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  • 苗木から育てるマツ盆栽!四季を感じる和の趣を暮らしに

    はじめに

    自宅の庭の片隅でクロマツの実が発芽して弱々しくも生長しようとしていたので、鉢植えにして数年放置していたら結構成長している。私の庭にはゴヨウマツしか植えていないので、クロマツの実はどこからか風によって運ばれてきたものであろう。

    このまま鉢植えのままでもよいが、丈夫な樹木なので盆栽にしてみようかと思った。リタイア後の趣味として盆栽には少し興味があったので、よい機会かも知れない。そう思って、クロマツの盆栽作りにチャレンジしてみようかと安易に考えてしまった。

    しかし、私はクロマツの盆栽作りを始めるあたって盆栽の管理のやり方を勉強した結果、盆栽作りの開始を踏み止どまるべきかと躊躇した。その理由はシンプルである。盆栽の管理は私には荷が重すぎるからである。

    ところがそんな私に知人がクロマツとゴヨウマツの盆栽を譲ってくれた。盆栽を庭に置くと結構、感じが良い。折角ならアカマツの盆栽も加えてみたい気になった。

    そこで、これらのマツの盆栽の作り方と管理の仕方を学ぶことにした。本稿は、その忘備録的な側面があるが、私と同様にシニアになって盆栽に興味を持ち始めた方の参考になるかも知れない。そうなるよう願って書き進めたい。

    目次
    はじめに
    マツの種類
    クロマツ
    アカマツ
    ゴヨウマツ
    鉢植えと盆栽の違い
    盆栽の作り方
    植え付け時期
    育てる環境
    盆栽作りに必要なもの
    用土
    植え付けの方法
    盆栽の管理
    剪定
    施肥(肥料)
    水やり(灌水)
    針金かけ
    かかりやすい病害虫
    あとがき

    マツの種類

    マツ(松)は、マツ科マツ属の常緑高木で、針のような形態の葉と松かさ/松ぼっくりと呼ばれる実がなるのが特徴の針葉樹である。約100種類が主として北半球の各地域に分布しているという(引用:ウィキペディア)。

    和名のマツの由来には、(神を)待つ、(神を)祀るや(緑を)保つが転じたとする諸説あるが、東アジア圏では神の下りてくる樹や不老不死の象徴として珍重されることから「待つ」から転じたとする説が有力なようだ。(引用:ウィキペディア)

    マツは、手入れが大変ではあるが庭木としても人気があり、神社やお寺の境内に植えられていることも多い。また、環境に強い丈夫な樹木であるため防風林として海岸などに古くから植えられてきた。庭木や防風林として植えられている松の種類には、クロマツ(黒松)、アカマツ(赤松)、ゴヨウマツ(五葉松)などがある。


    クロマツ黒松)

    マツ科マツ属の常緑低木であるクロマツ(黒松)の原産地は日本であり、襖絵などにも描かれ古来から日本人に愛されてきた。クロマツは寺社仏閣の境内で多く植栽されている他、防風林や防砂林として海岸にも植栽されている。

    海岸林(防風林・防潮林 ・防砂林 )は、海からの風や潮、津波や高波、飛んでくる砂などから海沿いの暮らしを守るために植林された森林である。

    クロマツの最大の特徴は塩害の厳しい海岸でも育つ強健な性質である。養分の少ない海岸の土壌でも大きく育ち、森林をつくることのできる木はクロマツのほかにはないという。

    クロマツは基本的には日当たりを好むが、半日陰や日陰といった環境にも適応する。さらにクロマツは非常に丈夫で寿命も長い。長年育てると力強い幹立ちと緑葉の美しさのコントラストを楽しめるために盆栽にも適している。そのためクロマツは盆栽の代表格とも称されている。


    アカマツ(赤松)

    アカマツ(赤松)は、マツ科マツ属の常緑針葉樹である。アカマツは、別名でメマツ(雌松/女松)とも呼ばれる。これは、別名でオマツ(雄松/男松)とも呼ばれるクロマツに対しての呼称であるようだ。アカマツの葉が、クロマツよりも軟らかいことから女性を連想させるためと言われている。

    アカマツ(赤松)の名の由来は、樹皮が赤みを帯びるという形態的な特徴から来ている。

    アカマツは、山野に普通に見られるが、山地の尾根筋などの乾いた痩せ地にもよく生える。内陸部においてはアカマツが荒廃地でいち早く生長し、土壌が流出するのを防ぐ働きをする。アカマツ林にはマツタケが生えることが知られている。

    樹形をコントロールしやすく、幹の色が美しくて幹だけ眺めても楽しめるので、庭木として使用されることが多いが、盆栽としても利用される。気品と優雅さはマツのなかでは一番だという人もいるくらいである。

    クロマツ(黒松)とアカマツ(赤松)の苗木を区別する方法は意外と難しい。何故ならアカマツの苗木や若木の幹は、アカマツの成木の特徴である赤みを帯びていないからである。アカマツの幹が赤みを帯びてくるのは成長してからで、一般的に数十年経った木が赤みを帯びた幹になると言われている。

    では、苗木や若木の状態でクロマツとアカマツを区別するにはどうすれば良いのか?

    一般的には、針葉の色と形、それに硬さを比較する必要があると言われているが、その違いに大きな差がないので容易ではなさそうである(下表参照)。

    比較項目クロマツ(黒松)アカマツ(赤松)
    針葉の色濃い緑色淡い緑色
    針葉の形鋭い感じ
    太くて短め
    細長い感じ
    クロマツより長い
    針葉の硬さ硬い柔らかい
    幹の色(苗木)緑から灰色を帯びる緑から灰色を帯びる
    幹の色(成木)黒っぽくなる赤みを帯びてくる

    ゴヨウマツ(五葉松)

    ゴヨウマツ(五葉松)もマツ科マツ属の常緑針葉樹であり、日本固有種である。樹高は30~35 mになるが、成長は遅く、原産地以外に植栽されたものは樹高6~8mにしか成長しないという。樹皮は暗灰色で、老木になると裂片がうろこ状に剥がれ落ちる。

    葉は青みを帯びた緑色で、長さ5~6cmの針状で、短枝に5個ずつ束になって生える。これが名の由来となっている。

    ゴヨウマツの盆栽は人気が高い。ゴヨウマツは、クロマツやアカマツと比べて樹齢が長く、暑さや寒さにも強く、成長による変化が緩やかな点など盆栽にとって非常に適した特徴を有する。


    鉢植えと盆栽の違い

    当り前のことであるが、樹木を植木鉢に植えただけものが「鉢植え」である。一方、盆栽はそこに手を入れて、形を整えて、大きな自然を小さな鉢の中に再現していく「作品」のことをいう。

    盆栽の定義は、樹木を鉢に植えて自然の景色を表現するために美しく仕立てることらしい。確かに「盆栽」をよく見ると枝に針金がかけられていることがある。針金で重心を下げていくように形を整えていくことで、古木の味わいや雪の重みを表しているのだそうな。なんとも風流である。

    さらに盆栽ならではの表現として【せき】と呼ばれる空間の単位がある。盆栽自体だけでなく、その空間のどこにどうやって配置するかを考えるのだそうだ。実に奥が深い!

    」の役割は「ないものまで想像させる」ためであり、盆栽においては重要なポイントであるという。つまり盆栽自体だけでなくその空間一つ(一席)を芸術作品として見立てるという趣向である。だから盆栽の形状に合わせて、目に見えない風が吹いているかのように見せるために盆栽の視点の流れの終わりに水石(鑑賞石)を置く場合もあるということである。

    このように盆栽は非常に奥が深い。無精な私には鑑賞するだけにとどめておくのが無難というものだ。しかし盆栽に興味があるのは本当のことである。本格的な盆栽を作るとなると腰が引けるが、「盆栽モドキ」の鉢植えから始めて、最終的には「盆栽」を作ることを目指したいと思う。


    盆栽の作り方

    植え付け時期

    クロマツの植え付けや植え替えは一般には2~4月が適期とされているが、丈夫な木であるので真夏や厳冬期以外の晴れた日であればほぼ大丈夫そうである。


    育てる環境

    クロマツは根は深く張り、乾燥には強い。しかし、湿害には弱いので、湿度の高い場所やたまり水を避けるようにする。

    クロマツを鉢植えで育てている場合は、植え替えが必要である。ずっと同じ植木鉢で育てていると根が生長して窮屈になり、根腐れを起こすことがある。生長がしづらくなったらひとまわり大きな植木鉢に植え替えるようにしなければならない。


    盆栽作りに必要なもの

    「盆栽」を作るために必要なものを下記に示す。

    • 盆栽鉢
    • 鉢底ネット
    • 用土
    • 盆栽ばさみ
    • ピンセット
    • ペンチと針金(必須ではない)

    用土

    クロマツは水はけのよい土を好む。用土としては、赤玉土小粒:鹿沼土小粒:腐葉土(5:3:2)の割合の配合土を使用することが多いようである。

    私は、中粒と小粒を1:1で混合した赤玉土2に対して培養土1を加えて用土としてみた。この配合比の用土は通気性が良く、水はけが良いので化粧鉢(釉薬を塗って焼いた植木鉢)にも使用できる。さらに用土の上層には見栄えがよいように化粧砂を使用した。

    クロマツの根は繊細で植え替え時に根が傷みやすい。植え替えの際は、根に付いた土を崩さないように作業しなければならない。


    植え付けの方法

    1. 一回り大きな植木鉢を用意し、鉢底ネットを敷く
    2. 鉢底ネットを敷いた鉢に、鉢底石を入れる
    3. 鉢の1/3〜2/3の高さまで用土を入れる
    4. 根鉢から株を慎重に取り出して、根についた古い土や根を整理する
    5. 根を広げるようなイメージで植え付けて、上から土を詰める
    6. 鉢の縁から2〜3cm下まで土を盛り、株を安定させる
    7. 軽く水やりをして株をしっかり土着させる

    盆栽の管理

    剪定

    クロマツは日陰に弱いので、葉が込み合うとその部分がすぐ枯れて樹形を悪くする。そのため、もみ上げも欠かせない作業の一つである。もみ上げは古くなった葉と新しい葉を摘み取る作業のことである。時期は3月である。枯れてしまった枝、強すぎる枝、下に垂れた弱い枝などを剪定する。枯れ葉や古葉(昨年の葉)も取り除く。

    徒長した枝や余分な枝を根元から切り落として枝分かれを促進しつつ樹形を整える。松葉を3〜4つ以上葉芽を残しておくか、一本の枝につき2〜3つほど前年に生えた葉芽を残しておくと剪定で負ったダメージの回復を早められる。

    クロマツの手入れとして欠かせないのが、みどり摘みという作業である。4~5月頃に新梢ができる。伸び始めた新芽は緑色をしていて、これを間引いて切り戻す作業をみどり摘みと呼ぶ。クロマツのみどり摘みの時期は5月である。

    トゲのように尖った芽を摘み取ることで節目を短くしたり、枝の勢いを調節できる。将来の樹形を想像しながら摘み取る芽を決めていく。


    施肥(肥料)

    マツを盆栽で育てているときの肥料は、2月末頃に有機固形肥料を株元に与える。

    マツには真夏を除き、春(4〜5月)と秋(9〜10月)に効き目の緩やかな有機固形肥料を1ヶ月に1回施肥する。


    水やり(灌水)

    マツはやや乾燥気味な土壌を好む庭木である。そのため気候に合わせて水やりの量やタイミングを調整する。

    毎日暖かい時間帯にたっぷりと水やりをする。
    鉢底から水があふれる量が目安である。
    1日に最低2回以上、比較的涼しい早朝と夕方にたっぷり水やりをする。暑さによる水切れには注意が必要である。
    毎日暖かい時間帯にたっぷりと水やりをする。
    鉢底から水があふれる量が目安である。
    2〜3日に1回、日中の暖かい時間帯に水やりをする。
    表土が軽く湿る程度の控えめな水やりをする。

    針金かけ

    11月〜2月には「針金かけ」で枝の矯正ができる。剪定と違って枝を切らないため株へのダメージも少ない。

    但し、巻きつけ時に枝を傷つけてしまうリスクも存在する。マツの樹皮は丈夫とはいえ、傷をつけないように注意して作業すべきである。


    かかりやすい病害虫

    マツは病害虫の被害を受けにくい強健な性質をもっているものの、カイガラムシの被害を受けることがある。

    カイガラムシは25℃以上の高温多湿下で発生しやすく、新芽時にカイガラムシの幼虫がついて葉から養分を吸収して株を弱らせてしまう。放置していると葉に黒ずみが出る「すす病」を誘発するおそれがあるため、カイガラムシを発見したら牛乳スプレーや薬剤を散布して駆除する。

    カイガラムシ以外の害虫としては、マツノマダラカミキリ、アブラムシ、マツカレハ、マツヤドリハダニである。樹皮についている場合は薬剤などを使用して駆除する。

    害虫が多く発生すると枯れる可能性がある。食害に遭う前に、こまめに害虫がいないかをチェックする。


    あとがき

    実際に盆栽を一から作るとなると何十年もかかる。そこで、盆栽の材料となる20数年が経っているマツを購入するのが普通である。しかし、私にはそんな本格的な盆栽をまだ始められる技量はない。マツという植物の特性を知るために勉強中の身である。

    私は今、盆栽にすべく育てているクロマツの鉢植えと共に、知人から貰ったクロマツとゴヨウマツの盆栽をそれぞれ管理している最中である。私に盆栽の世話ができるか心許ないが、折角、知人が譲ってくれたので精一杯頑張ってみることにする。鉢植えの方が格段に育てやすいことには変わりはないが、やはり盆栽には風情があって良い。

    クロマツやゴヨウマツの盆栽を眺めていると古来より日本人が愛してきた風情を先人たちと同じように感じられているような気になる。不思議な感覚である。それほどにクロマツやゴヨウマツには盆栽としての魅力が備わっているのかも知れない。

    クロマツやゴヨウマツの盆栽も盆栽鉢が窮屈そうなので一回り大きな盆栽鉢に植え替えてみた。次は、アカマツの盆栽を自らの手で最初から作りたいと思う。

    また、現在は鉢植えのままになっているクロマツも盆栽にしてみたいと思う。未熟な私が慣れない盆栽作りにチャレンジして、管理不十分で枯らしてしまっては申し訳ないが、そうならないよう努力したいと思う。そして枝には針金をつけさせてもらおうと思う。そうして何年か後には立派な枝振りのクロマツになってくれていたらきっと楽しみな毎日を送れそうな気がする。


    【参考資料】
    中山草司著;庭師の技術がわかる庭木の手入れ(1993年刊、大泉書店)
    船越亮二監修;庭木の手入れ12か月(1993年刊、主婦と生活社)
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