る人に強い印象を与えることができるはずである。
「現像をする」というのは、撮影した写真をパソコンやスマホで編集することを指す。現像をすることで、色や明るさ、コントラストなどを調整して、写真の雰囲気や表現力を高めることができる。現像をすることで、自分の好みやイメージに合わせた写真に仕上げることができる。現像ソフトには Lightroom や Photoshop などがある。
「好きなフォトグラファーの写真を研究する」というのは、自分が感動したり憧れたりする写真を見て、その写真の魅力やテクニックを分析することである。好きなフォトグラファーの写真を研究することで、自分の撮影スタイルや目標を見つけることができる。研究対象の写真は、インターネットや雑誌、写真集などで見ることができるはずである。
これらは私が取り組んでいる写真撮影技術を向上させる方法であるが、勿論、これら以外にもたくさんの方法があるはずである。写真撮影は楽しみながら続けることが大切である。自分にあった方法で写真撮影の上達をお互いに目指していきましょう。
情報収集力
情報収集力とは、地域の特徴や文化を正確に把握し、信頼性のある情報を発信する能力を指す。
トラベルフォトライターとして活動するためには、情報収集力が重要になる。求められる情報収集力とは、日本や世界にどんな面白いスポットや現象があるかをキャッチする情報力(アンテナ)のことである。
インターネットで気になるスポットを検索したり、旅行関連サイトを定期的にチェックしたりする。旅行関連の書籍や雑誌で穴場の情報を見つけたりするなど積極的にアンテナを張ってさまざまな情報を集めればよい。必要に応じて、現地の人や観光案内所からも地元ならではの情報を得ることができる。

求められる企画力は、集めた情報をどのように記事にまとめるか、あるいはどのような切り口でネタを集めて記事にするかということである。
旅行記事には定型というのものがない、というか自由な書き方が許されているので、トラベルフォトライター自身の主観や経験をたっぷり盛り込んだ「旅行記」や、「〇〇(観光地)のおすすめ観光スポット〇選」といったまとめ記事、現地の文化や習慣に焦点を当てた記事など、さまざまなパターンで記事にすることができる。
自分が手に入れたネタをどう記事にするか、より魅力的な記事を書くためにどんな形で取材するかを考えることがライターに求められる企画力である。
「〇〇のおすすめ観光スポット〇選」のような記事は需要が大きい。しかし、他のライターがあまり書かないようなディープな記事も書いてみたい。
国内外の常識・基礎知識
トラベルフォトライターの仕事は、歴史、地理、文化・風俗、宗教、グルメなど、かなり幅広いトピックを扱う。
数多くの記事を執筆していくなかで、それらの知識が身についていく側面もあるが、世界史のおもな出来事や世界のおもな宗教などに関する基本的な知識を身につけていれば、さまざまなストーリーや現象が理解しやすくなり、執筆もスムーズになる。
特定の国に旅行する際には、その前にその国の歴史や文化に関する本を読んでおけば、現地でより有意義にネタの収集ができる。

少なくとも下記のような知識や経験がほしいところだ。
- 国内外の観光地や宿泊施設に関する豊富な知識
- 民俗、歴史、建築、地理にも詳しい知識
- 特定の旅行のテーマやジャンルについてマニアックな知識
- 国内外の観光地への旅行の経験が豊富
そして上記のような知識や経験を活かし、観光資源として需要を喚起できるような能力を身につけることができればトラベルフォトライターとして一人前になるのではないだろうか。
取材能力
トラベルフォトライターとしては、取材ができなければ話にならない。したがって、そのために身につけたい能力・スキルとして次の3つがある。
- コミュニケーション力
- 段取り力
- 臨機応変な対応力
コミュニケーション力
現地の人に直接話が聞けるコミュニケーション力が求められる。文化や立場などの違いを越えて、傾聴・質問する力が問われる。読者はどんな情報を求めているかをあらかじめ想定し、事前に質問を組み立てておくことが大切である。
海外の旅行記事も書くというのであれば、ある程度の外国語力、特に英語ができた方が便利である。
日本人旅行者が多い観光地であれば日本語の情報も豊富であるが、日本語の解説やパンフレットがない観光スポットも多い。英語ができれば、現地の人にその国や街について質問することもできる。
一定レベルの外国語力は、海外を旅しつつさまざまな情報を集めるための基本的スキルだと思う。
英語すらできないと、集められる情報が限られ、トラベルフォトライターとしては不利になる可能性が高い。
段取り力
限られた旅行日数で確実に取材をしてくるためにはスケジュールを立て予定通りに動く段取り力が不可欠である。
取材旅行に行くにも十分な下調べをする必要がある。慰安旅行のようになってはならない。そもそもどこに行くかを決めるところから取材旅行の計画が始まり、当然ながら、取材力も試される。
臨機応変な対応力
土地勘のない旅行先ではとっさのハプニングがつきものである。想定通り進まない時や、また現地に行ったからこそ気付けた新しいテーマも効率よく記事内に取り入れる柔軟さがあると、より面白くリアル感のある記事に仕上がると思う。
取材の必要が無い旅行ライターとしての仕事もあるが、取材ができることで仕事の幅や楽しみを広げることができると信じたい。
SNS活用力
SNS活用力とは、写真や記事を効果的に広めるためのSNS運用スキルを指す。写真投稿が主であるインスタグラムなどが適しているのではないかと思う。
あとがき
トラベルフォトライターに求められるスキルは、個人ブログを運営するブロガー、あるいはWebライターと多くの共通点がある。それぞれ異なる目的や活動のスタイルを持っているが、基盤となるスキルは重なり合う部分が多くある。
共有できる主なスキルとしては、下記のようなスキルである。
- 文章力
- 読者を惹きつける魅力的な文章を書く能力は、トラベルフォトライター、ブロガー、Webライター全員に必要
- 情景を生き生きと描写し、感動を共有する力が特に重要
- SEO知識
- 記事が検索エンジンで上位に表示されるための基本的なSEOスキルが求められる
- 適切なキーワード選定や見出しの工夫は全職種で有用
- リサーチ能力
- 読者に正確で有益な情報を提供するために、徹底したリサーチが必要
- トラベルフォトライターでは、旅先の文化、歴史、観光情報などが主な対象となる
- SNS活用
- 記事や写真の拡散にはSNSを活用することが一般的で、フォロワーとの交流も大切
- ブロガーやWebライターも、同様にSNSをマーケティングツールとして活用している
- 写真撮影や画像編集
- トラベルフォトライターはもちろんのこと、ビジュアル要素を重視するブロガーにも、写真のクオリティを高めるスキルが欠かせない
- 自己管理能力
- フリーランスであることが多いため、締切管理やスケジュール調整が重要
- ブログ運営者やWebライターにも同様に必要
一方で、トラベルフォトライターに特有のスキルとしては、次のようなスキルが必要となる。
- 写真撮影の高度な技術
- プロフェッショナルレベルの構図、カメラ操作スキルが特に求められる
- 臨場感あふれるストーリーテリング
- 旅先の独自性を読者に伝えるためのストーリーテリング能力(ライティング能力の一つ)が非常に重要
- フィールドワークへの適応力
- 旅先での予期しない状況(例えば、天候の変化、文化的な違いなど)に柔軟に対応できる能力が必要
トラベルフォトライターは、ブロガーとWebライターのスキルを統合しつつ、さらにビジュアルと文章を組み合わせて高い表現力を追求する職業と言えるかも知れない。その意味で、ブログ運営やWebライティングの経験がある人にとって、トラベルフォトライターへの挑戦はスムーズな移行が可能ではないだろうか。
トラベルフォトライターにとっては、個人ブログを運営するブロガーやWebライターと共有するスキルが多いだけでなく、さらに深い意味で補完関係にあると言えるかも知れない。これらの共通点を活かしつつ、トラベルフォトライターならではの独自性を追求することが、成功の鍵になると信じている。