はじめに
私はツバキ(椿)が好きである。花も好きであるが、ツバキの葉が好きである。自宅の庭には7種類9本のツバキを露地植えにして育てている。そのツバキの木から種が落ちて自生してきた。その苗木を鉢植えにして育ててもいる。
良い条件が揃わないと自生することはまれであることを知ってからは落ちている実をしばらく水に浸して空いている花壇に埋めてやると翌年には芽を出していた。
この発芽したツバキを放っておいたらいつしか大きく育ったので庭に移植したいと思ったが、狭い庭には植える場所がない。そこで鉢植えで育てることにした。
実生(種から育てる方法)のツバキが初めて花を咲かせるまでの時間は、早くても3年、遅ければ10年ほどかかると言われている。自分が生きている間に開花を観ることができるだろうかと心配になるほどの期間を要する。しかし、それもガーデニングの楽しみの一つとなることだろう。また、実生だと、親木と全く異なる花を咲かせることもあり、それが驚きと喜びの瞬間に繋がることだろう。
本稿は、ツバキ(椿)を露地植えおよび鉢植えで育てる方法と、四季折々の楽しみ方について記したものである。ツバキは常緑樹であるため、四季の変化が少ない庭木と思われるかも知れないが実は変化に富む素晴らしい庭木である。椿の魅力を知れば読者のあなたもきっとツバキを育ててみたくなるはずである。
<目次> はじめに 四季を通じてツバキを楽しむ方法 春の観賞 夏の観賞 秋の観賞 冬の観賞 ツバキの育て方 鉢植えの作り方・植え替え 剪定(整枝) 水やり 施肥 増やし方 病害虫対策 ツバキの葉が黄色くなる原因と対処方法 あとがき |
四季を通じてツバキを楽しむ方法
ツバキは四季を通じて楽しむことができる植物である。四季を通じて楽しむことで、ツバキの魅力を理解し、より一層ツバキの魅力を感じることができると思う。
春の観賞
寒椿を除き、春は一般的にツバキの開花時期である。この時期には、美しいツバキの花を楽しむことができる。また、花が終わった後は剪定を行い、形を整えることができる。
夏の観賞
ツバキは花の美しさだけではない。葉も艶があって美しい。夏はツバキの成長期である。新芽が濃い色の葉になってとても美しいものとなる。
この時期は、適切な水やりと肥料の管理が重要である。ケムシ対策(防虫対策)も必要になり、消毒が欠かせない。また、夏にはツバキの実が確認できるようになる。
秋の観賞
秋にはツバキの実が熟してくる。熟した実は割れて、中から数個の黒い実が顔を出す。この黒いタネを圧搾して抽出したのがツバキ油となるらしい。
私は、実があまりならないように花が終わった後は、摘み取っているが、1本の木あたり数個は毎回摘み残しがある。それらが実をつけるのでそのままにすることが多い。その実を水に数時間浸した後、土中に埋めておくと翌年の春に発芽することが多い。
冬の観賞
冬は、早咲きのツバキの開花時期に入る。寒い季節でもツバキは花を咲かせ、庭を彩る。また、冬の寂しい庭に彩りを与えてくれるので、冬の間もツバキを楽しむことができる。
以上のように、ツバキは四季を通じて楽しむことができる。四季を通じて楽しむことで、ツバキの魅力を理解し、より一層ツバキが好きになる。
ツバキの育て方
鉢植えの作り方・植え替え
ツバキの植え付け時期は、3月中旬〜4月または9月中旬〜10月中旬頃の穏やかな気候の時期が適していまる。
鉢植えの作り方は、苗よりも一回り大きな鉢を準備する。用土は、赤玉土1:日向砂(桐生砂)1のものに、元肥として緩効性肥料か油かすを混ぜ込んだものを準備すればよい。
- ひと回り大きめの鉢を用意する。
- 鉢底に鹿沼土または鉢底の石を敷く。
- 用土(弱酸性の土または市販されている培養土)を入れる。
- 苗を植え付けて、水やりをする。
- 2週間ほど日陰で管理して、完了。
剪定(整枝)
庭植えの場合は樹形を整え、風通しをよくするために剪定を行う必要がある。ツバキの花芽は6~7月頃に作られることから、強く切り戻す強剪定を行う場合は、3~5月に行うとよい。
一般的にツバキの剪定は、花が終わったらすぐに行うようにするとよい。木を少しずつ大きくしたい場合は枝先を切り詰めるにとどめる。一方、大きさを維持したい場合は少し強く切り戻すとよい場合が多い。
一方、鉢植えの場合には特に剪定の必要はない。
水やり
露地植えの場合は、基本的に普段の水やりは必要はない。但し、夏の高温期の乾燥がひどいときは水を与える。
夏の時期は、表面の土が乾いたらたっぷり水を与える。水やりは必ず早朝もしくは夕方に行う。気温が高い日中に水やりをすると土中の水温も上がり、根が傷む原因にもなる。
一方、鉢植えの場合は、春と秋は1日1~2回、夏は朝晩2回の頻度で水を与える。
秋から冬の時期は、花を咲かせる時期に相当し、花弁を広げる力を使うので、さらに水分を必要とする。
特に、冬の時期の水やりは、早朝や夕暮れ後を避け、温かい日中にたっぷりと水をあげるようにする。
施肥
露地植えの場合は、元肥として緩効性肥料を土に混ぜ込む。その後は、1~2月に寒肥として緩効性肥料を1回与えるとよい。
一般的に肥料は1年に2回(春と秋)に与えるとよいと言われている。春は花が咲き終わった後に与える。秋は蕾の成長が安定するときに肥料を与える。肥料には、油かすまたは化成肥料を使う。春と秋に肥料を与えるとき、同じ場所に与えると生育不良になる場合があるため、春と秋では与える場所を変えるようにする。
一方、鉢植えの場合は、花が終わった後の3月と、花芽の生育が落ち着いた9月頃に化成肥料か油かすを株元に施すとよい。
増やし方
ツバキは、挿し木、接ぎ木、取り木および種まきの4通りの方法で増やすことができる。しかしながら、接ぎ木用の台木を準備するのは素人には難しいため、ツバキの増やし方としては挿し木で増やすのが一般的であると言えよう。
挿し木
挿し木(既存の枝を使用する方法)の適期は6月〜8月である。ツバキを挿し木で増やすためには、伸長した枝で10〜20cmの長さの挿し穂をつくる。挿し穂をつくるためには枝を水に30分以上浸して十分に吸水させておくと良い。挿し穂の葉は、枝先から3~4枚ほどを残して全て切り落とす。
挿し穂は、赤玉土や鹿沼土(小粒)などの挿し木用の用土に挿して、直射日光の当たらない明るい日陰で管理する。水やりを十分に行って管理すると、翌年の5~6月に鉢上げをすることができる。
挿し木の場合、実生(種から育てる方法)よりも早く花を楽しむことができので、気に入った品種の花をすぐに楽しみたい人には大きな魅力となる。
挿し木は、好きな品種のツバキをそのまま増やすことができるので、お気に入りの花を再現することができる。つまり、親木のクローンの誕生である。
挿し木は比較的簡単で、初心者でも成功しやすい方法である。つまり成功率も高い。成長も早く、手間も少ないので手軽に楽しめるのでお薦めである。
接ぎ木
切りつぎ法は、台木と挿し穂を用いる方法である。技術が必要なので初心者には難しい方法と言われているが、最も良い苗を得ることができるとされる。穂木は挿し木と同様の方法で採取する。
取り木
呼びつぎ法は、最も失敗の少ない方法とされている。台木は指の太さから直径3~4cmの実生または挿し木3~4年生を使い、穂木は挿し木1~2年生苗を使う。台木と穂木のそれぞれの同じ高さ(2cmほど)の辺りで皮を削り取り、その位置で両者をビニールテープで結合させる。4~6月につぐと、9月頃には切り離せるようになるという。
種まき(実生)
実生は秋に種子を採り播きにする。ただし、花をつける木に生長するまでに5~7年を要すると言われている。
実生(種から育てる方法)だと、親木と全く異なる花を咲かせることもあり、それが驚きと喜びの瞬間に繋がる。まさに自分だけのオリジナル(独自性)のツバキを育てる楽しみがある。自然の変異で予想外の美しい花が咲くこともある。実生から育てることで、植物の成長過程をじっくりと観察できるのも魅力の一つとなる。
病害虫対策
ツバキは、花腐菌核病、すす病といった病気にかかりやすい。
また、チャドクガやカイガラムシなどの害虫による被害にも注意が必要である。ツバキの害虫対策としては下記のようなものが知られている。
- チャドクガ
- ツバキの葉を食べる害虫
- 幼虫が発生する6~7月頃に、薬剤散布を行う
- 10日間隔で2~3回散布
- スプラサイド・カルホス・スミチオンなどの乳剤
- 1000~1500倍希釈液
- アブラムシ
- ツバキの新芽や葉に付き、吸汁する
- アブラムシが付着している葉や周辺の葉はアブラムシの排出物でテカテカに光っている場合がある
- 殺虫剤の散布
- バッタ
- バッタは7月頃から葉の表の葉肉が削り取られる食害を引き起こす
- 食害された部分は茶色く変色する
- 農薬散布または害虫駆除
- ロウムシ類
- ロウムシ類はツバキの葉を食べる害虫
- 寄生している枝葉を切除
- 幹の虫体はヘラや歯ブラシでこすり落とす
ツバキの葉が黄色くなる原因と対処方法
ツバキの葉が黄色くなる原因としては、さまざまな要因が考えられる。まずは黄色くなる具体的な状態を観察し、原因が下記のどれに該当するかを確認すると良い。そして、それぞれの対処方法を試せば、ツバキの健康を回復させる助けになるはずである。
- 肥料不足
- ツバキは、特に窒素不足に敏感な植物
- 窒素が不足すると、葉が黄色くなることがある
- 対処法
- 定期的に適切な肥料を与えることが重要
- 酸性土壌を好むため、ツツジやサツキ用の肥料が効果的
- 過剰な肥料
- 肥料を与え過ぎると、根が傷み、葉が黄色くなる
- 対処法
- 適量の肥料を守り、水で根を洗い流すなどの調整が必要
- 水不足や水分過多
- 水分が不足すると、根が十分な栄養を吸収できず、葉が黄変する
- 水分過多は根腐れを引き起こし、同様の症状をもたらす
- 対処法
- 土の乾燥具合を確認し、適切な頻度で水やりを行う
- 過剰な水を避けるため、排水性の良い土壌を使用する
- 日照不足
- ツバキは半日陰を好む植物であるが、暗すぎる環境では光合成が十分に行われず、葉が黄色くなることがある
- 対処法
- 光が適度に当たる場所に植え替える
- 枝の剪定をして日当たりを改善する
- 病害虫の影響
- ハダニやアブラムシなどの害虫がツバキに付着すると、葉が変色することがある
- 対処法
- 病害虫を除去するための薬剤や適切な防除方法を検討
- 土壌のpHバランス
- ツバキは酸性土壌を好むため、土壌がアルカリ性に傾くと葉が黄色くなることがある
- 対処法
- 土壌のpHを測定し、必要に応じて酸性の調整材(硫酸鉄など)を使用
あとがき
ツバキは、その名の由来が「艶葉木」【つやばき】と言われるように、葉の艶が健康のバロメーターで、葉に美しい艶があってこそのツバキである。葉に艶がなくなってきたら根に異常が生じたと考えてよいと言われている。
またツバキは日陰にも耐える庭木ではあるが、水はけが悪い場所を嫌う。日当たりの良い場所の方がよく育つと言われているので、できることなら日向で育てたいものである。
【参考資料】
船越亮二監修;庭木の手入れ(1993年刊、主婦と生活社) |
中山草司著;庭師の技術がわかる庭木の手入れ(1993年刊、大泉書店) |
ツバキの育て方・栽培方法|植物図鑑|みんなの趣味の園芸(NHK出版) (shuminoengei.jp) |
ツバキの育て方 |住友化学園芸 (sc-engei.co.jp) |
【超初心者向け】はじめて椿を育てる方へ | 日本ツバキ協会 |
害虫・病気対策| ツバキの育て方 |住友化学園芸 (sc-engei.co.jp) |
椿の「病害虫・葉の変色・蕾の異変」総まとめ-症例写真で原因を知る- | かごんまのこ (kagonmanoko.com) |